日本テレビ系深夜アニメ“君に届け”オープニングテーマ「きみにとどけ」が、アニメ・ファンを中心に大きな話題を呼んでいる。歌っているのは、シンガー・ソング・ライターのタニザワトモフミ。今年2月、シングル「東京ハロー」でメジャー・デビュー。ミニ・アルバム『オートバイ少年』を経て、今作が2ndシングルとなる。アニメの世界観にぴったりハマる、爽やかさと切なさを併せ持った甘酸っぱい青春ソングだ。
身長184cmのBIGなニュー・カマー。タニザワトモフミに注目!!
──新曲「きみにとどけ」が大きな話題を呼んでいますね。アニメ“君に届け”のオープニングテーマとして書き下ろしたナンバーとのことですが。
僕自身が、元々、原作コミックの大ファンで愛読していた作品だったので、オープニングテーマのお話をいただいた時は、すっごくうれしかったですね。アニメの映像とマッチするかどうか心配もしていたのですが、10月から番組が始まり、第1回の放送を観た時に、アニメの雰囲気と曲が合っていて、まずはほっとしました。ネット上でも、すごく話題になっているという事で、予想以上の反響でビックリしています。
──いちばん意識した点は?
“君に届け”という作品は、とても芯のあるマンガで、それは“伝えたい気持ち”という事だと思うんですよね。主人公の爽子さんと、彼女の憧れである風早くんがいて、伝えたい気持ちがあるのに伝えられなかったり、もしくは失敗したり。伝えるというのは、恐ろしい事でもありますよね。ハッキリさせる事で、終わりという答えが出てしまうかもしれない。だから、想いがどんどん膨らんでいくと、余計に伝えづらくなっていく。そういう葛藤の中で、それでも、主人公がだんだん成長していく姿が描かれている作品です。その感じを出しつつ、僕としては、“伝えるという事の大切さ”を僕自身のメッセージとして、プラスしたいと思いました。
──歌詞は、“僕”という一人称で書かれていますが。
“僕”という一人称を使いましたけど、これは、主人公の爽子さんの立場に立って書いた詞です。彼女の気持ちになって、僕自身の言葉で書きました。
──風早くんの立場で、爽子さんへの想いを歌っているのかとも思ったのですが。
確かに、どちらにも通じる歌詞だと思うんですよね。お互いが持っている感情はすごく似ていて、同じような葛藤を抱えているから。ただ、大きく違うのは、爽子さんは、風早くんになりたいんですよね。風早くんみたいな人になりたい。その憧れみたいな感情、変身願望にも似たものがあると思う。そういう感情を抱いているのは、爽子さんの方だけなんですよね。僕は、そういう爽子さんの気持ちを歌いたかったんです。
──メロディー、サウンドのイメージとしては、どんな事を?
やっぱり一番に思った事は、メロディーもサウンドも“爽やかさ”という事ですね。その上で、爽子さんの風早くんへの憧れを音にして、その音をバックに、爽子さんが歌っている。そんなイメージです。
──ピアノが印象的なアレンジですが?
楽器の中では、今回はピアノがすっごく重要。ピアノって、学校のイメージと直結するでしょう?授業中、教室の窓が空いていて、遠くの音楽室からピアノの音がかすかに聴こえてくる。そういう経験はみんなあると思うんですけど、その雰囲気を出したくて、サウンドの軸にピアノを持ってきたんです。
──タイトルを平仮名にしたのは、何か意図が?
ちょっとしたこだわりなんですけどね。伝えたい想いというのは、どんどん膨らんでいくと思うんですけど、どんなに大きくなっても、その芯の部分というのは、すごくシンプルなものなんじゃないかと思ったんですよね。例えば、好きだという想いも、色々な表現ができるけど、僕らが生まれて初めて覚える文字ってひらがなでしょう。だから、ひらがなにする事で、最も核となっているシンプルな気持ちというのを表したいと思ったんです。
──プロモーション・ビデオでは、アニメ“君に届け”とはまた違った青春ドラマが描かれていますね。女の子が好きな男の子にメッセージを送るというストーリーですが、最後まで彼女が何を作っているのかわからない。とっても、引き込まれるストーリー展開ですよね。
ほんとに素晴らしいプロモーション・ビデオが出来たと思っています。“気持ちを伝える、伝えたい”というテーマは同じでも、“君に届け”の爽子さんとは異なるタイプの女の子を主人公にして、アニメとはまた違う伝え方をしたかったんですよね。僕もすっごく気に入っています。
──積極的な女の子が描かれていますけど、あからさまな告白ではなくて、自分の気持ちに気づいてもらいたい・・・そんな描き方ですよね。
女の子の方から想いを告げるというのは、すごく勇気がいる事だと思うんですよね。女の子側からすると、男の方から言ってもらいたいものでしょう。だから、女の子の方は、自分から行動に出る前に一歩待つ、というのがあると思うんです。そういう女の子が、どんな風に想いを告げるか・・・それがテーマとなって、出て来たストーリーなんですよね。プロモーション・ビデオも多くの方に是非観ていただきたいです。
──「きみにとどけ」は、これからますます多くの方の耳に届くようになると思うのですが、タニザワさんご自身は、この曲を通してリスナーの皆さんとどんな事を共有したいですか?
まずは、この曲が持っている“甘酸っぱい感じ”ですね。これは誰でも経験している事だと思うんです。学生の人は、まさに今、そういうまっただ中にいると思うし、大人もあの頃の甘酸っぱさの記憶は残っている。その感じを呼び起こす事ができたらいいなと思います。それから、伝えたい事があって、それがうまくいかない事もみんな経験していると思うのですが、伝えたいと思う、伝えようとする、その気持ちがとっても大切なんだという事を、一緒に再確認できたらいいですね。 |