──「Lovin' Life」に次ぐ、新たな“桜ソング”の名曲も生まれましたね。
ファンキー加藤:実は「Lovein' Life」という曲は、元々は“春”をテーマに作った曲ではなかったんですよ。最初の歌詞には“桜”という言葉はなかったんです。制作を進めて、けっこう大詰めになってから急にガラリと方向性が変わって、桜の要素が入ってきたんです。「Lovin' Life」で僕らの事を知ってくれた方も多いと思いし、桜ソングの定番曲として選んでもらう事も多くて、すっごくうれしく思っているんですけど。今回の「桜」は、はじめから“桜”や“春”をテーマに、その季節の風景や香りが漂ってくる、淡くて暖かい曲にしようと作り始めた曲で、だから、「Lovin' Life」と「桜」はスタート地点がちょっと違うんですよね。
──「桜」は、求婚ソングという印象も受けましたが。
ファンキー加藤:確かに、求婚ソングでもありますね。春というのは、別れの季節でもあるんだけど、卒業とか、離ればなれになるとか、そういう事をも乗り越えていける恋の強さ、決意みたいなものを歌いたいと思ったんです。卒業を迎える恋人同士というシチュエーションもあるだろうし、僕らと同世代だったら、結婚を意識し始めた二人というのもあるだろうし。
──とっても幸せな歌なのに、泣けてきますね。ただ、その人の事を思うだけで泣けてくるって、そういう事ありますものね。
ファンキー加藤:その感情って、まさしくサビのね ♪ありがとうの涙…という事だと思うんですよ。
DJケミカル:これはね、ホントに感謝だと思います。彼氏だったり、彼女だったりに対しての感謝。当たり前の事なんだけど。
ファンキー加藤:男としてはね、自分と一緒にいてくれる、それだけでうれしいんですよ。男って、ほら、外で戦ってるわけでしょう。色んな困難がある中で、恋人だったり、家だったり、帰る場所がある、迎えてくれる人がいるっていうのは心強いんです。本当にありがたい存在なんです。
──桜が散る美しい場面が描写されていますが、「桜」を作りながら、あるいは歌う時、具体的に思い浮かぶ“桜の風景”というのはありますか?
ファンキー加藤:八王子では、お花見と言ったら藤森公園!と決まっているんですけど(笑)、この曲のイメージは河川敷の桜なんですよ。浅川という川が八王子を流れてるんですけど、僕の中では、その河川敷に咲く桜のイメージですね。
DJケミカル:僕は家の近所の桜です。近所に古い桜の巨木がけっこうたくさんあるんですよ。家への帰り道で見える、そういう身近な桜を思い出す曲ですね。
──ところで、ケミカルさんは、昨年夏、「告白」でインタビューさせていただいた時、“今度は僕も詞を書きます!”と宣言されたのですが、覚えてらっしゃまいますか?
ファンキー加藤:あら〜ノリで言っちゃったんじゃないの〜?(笑)
DJケミカル:いや、僕、ちゃんと書きましたからね。アルバムには入ってないですけど、「桜」のカップリングの「君の手の平でダンス'09」で。
ファンキー加藤:この曲はね、僕らがデビュー前に作った曲なんですよ。デモで配っただけでリリースはしてないんですけど。今回、改めてレコーディングして、それで「'09」になったんですけど。トラックは大きく変わりましたけど、歌詞は、僕もモン吉も当時のまま歌ってるんですよ。だけどなぜか、ケミカルだけが歌詞を書き直したんですよね。それで、ケミカル自身が歌ってるんです。FUNKY MONKEY BABYS史上初の大事件!
