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──今回の新曲のタイトルは“BOND〜絆〜”ですが、JAMOSAさんのお話をお聞きしていると、“BOND”と言うのは、JAMOSAさんの人生を象徴する単語のようですね?
本当にそう思います。何もない私に歌う場を提供してくれた人、デモ制作に立ちあってくれた仲間、インディーズ時代の私をフィーチャリングで呼んでくれたアーティストのみなさん。それって全部ひとの気持ちですよね。そういうみんなの気持ちのお陰で、ここまで来れたんだと思います。
──若旦那さんとのコラボレーションは、どんなキッカケで?
若旦那とも出会ったのは5年前で、その時“JAMO、一緒に曲やろうよ”と言ってくれたんですけど、それを5年経っても覚えててくれたんです。
──楽曲作りは、具体的にはどんな風に?
トラック先行です。私がどういう曲を歌ったらいいか、若旦那のイメージで作ってみてとお願いしました。トラックを初めて聴いたのは、移動中の新幹線の中だったんけど、聴いた瞬間に鳥肌立って、若旦那に即効で電話して“いいじゃん!”って。
──トラックの時点では、歌詞のテーマは決まっていた?
その時点では何も。“トラックいいじゃん”というのが先で、その後で、歌詞についてミーティング。その時に、若旦那から“JAMOの最近の一番HOTな話題は何?”と聞かれて、弟の話をしたんです。私には8歳離れた弟がいるんですけど、今年、大学に進学して東京に出て来たんです。すっごく仲が良くて、週1回ご飯作ってあげたりとか、悩みを聞いたりとか、私なりに一生懸命サポートしてるんですけど、実は、以前に弟にすっごく勇気を貰った事があって。私がまだ、インディーズからデビューしたばかりの頃、まだまだ全然イケてない時に、実家に帰った事があるんです。まだこれと言った実績もなく、すごく落ち込んでる時期だったんですけど、その日がたまたま私の誕生日で、中学1年生だった弟が、お金もないのに、クロスのネックレスをくれたんです。“姉ちゃん、頑張って”って。その時は、可愛いなと思っただけだったんですけど、後で親に聞いたら、当時、弟は学校ですごいイジメにあってたって。そんな弟が私に、“頑張ってね”と言って、神様(クロス)をプレゼントしてくれた。弟が私にすごい勇気を与えてくれたんです。そんな事があったんだって話したら、若旦那もすっごく共感してくれて、“JAMO、いい歌が書けそうだね”って。そこから、人と人の“絆”というテーマが生まれて、大切な人との“絆”を描いたラヴソングを2人で書こうよって。若旦那との出会いから5年経って、こうしてコラボレーションできる事も、“絆”だし、これまで、私を支えて来てくれた色んな人の事が思い浮かんで来て、私、若旦那と話しながら泣いちゃって。そしたら、若旦那が“もう、ここで構成を決めるしかない。JAMO、今の気持ちを全部紙に書いて”って。それで、私の思っている事を、感情が高ぶってる時に、グチャグチャな字でぎっしり書いて、若旦那に渡したら、“このJAMOのフレッシュな言葉で、最高のラヴソングを作ろう”って。
──“うちら”という一人称を使っていますが、普段もよく使う言葉ですか?
普通に使います。普段、普通に使ってる言葉をそのまま使うから、リアルな歌詞になると思うし。
──“うちら”と“私達”とでは、ニュアンスが違う?
全然違いますね。私の家は、父と母が文化の違いから争う事も多くて、そういうのを目の当たりにして育って来たし、私と妹はアメリカで育って、家族がバラバラに暮らしていた期間も長いので、私と妹と弟の3人は“うちらだけは、絶対に仲良くいようね”みたいな感情があるんですよね。うちら3人だけは、絶対に何があっても離れない。口には出さないでけど、3人とも心の中ではそう思っているんです。友達同士でも“私達”と言う事はないですね。やっぱり“うちら”って言ってる。
──“うちら”というのは、日本語でしか表現できないですね。英語では無理でしょう?
そうですね。英語だったら、WEかUSしかないですね。You&Iという言い方はありますけど、“うちら”というニュアンスを表現できる英単語はないと思います。
──逆に“BOND”という英単語は、日本ではあまり馴染みがないですね。この曲がキッカケとなって、日本でも“BOND”という言葉が定着するかもしれないですね。
そうなんですよ。それも狙って、わざとタイトルにしたんです。普通だったら、もっとわかりやすい日本語のタイトルにするし、「絆」だけでも良かったんですけど。私が普段から“BOND”という単語をよく使ってて、“友達とのBOND”とか“恋人とのBOND”とか言ってたら、若旦那が“BONDって何?”って。BONDという英単語は、絆という意味で、人と人がガッチリ仲良くなったりとか、そういう状態を表すんだって説明したら、”JAMO、それイイよ。それ日本で使おうよ。タイトルはBONDだね”って。
──接着剤という意味もありますね。
そうそう。BONDって、そういう意味もありますよね。壊れたものをくっつけるという意味。みんな、生まれて来た時はピュアなハートなのに、大人になるにつれて、ヒビが入ったり、欠けたりしていく。そんなハートを修理してくれるのも、BOND(絆)。ボンドで修理した箇所って頑丈になるし、そういう意味も含めて、BONDという単語はいいなって。みんなが、普通に使ってくれるようになったらいいなと思います。
──c/wの「GIRL FRIENDS」も、テーマは“絆”と言えますね。この曲は、どんなキッカケから?
