──「バタフライ」は、とても、わかりやすい詞ですね。
桃華さんは、バツイチのシングルマザーで、若くして起業した女性実業家。そのまま、ご自身を表現したような歌詞ですよね。
──カラフルでポップな曲調も、桃華さんのイメージにピッタリですよね?
桃華さん自身も、アップテンポな曲にしたいとおっしゃっていたんですよね。彼女のイメージにピッタリな曲に仕上がったと思います。
──具体的には、どんなところがポイントですか?
桃華さんは実業家としての側面もあるんですけど、実際にお話ししてみると、お子さんの話題がすごく良く出て、とにかくお子さんを非常に大事にされているなという印象だったんです。なぜ、それほど頑張っているのかと言うのも、やっぱりお子さんのため。そういう要素も曲に取り入れたかった。それから、シングルマザーのカリスマとも言われていて、彼女の存在が多くの人を勇気づけている。聴く人を元気づける曲調という事も心がけましたね。
──「one」は、とても力強い女性のイメージですが。
紫吹さんは、宝塚の男役トップスターだった方ですが、実際にお会いしてみると、非常にサバサバしていて、男の僕から見ても“かっこいいなぁ”という印象でした。歌詞も、紫吹さんそのまんまですよね。
──ロックナンバーとなりましたが、楽曲のイメージはどんな所から?
歌詞の中にも出てきていますけど、お会いした時にも“私、白いものを黒いって絶対に言えないんですよ”っておっしゃっていて。そういうパキっとしたイメージで書いた曲ですね。この詞があったから、こういうメロディーが生まれた。詞ありきでできた曲です。
──軽快なロックですけど、ハードになり過ぎていない。そのあたりに、女っぽさも感じさせるサウンドだなとも思いましたが。
そうですね。紫吹さんは、すごくタフでハッキリしてるんだけど、とても心根の優しい方で、とにかく、お客さんに楽しんでもらいたいっていうのが大前提の方なんですよね。それが、みんなから愛されている要因なんだと思うんですけど、そういう部分も曲から伝わればいいなと思います。
──「名もなき花よ」は、非常に美しい詞ですね。
コシノさんの所はいちばん通ったような気がしますね。何回もお時間をいただいて。コシノさんが“名もなき小さな花”を詞にしたいとおっしゃって、そこが出発点となって、僕の方から何曲か書いて持っていき、好きなメロディーを選んでいただいて、試行錯誤しながら一緒に作っていきました。
──しだく、うつせみ、たゆたう、うたかた・・・など、日本女性らしい美しい言葉使いが印象に残りましたが。
難しい言葉がたくさん出てきますよね。コシノさんは、やはり、モノづくりが大好きな方なんだと思うんですよ。だから、歌詞にも非常にこだわりを持っていて。非常に長い時間をかけて取り組んだ作品で、本当に素晴らしい曲ができたと思います。
──かけ足で1曲ずつ解説していただきましたが、全編を通して河口さんがお感じになった“今を生きる女性たち”の姿とは?
僕が想像していた女性像・・・詞の中で描いてきた女性像とは、随分違うなと思いましたね。僕に限らず、男が書く詞の中に出てくる女性は、昔の恋を引きずっていたり、どこか弱々しいイメージになりがち。だけど、実際の女性は、全然そんな事ないんだなって思いましたね。特に今回の11名は、パキっとしているし、いつまでもくよくよしていない。実際は、悩みや弱い面もあるんだろうけど、それを見せない強さがある。しなやかで力強いという印象ですね。
──自作ではない詞を歌うというのは、今回が初めてのご経験かと思いますが、得るものはありましたか?
今回のアルバム制作を通して、自分の中に“新しい言葉”という“新しい血液”が入ってきました。これまでずっと、人の持つ温かさや優しさをテーマに曲を作ってきて、その軸は今後も変わらないと思いますが、言葉の部分で、変化は出てくるのでは、と期待している部分はありますね。
──このアルバムを通して、リスナーの皆さんと共有したいものは?
それぞれの詞に独特のメッセージがあるんですけど、皆さん、とっても前向きで、例え現状が厳しくても、見方を変える事で、ネガティブをポジティブしていこうと考える方ばかり。だから、そのメッセージが届いて、どんな小さな事でもいいから、聴いた人の何らかの足しになってくれればと思います。元気づけられたでもいいし、楽しい気分になったでもいいし、誰かの心に何らかの影響を与える事ができたならば、協力していただいた方にも、いちばんの恩返しになると思うし。今は非常に希望を持ちにくい世の中になってきていると思うんですよね。それは、同じ時代に生きている誰しもが感じている事だと思うんです。でも、希望は、どこにでもあるんですよね。その1つが、このアルバムだと思います。
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