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昨年12月、音楽を通して“愛”と“絆”の大切さをストレートに伝えていきたいという信念のもと、独自のレーベル“Tank Top Records”を設立。今年1月、配信シングル「いのち 〜桜の記憶〜」で本格的なソロ活動をスタートした若旦那が、「守るべきもの」に続くソロ第3弾シングルを10月26日にリリース。両A面シングルとなる今作は、究極の純愛をストレートに歌った「TASUKI」と、“あなたの笑顔は世界で一番美しい”というメッセージのアップテンポなナンバー「青空」をコンパイル。これまでとはまた違う“シンガーソングライター・若旦那”の新たな魅力が詰まった1枚に仕上がっている。
若旦那のロングインタビューを【前編】【後編】の2回に渡ってお届け。【前編】は、「TASUKI」の制作のキッカケから楽曲に込められた想いをお話いただきました。若旦那の意外な作詞・作曲方法も明らかに!?
──まず「TASUKI」を作られた時期は、いつ頃ですか?
3月の東日本大震災後、スグですね。3月の終わりぐらいですかね。
──震災を受けて作られたんですか?
震災後に多くの被災者の方たちと接していて、一番大事なのってお金とかじゃなくて、皆さん何よりも思い出をスゴク大事にしていて。何を最初に探したかっていうとアルバムなんですよね。家が無くなったことよりもアルバムが無くなったことをスゴイ悔やんでいて。思い出ってスゴイ大事なんだな、自分が生きてきたことってスゴイ大事なんだなって思いましたね。「優しさや悲しみ喜び 伝える事ができない時 孤独を感じちゃうよ〜」や、「想い出だけは頭じゃなく 心にしまう〜」という歌詞は、震災後に書いたことかな。
思い出は、ただ単に情報として頭の中にしまうんじゃなくて、感じたことを心にしまっておくってことを言いたくて。どんな付き合いをしてたのか、どんな会話をしてどんな風に感じたのか。どんな服を着ていたのかっていう見た記憶じゃなくて、ちゃんと感じたことを心にしまっておく、それでたまに思い出してあげる。決して頭で思い出すんじゃなくて、心で思い出すっていう。別個のようで、結局、頭という回路を使って考えるから、頭と心の違いっていうのは難しいんですけどね。
──曲と歌詞は、どちらを先に作りますか?
毎回、トラックをコードだけでギターで弾きます。コードをギター弾きして歌を乗せて、それをアレンジして行きます。歌を乗せていく時も、俺はフリースタイルに近いカタチです。机の上で歌詞を書くタイプじゃなくて、ボーカルブースに入りながら作ったり、ハンドマイクで歌いながら出てくる言葉をメモっていくっていうのが自分のスタイルなんです。ほとんどフリースタイルですよ。ただ、録った後に、少し綺麗に整理します。
──「TASUKI」という言葉は、どんなところから発想されたのですか?
生きていくっていうことだとか、何故この世に俺が生まれてんだろうとか、常に考えさせられていて。それはもうずーっとなんですけど。何千年続いているこの命を自分も引き継いで来ていて、ずっと神秘的に感じているんですよ。全ての皆さんの命は、どっから始まったんだろうみたいな。何千年続く命の繋がりがタスキに思えたんです。そういうタスキは見えないけれどずっとあって、生きていく中で自分の汗が染み込んで、また自分の色が加わって、生まれた時に貰ったタスキとは死ぬ時にはまた違う色のタスキになっている。それを俺らは何回繰り返してココに来たんだろう、このタスキは何回そういうことをやって来て俺らは背負ってるんだろうって、よく思うんですよね。俺らはどんな人と付き合って、愛し合って、傷つけて、傷ついて、笑って、泣いて、喰いしばってっていう色がタスキにまた染み込んで、また誰かにタスキを渡す。子供がいる人は子供にタスキを渡すんだけど、子供がいない人でも皆にタスキを渡せるワケで。
もう俺は歌で色んな人にタスキを渡しているんだよね。だから皆のタスキに俺の歌がどう染みてんだろうとか思ったり。この歌「TASUKI」の中の二人は別れたけれど、お互い愛し合っていた時の色と匂いが染み込んで、次の人とまた良い付き合いをしていく…そういうのも1個1個タスキのような気がしてて。前の人との出会いや付き合いが無ければ、優しさだって深さだって無かったワケで。元カレとか元カノを忘れなよって皆言うけれど、「TASUKI」は忘れなくてイイよって言いたい歌。忘れなくていいんだよ、それは心にちゃんとしまっておけば。それで色んなことを感じて、貰った優しさだとか良さだとか、傷ついたこととかをちゃんと胸にしまって次の人との付き合いに生かす。またゼロに戻す必要は無くて、次に付き合った人がもし“何でお前はそんなイイ奴なの?”と聞かれた時に、“実は前の人とイイ付き合いが出来てたから、それが全部生きてる”って言えて、それを受けた男も“じゃぁ、お前の元カレに感謝しなきゃな俺は”って言うような付き合いが出来たらなって思うんですよ。
──なかなかそこまで懐が深くなれないですよね。
でも考え方は1個で、その人を幸せに出来ていれば懐は深くなるっていうか。“何で昔の男のことで影響を受けてんだよ”なんて嫉妬する気持ちも分かるんだけど、そういんじゃ無くねーかって言いたくて、この「TASUKI」を作ったんです。この別れは成長なんだと。別れというか、付き合った時点でその人の成長だから。それは何も後悔することは無いし、忘れる必要も無いし、ちゃんとシッカリ覚えていなさいと。
──タイトルはどのタイミングで決めたんですか?
いつも曲が出来てからタイトルを付けますね。この歌のタイトルも、初めは「タスキ」とカタカナで書いてたんですけど、大沢さんのアレンジが上がってから「TASUKI」に書き直しました。俺がギター1本で歌っていた時はカタカナが合う歌で、大沢さんのアレンジが上がってきた時にはカタカナが合わないなと思って。
──「TASUKI」の作詞にあたって、特に意識したこと、言葉やフレーズはありますか?
それは全部って言えば全部ですけど(笑)。最後まで悩んだのはサビの1行目の「好き過ぎた 好きでした〜」かな。
──それは何故?
何でだろうね、ずっと探してた。全部ラフの段階のフリースタイルで作ったまま来ちゃっていて、最後の最後、本当にコレで良いのかなってずーっと悩んで、色んなパターンを録ったけど、やっぱりコレなんだよなーって思って。
──「TASUKI」の歌詞で、ご自身がコレは良く浮かんだなというような言葉、フレーズはありますか?
良く浮かんだなって訳ではないですが、好きなのは「ふたりで聴いたあのミュージック 心はまだそこにいる〜」っていうフレーズですかね。