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──3曲目の「One Step」の歌詞のテーマ、ストーリの発想は、どんなところから?
YUKA:優しくて温かくて、でも皆それぞれが違いつつ、どこか同じだというのがテーマです。人との違い、考え方の違いが、胸が痛くなるキッカケだったり…傷つく理由って最終的には全部そこだろうなと思うんです。でも、人と人が引きつけ合う理由も何となく似ているなって思う瞬間があったりして。だから、そういう悲しい、寂しい、独りぼっちな気持ちになったとしても、この曲を聴いて温かくなってもらえたらという気持ちで作りました。優しい曲に仕上がったと思います。
MASAKI:まず爽やかな曲にしたかったですね。音も歌詞も、この曲にピッタリ合った、イメージどおりに出来たと思います。
──YUKAさんが歌詞を書く前に、MASAKIさんは曲のイメージを伝えますか?
MASAKI:曲によりますけど、最初にこういう曲を作ろうと言って僕が作り始めることもありますし。いろいろと試している中で曲が出来たときは、何となくのイメージを話したりはしますね。逆に全くイメージが無いことも多いんです。音を聴いたYUKAちゃんが受け取ったイメージ、雰囲気で歌詞を書いてもらって、“あーそうそう、こういう感じがイイ!”みたいなことが多いですね。「One Step」は最初から爽やかな曲と決めていて、だからアコギの音とか声の処理も含めて明るくて。テンポは早いんだけど、耳に“すー”っと入ってくるような曲にしたいという話をしましたね。
YUKA:音像とか大体の雰囲気は頭から決まったけど、最初から“気持ち良い音”を作ろうって。「15 Doors」とはまた違う気持ち良さがある曲です。
──5曲目「moonlight」、9曲目「YAY」は前回のインタビュー(リンク)でお聞きしたので割愛させていただき、続いて6曲目の「Blue Rain」ですが、この曲は雨音をイメージさせるアコースティックギターがとても印象的でした。
MASAKI:デモだけ作ってストックしていた曲です。僕たちも好きな曲ですけど、なかなかCDに入れられるタイミングが無くて。前回、前々回のミニアルバムでも何か景色が違うなと。“収録しよう…うーん無理か”みたいな(笑)。『15 Doors』の中で「moonlight」の後に入ると、此処に収まって良かったなって思います。
YUKA:フルアルバムだから、やっと登場できた曲だったのかもしれないです。
MASAKI:最初は音遊びというか、いろいろ組み立てて試して、YUKAちゃんも一緒に“こういうのを入れたらどう?”、“こういうメロディどう?”とか言いながら作っていたんです。何かをイメージしたというよりは、ずっと面白い音を入れてみようという感じで作っていました。その時は歌詞の内容まで決まっていませんでしたが、アレンジからタイトルにしていることもありますし、音からイメージしてもらえて良かったです。
──雨をモチーフにしている曲は、珍しいように思ったのですが。
MASAKI:インディーズの時は雨の曲もあったんですけどね。
YUKA:「Blue Rain」はちょっぴり寂しい曲でしっとりしていて…少し悲しいんだけどシッカリと強さのある主人公、大人の強い女性を描けたと思います。
──7曲目「青い月とアンビバレンスな愛」と、8曲目「ハレルヤ」は、歌い方もアレンジも壮大でドラマチックなナンバーですね。
YUKA:「青い月とアンビバレンスな愛」は前に出したシングルの曲で、作るのにかなり時間が掛かりましたね。タイトルが決まったのは…でも3〜4年前ぐらい経ってるかな。
MASAKI:インディーズの時に作った曲で、ライブでは歌っていました。リリースは2009年11月だったので、作った時からスゴク時間が経った曲ですね。歌詞は最初に作った時と8割ぐらいは同じですね。
YUKA:「ハレルヤ」はライブで盛り上がれる曲を作りたいというのがキッカケになっています。乗りやすいし、浮遊感がある、とてもスペイシーな曲に仕上がりました。歌詞を書くときも、なんでこんなにいろいろ浮かぶんだろうと思うぐらい、書いていて楽しかったのを覚えています。
MASAKI:ライブを意識して作り始めているのに、作り込んでいるうちに段々シンセの音とかいろいろ試しだすと、実は最初と違う方向に行ったんじゃないかみたいな(笑)。でも、ドラムとベースとストリングスを録った時に、すごくカッコ良くなりましたね。淡々と打ち込みだったので、生の演奏で弾いてもらったら大正解だった曲です。弦がとてもカッコイイので、ストリングスを聴いてもらいたいです。
──9曲目の「EVERGREEN」は映画“カフーを待ちわびて”の主題歌ですが、特に意識されたところは?
