初の全国ツアー“Acoustic PoP Tour'09”を全国10箇所いずれも大盛況で終えたばかりのシンガーソングライター・ユニット、RYTHEM。その勢いはますます加速し、7月29日リリースのニューシングル「ぎゅっとして feat.常田真太郎(from スキマスイッチ)」に続き、8月19日には初のベストアルバム『BEST STORY』をリリースする。秋には再び全国10箇所を周るツアー“Acoustic Rock?! Tour'09”が始まり、さらに12月26日(土)には東京・中野サンプラザのスペシャル・ライブも決定!! 2009年の後半を全力で駆け抜けるRYTHEM、YUI、YUKAにベストアルバムとライブづくしの2009年後半の活動についてお話をお聞きしました。
──このタイミングでベストアルバムをリリースされようと思ったのは?
YUI:これまでの音楽活動からの自然な流れっていう感じが強いです。成人式の感覚に近いというか、“あっ!来るべきときが来たな”"っていうRYTHEMチーム満場一致の流れでした。
今まで、高校、大学生活とプライベートでも節目を乗り越えてきた6年間だったんですけど、最近は音楽面でもいろんな方とコラボレーションをさせてもらったりして自信が付いたというか。どんな人と音楽を交えても、最終的にRYTHEMの色っていうのがあるんだなっていうのを自覚出来たときに、RYTHEMワールドが一つ固まったような気がして。それでベストアルバム出したい気持ちになりましたね。
YUKA:6年間で本当にたくさんのCDをリリースさせてもらっていたので、結構前でもリリース出来たハズでした。一般的にベストアルバムは節目なので、私の中では解散とか活動終了といったイメージがあって、RYTHEMがストップしたら嫌だなって思ってたんです。でも、いろんな方とコラボを始めたり、いろんな楽曲に挑戦できるようになって、RYTHEMチーム全体が“よしっ!次行くぞ!!”っていう感じだったんですよね。だからベストアルバムを出しても、きっと新たなステージに向かって行けると思えたので。
──タイトルを『BEST STORY』としたのは何故ですか?
YUI:一番最初は二人で始めたRYTHEMでしたけど、スタッフやファンの方々とドンドンドンドン仲間が増えていって、みなさんとの出会いや感謝で成り立っているユニットだなぁと、今強く思ってます。人と景色と空気と様々なものが交じり合って、映画みたいなお話が出来ていった6年間でした。そのお話に登場してくれた全員に“このお話を作ってくれたのはみんなだよ”っていう感謝の意味を込めて“一番最高のお話”"っていうタイトルを付けました。
──6年間のお話だから曲順もデビュー曲からにしたワケですね。
YUKA:曲順は「ぎゅっとして」から遡る逆パターンの案もあったんですよ。でも、いろいろ考えてデビュー曲の「ハルモニア」から順に聴いてもらうほうが、最後に到達したときに“RYTHEMは次にどうなっていくんだろう” っていう期待につながるかなと。
──特に印象に残っている曲は?
YUI:1曲1曲に思い入れが強すぎて、全部を同じステージで比べることが出来ないっていう苦しみはあるんです。それでも、しいて言うならば「首すじライン」。RYTHEMに対する思い、音楽に対する思い、ファンのみんなと繋がっていきたいっていうのを曲にした1曲なんですよね。告白の歌としてみんなには親しんでもらってますけど、告白するのと同じぐらい一大決心で自分の思いを曲にしたんですよね。だから、ライブやブログでもっともっとファンのみんなと繋がりたいという思いが生まれたのは、「首すじライン」が出来たからこそかなって思います。
YUKA:それぞれの曲に自分たちのターニング・ポイントがあります。特に第一ターニング・ポイントが「ホウキ雲」でした。ファーストアルバムの『ウタタネ』を出した後、次どうしようかと悩んで、それで「ホウキ雲」から2人で楽器を演奏して歌うスタイルを始めたので。私自身それまではギターに触れたことも無かったんです。弾きながら歌い始めて、作っていく曲にも影響を与えられたので、やっぱり思い入れがありますね。
──「ホウキ雲」より以前はライブはしなかったのですか?