DJケミカル:あははは(笑)。いや、そんな大した事は歌ってないですから。とにかく、面白おかしくってことで…。
ファンキー加藤:でもね、ケミカルは密かに、モン吉のラップの歌詞を手伝ってるんですよ。実はケミカルは韻を揃えるのがすっごくうまいんです。例えば、”東京”という言葉があったとして“ケミちゃん、東京で何か韻踏めない?”ってモン吉が相談すると、ケミカルからポコポコポコポコ色んな言葉が出てくるんですよ。今回のアルバムでも、たぶん、けっこう多いと思いますよ。
──ケミカルさん、実はかなり作詞していたんですね。
ファンキー加藤:してたんですねぇ。韻担当!(笑)。
──「君の手の平でダンス'09」ですが、男性は、実はけっこう、ああいう方が良かったりするんでしょうね?(笑)
ファンキー加藤:手の中の孫悟空状態?そうですね、僕もこの年になってそう思うようになってきました(笑)。
──一見、鬼嫁風というか、キツそうな女の子ですけど、実は、きっとイイ子なんだろうなと思ったり。
ファンキー加藤:ある意味、理想の女性だと思いますよ。男の尻を程よい感じで叩けるっていうのは。それで、男は馬車馬のように外で働くわけですから(笑)。
──「桜」から続けて聴くと、結婚前・結婚後みたいな感じもしませんか?
DJケミカル:なるほどね。それ、面白い!
ファンキー加藤:ビフォー・アフターみたいだね。それは全然考えてなかったけど、確かにそういう風にも解釈できますねぇ(笑)。
──アルバムの中にも、楽しい曲がたくさんありますね。
ファンキー加藤:そうですね。アルバム曲では、単純に僕らがこういう音楽をやりたい、こういう音を出したいというのを作りましたね。「メロディーライン」「おかえりなさい」「ガムシャラBOY」だったり。「ナイトショット」「LOVE乱舞〜恋のミッション〜」なんかは、ゼッタイにシングル・カットできない、まさにおふざけソングですよね。でも、こういうおふざけソングの方が頭悩ませて作ることが多いんですけどね(笑)。
──ライヴが楽しみな曲ばかりですが、曲を作りながら、ライヴの事は意識されますか?
ファンキー加藤:どんな時も、常にライヴで歌う事を考えて作ってますね。この曲はここでかけ声があがるだろうなとか、ここで手を振ってくれるだろうなとか想像したり、ライヴでノリやすいようにしようと曲のBPMを上げたり。
──全国ツアーのあとは、いよいよ武道館ですね。
ファンキー加藤:武道館というのは、僕にとって特別な場所なんです。僕はBOOWYに憧れて音楽を始めたんだけど、そのキッカケとなったのが、BOOWYの初武道館ライヴのCDだったんです。中学生の頃ですね。年齢的には、リアルタイムでBOOWYを経験している世代じゃないんですけど、まだ、その余韻というかBOOWY熱が残ってる頃でね。そういうね、僕が音楽を志したキッカケとなったBOOWYと同じステージに、僕自身が立つというのは、すごく感慨深い。その時から数えると16年かかったわけだし。でも、うれしい反面、まだまだ実感がわいてなくて。まずは、ツアーですね。ツアーに全力投球しない事には、武道館にたどり着けないし。ツアーからもまた、色んな事を学べると思ってます。
──最後に、アルバム・ジャケットについてお聞きしたいのですが。
ファンキー加藤:やっぱりね、ケミカルの顔はインパクトがあるし、ファンモンではいちばん知られている顔ですからね。『1』の時は遊び半分だったんだけど、恒例化してきまして、これから先どうなるか。まぁ、いつもケミカルには相談なしで決めてるんですけどね。
──では、今回の初回生産限定盤のデザインも相談なしで?
ファンキー加藤:全く相談なしで。着させたって感じですね(笑)。
──ケミカルさんご自身は、いかがですか?
DJカミカル:僕らのCDが出る事を知らなかった人でもね、このジャケット見て、とにかく“なんだコレ?”と思ってくれたらいいなって思います。
ファンキー加藤:もう、薔薇とか全然似合ってないでしょ?(笑) でも、とにかく気になりますよねぇ、このジャケット。
──なります、なります。
ファンキー加藤:外はニセモノですけど、中身はホンモノですから(笑)。絶対の自信を持ってお届けする『3』です。このケミカルの顔を見かけたら、まずは手に取ってみてください!
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