YUKA:書き下ろしだったんですが、スグに消えてしまうような愛情、気持ちではなくて、普遍的な大きいテーマで歌詞を書くと決めていました。映画の雰囲気から喚起されるものもあったと思いますし、台本や原田マハさんの原作小説の世界を上手く汲み取ってカタチに出来たらと。映画にもマッチした感じで良かったと思います。歌も音も力強いので、ライブで歌うと壮大でカッコイイ曲です。
──音作りも映画をご覧になってから?
MASAKI:最初は小説と台本まででしたね。途中でBGMの入っていない映像を見させてもらいました。僕が言うのも何ですけど、時間の流れとかも含めてスゴク良い映画なんです。だから何とか映画に寄り添える曲にしたいなと。映画が完成して、試写室で出演者の方と一緒に観たりもして。最後に流れるんですけど、待っていて良かったなと思いましたね(笑)。
YUKA:映画は現代のお話なんですけど、島の神聖なところを大事にしている感じが出ていたので、そういう部分にスゴク影響を受けたと思います。
──10曲目の「Destiny」は、6つの恋のショートストーリー“恋時雨”の中の一篇“されど運命”の主題歌ですね。
YUKA:“恋時雨”は女優の吉高由里子さんが朗読をされるんですけど、そのアニメーションと一緒に歌とドラマが進行していく作品でした。そのショートストーリーを観てから、もともとあったモチーフを少しずつ構築し直していきました。歌詞は胸が痛い、切ないんだけど、染みこんできて温かくなる感じを目指しましたね。
MASAKI:曲を作っている時は綺麗なメロディにしたいなと。アレンジをしている時は、“されど運命”のストーリーやPVにも出て来るイラストの雰囲気、さらに吉高さんのイメージも考えて作りました。だから他の曲よりも、自分の中では都会的ですかね。
──11曲目の「天国に一番遠い場所」のイメージは?
MASAKI:天国から一番遠い場所からスタートするというウェディングソングなんです。
YUKA:これから二人で一緒に歩んで行く…。
MASAKI:天国に行くまで。だから一番遠い場所なんです。でも、タイトルだけ見たら一瞬“えっ?”って思いますよね。
YUKA:結婚するということは、二人でスゴク長い時間一緒にいる訳だから、やっぱり私は10代の恋でも、例えば30代、50代、70代でも、多分同じように相手のことを想うだろうなって考えていて。長い人生を共にする二人というのは、あらためてスゴイことだなって思いながら書いていたウェディングソングです。
──13曲目「HAPPY UNBIRTHDAY」で“誕生日以外”にスポットを当てたのには、どのような想いが?
YUKA:誕生日でも何でも無い日でも、一年中楽しく祝っていられたらそれは素敵ですし、“HAPPY UNBIRTHDAY”という考え方を曲に出来たらとはずっと思っていたんです。ブリッジの部分の歌詞なんですけど、誕生日以外の日を祝うだけじゃなくて、この瞬間にも誰かが生まれていたり、一瞬一瞬本当にいろんなことが起きているということを考えながら毎日歩いていると、また見え方が変わってくるんだろうなぁと。それでも日常は何となく退屈なものだと思うし、でもそんな日常がキラキラし始めるような曲にしたかったんです。
──1曲毎に収録全曲についてお話いただき、ありがとうございました。最後に、ニューアルバム『15 Doors』を通して、リスナーにどのような想いを伝えたいですか?
YUKA:moumoonの音や歌詞の世界を1枚の扉が繋いでいて、そこを行き来しながら日常が進んでいくみたいな、そういう存在でありたいです。何となく安心できる場所が傍らにあるというか、そういう場所になりたいというのが“ドア”に込めた想いで、“いつでも待ってます”、“いつでも扉を開けてみてください”という気持ちを伝えたいです。
MASAKI:もちろん最初から最後まで聴いてもらえたら一番嬉しいですけど、人それぞれの聴き方があると思いますし。ただ、自分たちが一生懸命作った曲たちなので、“この曲面白いな”、“この曲カッコイイな”、“この曲グッと来る”とか、どんな感じ方でも良いんですけど、何かひとつ心に入っていく曲を見つけて貰えたら嬉しいです。
僕らの場合、ファンの方から“この曲をライブでやってください”、“この曲がスゴク好きです”という意見が、結構バラバラだったり、毎回違ったりするんです(笑)。ライブに来てくれる人でも、好きな曲って全然違うんだなと思いますね。『15 Doors』は15曲入っているので、きっと自分に合った曲が見つかると思います。そしてアルバムリリース後のライブが、新しい“16個目のドア”になってもらえたら。