確か、佐賀だったと思うんですけど、ツアー中に泊ったホテルのロビーで見かけた光景がキッカケとなった曲です。ロビーの一角のすっごい小さいベンチに、お婆ちゃん4人がギューギュー詰めで座っていて、すっごく賑やかなにお喋りしてたんですよ。まるっきり、ガールズ・トークなんです。“うわっ、SEX AND CITY おばあちゃん版だ”って(笑)。すっごくイイ光景だったんです。その時、ふと思ったんですよね。これが私だったら、誰と一緒にいるんだろうって。お婆ちゃんになっても、こうやって集まってガールズ・トークする友達って誰だろうって。そしたら、何人かの幼馴染の顔が浮かんで来て、即効で書いたのがこの曲です。
──親友との思い出を振り返りながら、その絆を確かめ合う女同士の友情ソングですが?
私には大切な友達がアメリカにも福岡にもいるんですけど、子供の頃は、悪い事も一緒にやって一緒に怒られて、殆ど毎日ずっと一緒にいたのに、大人になってからは、私が東京住まいになったので、めったに会わなくなっている。でも、何年ぶりに会っても、会った瞬間から、昨日の続きのように話が始まる。全くブランクなんか感じない。そういうのって、いつまでたっても“GIRL FRIENDS”だと思うんですよね。例え、お婆ちゃん同士になっても“GIRL FRIENDS”だろうなって。
──GIRL FRIENDSは、お互いがどんな存在ですか?
彼女達は、私を限りなく応援してくれるし、私も彼女達をを限りなく応援してる。私が新曲をリリースすると“JAMO、頑張ってるんだね。私も頑張ろうって思ったよ”って言ってくれる。会っていなくても、勇気を与えてくれる存在って超いいなって。そういう気持ちを曲にしたいなと思ったんです。幼馴染の事を思い浮かべながら、思い出をそのまま書きました。
──ご自身の実体験を基に歌詞を書くというのが、JAMOSAさんの信条だと思うのですが、“JAMOSAワールド”を、一言で表すとしたら?
オブラードに包まない。“そこまで言うか!?”と言うのがJAMOSAワールドだと思います。元々、日本には、婉曲的に表現するとか、行間を読むとか、そういうカルチャーがありますけど、私は、ずっと洋楽のストレートな歌詞を聴いて育って来たから、そのストレートな良さというのを、日本語で表現したいなと思っているんです。聴いてるそばから全部わかる詞。好きなのか嫌いなのかハッキリしてよ、みたいな。日本の女の子達は、言いたいのに言えない事がたくさんあると思うから、それを私が代弁しているみたいな感じ。だから、“そこまで言う!?”っていうのが、JAMOSAワールドだと思います。
──普段は言えない事も、歌だったら、伝えられたりしますものね?
そうなんですよ。面白い事に、私の曲って、ダウンロードの用途で一番多いのが“待ち歌”なんです。待ち歌って、自分が聴くんじゃなくて、電話をかけて来た相手に聴かせる音でしょう。特定の人に聴かせる設定もできるから、たぶん、みんな、自分では言えない想いを待ち歌にして誰かに聴かせてるんだと思うんです。
──その時々の気持ちに合った曲に、次々変えているのかもしれないですね。
そんな風に使って貰えたらいいなって思いますね。JAMOのこと、隣のお姉さんみたいに思ってくれたらいいなって。“私に任せとき。私が代わりに言ってきてやるよ”みたいな(笑)。デビューしたばかりの頃は、そんな事考えもしなかったんだけど、最近、私って、そういう立ち位置かなって気づいてきました(笑)。
──「BOND〜キズナ〜feat.若旦那」がいよいよリリースとなりますが、このCDが、みなさんにどんな風に伝わっていくといいなと思いますか?
今の時代って、Twitterとかすごい流行ってて、私もTwitterは大好きなんですけど、誰とでもすぐに繋がる事ができるでしょう。秒単位で繋がってる。だから、逆に、メールの返信がなかなか来ないと不信感を抱いたり、すぐに会えないと不安になったりする。昔だったら、例えば月に何度か手紙を交換するくらいしかできなくて、でも、その1通の手紙から、その人の想いをいっぱい感じる事が出来たと思うんです。人と人の絆って、しょちゅう会ってるとか、毎日メールしてるとか、そういう回数とか量じゃないでしょう。私と弟は、全然会っていなかったけど、強い絆があるし、若旦那とも5年ぶりだったけど、一緒に曲を作った。回数じゃないと思うんです。だから、そういう絆を、もう一回みんなで確かめてほしいなって思います。表面的なものじゃない、リアルな人と人の繋がり、BONDのリアルさ、ピュアさと言うのを改めて感じてほしいなって。この作品が、そういうキッカケになればいいなと思います。
──これから先のJAMOSAOさんは?
歌は、どんな状況にあっても続けていると思います。死ぬまで歌っていると思います。でも、何をやるにしても、人を大切にする事を忘れてはいけないと思います。みんなを大切にしていきたいです。そこが基本だと思う。出会った人、ひとりひとりに感謝して、それを当たり前だと思わないで、ちゃんと愛情をもって大切にして、生きていきたいと思います。大きな事をやろうとしなくても、そういう小さな事をコツコツやり続ける事が大きな事に繋がると思うので、そこを忘れずに走り続けたいと思います。