Aira Mistukiの2ndアルバム『PLASTIC』が絶好調!親しみやすいポップなナンバーが格段に増え、21世紀のエレクトロ・アイドル・アイコンが更にジャンルレスに加速。
Airaをデビューから支えるTerukadoプロデュース作品を中心に、AYUSE KOZUE、Shigeo<from SBK/TheSAMOS>、□□□など総勢11アーティストがfeaturingやremixで参加。多彩なコラボーレーションが大きな話題となっているが、何と言っても今回の注目は、Aira自身が3曲の作詞を手掛けていること。
Aira自身が作詞した「BAD trip(feat.Terukado)」「プラスティックドール」「サプリ」の話を中心に、Airaの素顔に迫るディープなインタビュー。乞うご期待!
──2ndアルバム『PLASTIC』がいよいよリリースされましたね。大変好調ですが、ご自身ではどんな手ごたえを?
Aira:捨て曲が全くないアルバムで、もうBESTアルバムと言ってもいいくらいの作品だと思っています。これまでのAiraの曲は、ヘヴィーでポップ寄りじゃない音が多かったんですけど、今回は、ドライブのBGMにもピッタリな、日常生活の中でずっと流してもらえるような、すっごく聴きやすいアルバムになったと思います。
──今回は多彩なゲストを招いての作品となりましたが、こうした方向性はどんな所から?
Aira:1stアルバム『COPY』(2008年9月)以降、「ロボットハニー」「サヨナラ TECHNOPOLiS」「BARBiE BARBiE」と3作のシングルをリリースして来たんですけど、「サヨナラ TECHNOPOLiS」がとっても好評で、ファンのみんながAiraに期待してくれている事、求めてくれているモノというのが、わかってきたんですよね。
──「サヨナラ TECHNOPOLiS」で、何をみんなに求められたと?
Aira:あの曲は、クラブやDJフェスでAira自身が聴いてカッコイイなと思ったサウンドをベースに新しい要素も加えて作ったトラックで、音楽的にはすごく遊べた曲だったんですよね。歌詞もシリアスな面も強かったし、曲調も決してポップではなかったんですけど、CDジャケットのデザインとか、月の土地を買ったりだとか、そういう一貫したコンセプトが良かったのかなって。守りに入ってポップ路線を行くんじゃなくて、そうやって、どんどん新しいものを取り入れて、攻めの姿勢でいく事がAira Mitsukiに求められているんだと感じたんですよね。今回のアルバムで、色々な方をフィーチャーしたのも、また新しいAira Mitsukiを見せたかったからですね。
──“物語集”と言うか、1曲ごとに異なる物語の主人公をAiraさんが演じているような、そんな印象も受けましたが。
Aira:“Aira Mitsuki”というのは、プロデューサーのTerukadoさんがいて、その上で出来あがっていくものだから、CDに関しては、あまりガツガツ自分を出したいとは思っていないんですよね。
──その距離感というのがとっても新しいし、面白い所だと思うのですが。
Aira:いい意味で、1曲1曲、着せ替え人形的なアルバムになったとも思います。
──今回は、Airaさん自身が作詞された曲が3曲ありますが、作詞についてはどういう経緯で?
Aira:今回は詞を書くぞ〜とか意気込んでいたわけではなくて、書きたい曲があったら書こうかなくらいの気持ちだったんですよね。一番最初に書いたのが「プラスティックドール」だったんですけど、スタジオで10分くらいで書いちゃって(笑)。
──曲が先ですか?
Aira:そうですね。サウンドができあがって、トラックが完成してから歌詞をつけます。元々、詩を書くのは好きで、デビュー前から書いてはいたんですけど、その時に書いていた詩というのは、登場人物は“僕”か“君”しか出てこない単調なものが多くて、歌詞の書き方というのは、デビューしてから、Terukadoさんに色々教えてもらって勉強しました。歌詞というのは、ポエムと違って、1曲という短い時間の中で、情景までを思い浮かべられるように書かなくちゃいけないし。キーワードになる単語をサビに持ってくるとか、その単語を繰り返したくさん使うとか、サビにタイトルを入れたりだったりとか、そういう事は意識して書いています。
──「プラスティックドール」という発想はどんな所から?
