ほんとは誰もが持っているくせに、誰もが心の奥に隠している恨みや妬み、悪意や憎悪や絶望を、心のままに歌にする衝撃のシンガーソングライター間々田優。
その暗く激しい歌世界から、エキセントリックな人物像を勝手に想像してしまうが、ふだんの彼女は、至って明るく健康的な女の子。この大きなギャップはいったいどこから・・・?
──まず、お目にかかっての第一印象なんですけど、間々田さんの歌世界とご本人のキャラクターには、すっごくギャップがありますよね?
よく言われます(笑)。私はずっとアルバイトでウエイトレスをやっていて、大きい声で挨拶したり、お客様とお話ししたり、そういうのはすごく好きなんですよ。でも、作る歌は、自分の心の中にある秘めた部分がテーマになることが多くて。バイト先の喫茶店にもCDを置かせてもらっていたんですけど、買ってくださったお客様は、お店ではすっごい笑顔の女の子が歌を聴いたらめっちゃ暗かった!もうビックリだったと思います(笑)。
──楽曲作りはいつ頃から?
一人で弾き語りを始めたのは、24歳のときからですね。大学時代は、音楽サークルでバンドをやってて、4年間歌いっぱなしだったんですけど、卒業したら、それまで当たり前だと思っていた“音楽のある生活”がなくなってしまって。あ、音楽って、自分で続けていこうと思わないと続けられないものだったんだなと改めて気づいて。
ライヴハウスに片っ端から電話してみたんです、歌わせてほしいって。そしたら、オリジナル2曲のデモテープを持ってこい、と。大学時代はコピーしかやってなかったから、オリジナル曲なんか持ってなくて。それで生まれて初めて曲を作ったんですよ。
──いきなり作れちゃうものなんですか?
ギターは全く弾けなくて、知ってるコードはAmとEmくらい。でも、コードを勉強する時間ももったいないし、とりあえずアコギを抱えてボロローンと音を出してみて、自分の感覚で“イイ響き”と思う音を手さぐりで探しながら、なんとか2曲作ったんです。それで、でライヴハウスに出させてもらうようになって…。
──今回のアルバムには、その頃の曲も?
1曲目の「3つ」が、生まれて初めて作った曲です。あと「真夜中」も同時期ですね。最初は、そんなにしっかりした構成ではなくて、もっと大雑把で、ライヴで歌いながら少しずつ変えていって今の形になったんですけど。
──アルバムの中では、「3つ」「真夜中」「我慢」「良い彼女」の4曲がすごく繋がってる感じがしたんですよね。キーワードは“復讐”みたいな。
私は、作品として歌を作っているけれども、でも、その前にやっぱり“女”なんですよね。夜中に一人になったら、凄く卑屈になったりもするし、絶対に出来ないけどやってやりたいことを考えてしまったりとか。恨みとか妬みのような感情もすごく出てくるので、「良い彼女」なんかは、すっごく明るく歌ってますけど、こんなことまで歌にしちゃっていいのという感じでしょう?
──知ってる人が聴いたら、明らかに誰のことだかわかる?
絶対わかりますね(笑)。「3つ」も「真夜中」も「我慢」も「良い彼女」もそうなんですけど、私は曲を作るときに必ず宛書があるんですよ。その人に向けて、手紙を書くような感じで書いてるんです。
──夜中って、ヘンなこと考えますよね。妙に勇気が沸いてきたり。心の悪魔が出てきませんか?
出てきますね〜(笑)。
──ここで一発、嫌がらせの電話を鳴らしてやろうかな、とか?
怖いなぁ(笑)。でも、よくわかります。
──いざとなったらやっちゃうんだもんね〜とか思いながら、でも結局、できない。
そうなんですよね、結局出来ない。うん、出来ないんですよ。
──「3つ」ってそういう曲ですよね。でも、結局できないから「我慢」とか「良い彼女」になるんじゃないかと…。
本当に優しい気持ちになって、いろんなことを許して曲を書いてる時もあって、ずっとそうだったらいいんですけど、やっぱり、出来ない苦悩とか卑屈な部分の方が力になってしまうんですよね。
間々田 優 直筆! 1曲ごとのイメージ・イラスト&手書き歌詞にも注目!! |
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「3つ」 |
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「真夜中」 |
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「我慢」 |
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「良い彼女」 |
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