YUI:ライブをしたことも無かったし、イベントなどに出演してもハンドマイクで立って歌うスタイルが元々のRYTHEMなんです。そのスタイルでずっと活動していく気がしていました(笑)。CDを作ることが一番の使命だと思っていたので、当時は特にライブをしたいっていう思いも無かったんです。でも、ライブが現実的になってきた時に、二人で立って歌っているとアイドルと誤解されることもあって、それが一つの悩みでもありました。まだ自分たちで曲を作っていることが浸透していなかったから、ただ立って歌っているだけでは伝わりきらないこともあると思ったんですよね。そのときにチームのみんなと今後のスタイルをどうするか話し合って、楽器を持って歌ってみようかと。だから「ホウキ雲」でライブをしたいっていう気持ちが強まりましたね。
──『BEST STORY』でシングルをリリース順に聴いて、どんな変化を感じますか?
YUKA:すっごい感じます。やっぱり最初のころは、YUIとYUKAがスゴイ声が似てました。それに、あの頃は上手く歌うよりは、とにかく気持ちのいいところでハモろうとする歌い方だったので、スゴイ荒削りな部分もあったりしますね。でも、だんだん自分の歌い方を見つけたいといか、ライブも大きいですけど、年齢的にいろんなことを経験すると(笑)、女性はやっぱり声が変わるのかなって。今まで無かった“艶があるよね”“女性らしさがあるよね”と言われるようになってきたのは、順を追って聴くと判りますね。
YUI:距離がドンドン近くなってきたっていう感じがスゴクして。昔は空や山に向かって歌ったりとかしてました(笑)。スタジオでレコーディングすることには変わりないんだけど、実家が山のほうにあるから、家で歌うときも山に吸い込まれるように歌の練習をしたりとか、遠くに遠くに声を飛ばそうっていう感じが自分のスタイルでした。でも、だんだん個人的な思いを歌うようになって、例えばスグ隣にいる人に向けて、しゃべるように歌ったりとか。声の距離が縮まってきたっていうのは、あるかもしれないですね。“みんなに届け!”って歌ってたのが“ねぇ聴いて”っていういう風になったような。
──『BEST STORY』初回盤・2種類それぞれの特典DVDについてお聞きしたいのですが。まず、ビデオクリップの中で一番印象深い作品は?
YUKA:ファースト、セカンド・アルバムは、楽曲ごとに世界観を作り込んでいたので、曲だけでは伝わりきらないところを映像と一緒に観てもらって、より解ってもらおうっていうのがスゴクありました。だから最近の作品しか知らない人たちはビックリすると思います。“ここ何処?人間なの?”みたいな(笑)。オーストラリアに行って盛大に撮影しているので映画チックになってます。また、ビデオクリップもリリース順に収録されているので、17、18歳から今、24歳までの顔の変化がスゴイです(笑)。だから、“恥ずかしい、でも見たいっ!”って、私自身は卒アルを見るような気分です。
──撮影で印象的だった出来事はありますか?
YUI:「ハルモニア」、「一人旅シャラルラン」は初めての撮影で、しかも場所はオーストラリアで、海外旅行も初めてだったからスゴイ新鮮だったですね。そのときの監督さんから言われた“ビデオクリップは映像だから、意識の変化だけで結構どうにでも変われるものなんだ。1曲1曲を歌うワケじゃないから、全部の思いを心に詰めてね”って言葉が今でも強く残っています。声に出すことは心からドンドンはきだすことだけど、映像は自分の中に溜め込んでいく見せ方なんだって。そのときは、スゴイ世界だなぁっていうぐらいの感動しかなかったんですけど、今こうして音楽の立場としていろんなことを伝えていると、あの言葉が余計に響いてきますね。
──お気に入りのシーンとかありますか?
YUKA:初めて演技のようなことをやったのが「首すじライン」でした。“カメラマンに告白するつもりで、そういう顔をしてみて”と言われて、恥ずかしかったんですけど、演劇部だったんで演劇部魂で頑張りました。2人とも頑張ったので見逃せないシーンですよ(笑)。
YUI:「一人旅シャラルラン」の最後にバーンて盛り上がるサビがあるんですけど、そこでの私たちのパフォーマンスを見て、オーストラリアの現地スタッフの方が“ブラボー!”って言ってくれたんです。そのシーンはみんなに見てほしいです。日本語の歌なので、何を歌っているかは全くサッパリだったみたいですけど、そのときに、音楽じゃなくて、先程の監督が言っていた“心”を伝えられたっていうふうに思って、泣きそうになりました。 |