Aira:言いたい事をそのままメロディーに乗せただけなんですよね。以前から、電車の中でも、移動中でも、自分が感じた事、思った事を携帯にメモる癖があって、最近はそれをノートに書くようにしてるんですけど、思った事を文字にしないと気が済まないタイプなんですよね。「プラスティックドール」の詞も、いつもと同じで、その時に思った事を書いたっていう感じなんですね。
──でも、歌詞となると、音に乗る、乗らないもあるでしょう?
Aira:そうなんですけど、この曲は、すんなりハマったんですよね。計算して書いたかのように、ピタリとハマりました。
──トラックを聴いた瞬間に閃くものがあった?
Aira:そうですね。その頃は、書きたい事がたまり過ぎていて、いちばんピンときたのがこの曲だったんですよね。この曲を聴いた時に、サビがキャッチーだったので、こういう詞をつけても、曲が重苦しくならないなって思ったんですよね。1行目から出てきました。
──♪感情ないプラスティックドールなりたいんだって願う・・・この1フレーズで、主人公の気持ちというのがよく伝わりますね。
Aira:すごく“素”の私に近い・・・と言うか“素”そのものですね(笑)。
──いま、Airaさん自身も、プラスティックドールになりたい?
Aira:人間は、性格が良い人・悪い人って決められたりするけど、根本的にはみんな一緒だと思うんですよね。その性格を出すか出さないかの違いだけで。例えば、赤ちゃんだったら、周りの事なんか気にせずお腹がすいたら泣くし、欲のままに生きてるんだと思うんですよね。それを我慢して出さないか、我慢しないで出すか・・・性格の良し悪しって、その違いだと思うんですよね。だから、感情がなければいいって言うより、大人になる事って、苦しいな・・・みたいな。
──我慢って、よくない事でしょうか?
Aira:気を遣うというのは良い事だと思うんですよ。好きな人には気を遣いたいし。気を遣えるというのはすごく素敵な事だと思うんですけど、私としては、わざと明るく振舞ってまで人に気に入ってもらおうとは思わない。
──その事と、大人は我慢しなくちゃいけない・・・と、どう結びつくのでしょう?
Aira:大人になると、ある程度、人と距離感を保たなければならないじゃないですか。例えば、中学生くらいの男の子同士だったら、殴り合ってわかり合えるみたいな事もあると思うけど、大人は、殴り合ってわかり合うワケにはいかないじゃないですか。上司が間違っている事を言っていても、“ハイ”って言わなくちゃいけない、みたいな。
──うーん、それって、かなりの思いこみだと思いますけど。
Aira:小さい頃から、ぶつかり合っちゃいけないって教えられて来たからですかね。喧嘩はいけないって言うか、やっぱり、人に気に入ってもらうためには、自分を全部出したらいけないって思っちゃうんですよね。
──お友達と議論したり、そういう事もしない?
Aira:同世代では言い合いはしちゃいけないんです。まず、同調しないといけないんですよ。じゃないと、友達じゃなくなりますね。
──若い世代のそういう風潮はよく耳にしますが、実際にそうですか?
Aira:私も何か相談した時に、相手から否定されたら、もうその子のメモリー消そうとか思いますもん。本当に仲の良い友達に対しても、本当に本音を言ってもいいのかなって思っちゃうし。同世代に対して、すごく気を遣うんですよね、Airaの世代は。
──「プラスティックドール」は恋愛がテーマですけど、そうした人間関係の悩みも当てはまる?
Aira:そうですね。友達関係にも当てはまると思います。一見、恋愛ソングですけど、よく聴くと、♪少しでもはみだしたら切り捨てるんだよ・・・とか、社会のあり方にも通じる部分はあると思うんですよね。「プラスティックドール」に限らず、Airaの曲は、同世代だけでなく、例えば、30年代男性にも当てはまる曲とか多いと思います。
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