No.1フィメール・ラッパーMiss Mondayが、注目の次世代歌姫・菅原紗由理をフィーチャーして、切なく美しい失恋バラード「さよなら feat. 菅原紗由理」をリリース。
Miss Mondayと言えば、HIPHOP・レゲエを基調に、自分自身をさらけ出したストレートなメッセージ・ソングが持ち味だが、今回は、ガラリと作風が異なるセツナ系ラヴソング。こうした大きな変化はいったいどこから?意外な事に、彼女の口から出て来たのは、阿久悠、松本隆・・・と歌謡界を代表する作家の名前。自分自身を吐露する事を信条としてきたMiss Mondayが、もう1つの方向性として辿りついた“ストーリー自体を楽しむ歌”とは・・・?
──ニュー・シングル「さよなら feat.菅原紗由理」は、これまでのMondayさんの楽曲とは、ガラリと雰囲気が異なる印象ですが。
私のこれまでの歌は、私自身が歌の主人公で、自分が思う事をそのままストレートに書いてきました。でも、今回の「さよなら」は、19〜20歳くらいの女の子を主人公に、その失恋を“物語”として描いた曲。こういうタイプの曲は、初めてですね。
──何かキッカケが?
1年前に、「The Light feat.Kj from Dragon Ash,森山直太朗,PES from RIP SLYME」というシングルをリリースしたんですけど、この曲はKjプロデュースのもと、"明けない夜はない"というテーマでそれぞれがメッセージを歌っていくという、ストレートな"希望の歌"だったんです。メッセージ・ソングとして本当に納得がいくベストなものができたので、次は何か新しいトライアルがしたいと思っていて。そんなときに、物語を描くように曲を書いてみるのも面白いかなと考えるようになったんです。
──物語としての歌、というのを意識するようになったのは?
去年くらいから歌謡曲の歌詞というのをすごく意識するようになったんです。かつての歌謡曲の専業作詞家さんの歌詞というのは、歌い手さんのキャラクターを読み取った上で、その時代にマッチした、聴き手が感動するストーリーを作り上げている。それってスゴイなと思って、阿久悠さんと松本隆さんの作品を読みまくっていた時期があったんです。“うたまっぷ”でも、阿久さんと松本さんの歌詞をしょっちゅう見ていたんですよ(笑)。ストーリーのある恋愛ソングというのを強く意識するようになったのは、阿久さん、松本さんの歌詞に感銘を受けたからというのが一番大きいですね。
──阿久さんも、松本さんも、フィクションなんですよね。
そう、主人公ありきで作っているんですよね。誰が歌う曲なのかで全然違いますよね。例えば、80年代の松田聖子さんの曲だったら、聖子さんのような可愛らしいトップ・アイドルが、切ない恋愛の歌を歌ったらどんな風になるのかな・・・そんな風に作られていったんだと思うんです。私の場合、これまでは、殆どの曲の主人公がMiss Monday自身だったんですね。でも今回は、自分をどんなシチュエーションに置いてみようか、とか、その状況に自分がいたらどう思うだろうか、って、これまでとは違う視点で歌詞を書いてみようと思ったんです。
──そうした背景があっての「さよなら」だったんですね。
そうなんです。紗由理ちゃんと2人で曲を作ったら何か新しいものが生まれるんじゃないかと思っていて、それで"一緒に曲を作らない?"と誘ったんです。そして、紗由理ちゃんとのコラボレーションなら、ちょっと切ない恋愛ソングが合うんじゃないかと思って、そこから、想像がどんどん膨らんでいきましたね。
──Mondayさんがトライしたいと思っていた“ストーリーのある恋愛ソング”が、菅原さんとのコラボレーションという機会を得て、具現化されたという事なんですね。
そうなんですよね。ほんとに紗由理ちゃんのあの歌声があったから作れた曲だと思います。
──楽曲作りは、どんな風に?
今回は、恋愛小説のショート・ストーリーを描くようなつもりで、初めから“物語”として作っていきました。主人公はどんな女の子で、どんな風に彼と出会って、どんな時間を彼と共に過ごしてきたのか・・・そういう物語をまず作って、そこから主人公の女の子の気持ちに自分がグッと入っていく、というイメージで作っていったんです。
──トラックに関しては?
切ない恋愛ストーリーを描いていくと考えた時に、これはもう、3rd Productionsしかいないなと思ったんですよね。私が組み立てたストーリーを伝えて、その中で、彼らの自由な感覚で作って貰ったんですけど、出だしのピアノが春らしいですよね。
──桜の花びらが舞っているような、キャンパスの風景が浮かんできますね。
そうなんですよね。3rd Productionsにとっては、切ないラブソングは十八番なんですが、そこに、日本人特有の情の部分とか繊細さを感じさせる要素も加えてくれて、イメージ通りのトラックを提供してくれました。
──主人公の現在の胸のうちを菅原さんが歌で表現。Mondayさんのラップが物語を語るナレーションのように感じましたが。
正にそういう感覚で作っていきました。私の役目は、主人公のかつての恋愛を振り返って、二人の間の出来事や、自分の心の中に残ってる想いを丁寧にストーリーテラーとして語っていく事。そして紗由理ちゃんには切ない歌声で「君を忘れないよ・・・」と歌うことで、"忘れられないならずっと好きでいいんだよ"っていうメッセージを伝える役割を担ってもらいました。
──歌詞については、菅原さんが歌うという事で、特に意識された点はありますか?
紗由理ちゃんが歌うサビの歌詞は、実は6パターンくらい書いたんですよ。ほんとに最後まで悩みましたね。とくに♪あの日の「さよなら」の意味が 「ありがとう」に変わった〜というフレーズ。があるんですけど、ここはもうひとつ、♪あの日の「さよなら」のキスが 「ありがとう」に変わった〜というパターンも考えていて。もしここを私自身が歌うのなら、“さよならのキス”でも良かったかもしれないんですけど、19歳の女の子の温度感としてはどうなんだろうって。紗由理ちゃんが持っている透明感や純粋さを生かすなら“さよならの意味”の方が彼女らしいな、と思って。それで、“キス”ではなく“意味”の方を選んだんですよね。
──19〜20歳頃の恋愛と言うと、具体的にはどんな事をイメージされましたか?
舞台の設定は大学なんですよね。大学って、入学式の直後に、キャンパス中で部活やサークルの勧誘合戦があるじゃないですか。あっちでもこっちでも呼び込みやってて、新入生は次々声をかけられて、みんなすっごく楽しそうにワイワイやっているんだけど、ちょっとそういう輪の中に自分からは入れない・・・という主人公がいて。そこで、“ねぇねぇねぇ”と気さくに優しく声をかけてくれたのが彼だった・・・物語のスタートは、そんなイメージでしたね。周囲になかなか馴染めないとか、本当はみんなと仲良くしたいのに、うまくキッカケが作れない・・・そういう主人公のキャラクターは、私自身のことだったりするんですけどね(笑) |