──「自転車レース」は、幼少期の思い出という感じでしょうか?
池森:そうですね。小学校5〜6年生の頃のイメージですね。僕は夏が大好きなんですけど、夏の思い出と言うと、やはり真っ先に浮かんでくるのは、子供の頃の夏休みですよね。強烈に色んな事を覚えていて、その当時の風景をそのまま歌詞にしたという感じです。
──♪ゴールは5km先のコンビニの駐車場〜という一節が何とも小学生らしいのですが、男の子にとっては、夏休みに自転車は欠かせない?
山根:自転車は必須アイテムですよね、夏休みの。プールもそうだし、どこに行くのも自転車を漕いで行く。どれだけ遠出したかを競い合ったり。
田川:恐ろしいくらいの距離、漕いでましたね。
山根:今思うと、相当危ない事してたよね。競走だから、右左も確認しないで道路を突っ切ったり、車がビュンビュン走ってる道路脇を、ガンガン漕いでいくわけだから。
池森:ほんとだよね。いつ轢かれててもおかしくなかったよね(笑)。
──サウンドも懐かしい感じがしましたが。
山根:テンポは速いんですけど、メロディーの流れは、ちょっと歌謡曲の雰囲気があるんですよね。そのあたりが、懐かしさに繋がっているのかもしれないですね。
──「向日葵の咲く丘」は、山根さんのヴォーカル曲ですね。
池森:DEENのライヴでは以前からソロ・コーナーが恒例となっていたんですけど、アルバムでも2006年の『Diamonds』から、リーダーのソロ曲というのが恒例になっているんです。
──作詞も山根さんですね。“お墓参り”が歌の舞台となっていますが?
山根:僕の中の夏の思い出の1つなんですよね。母方の田舎が静岡で、海に面した山にお墓があって、子供の頃、お盆になると蝉の声を聴きながら山を登って行った。その情景が夏の思い出として常に頭の中にあって、そこから広げていったストーリーなので、具体的に誰かを想定して書いたわけではないんですけど。夏歌と言うと、明るい歌のイメージが強いけど、心に染み込むような詞があってもいいんじゃないかなと思って。
──意外なテーマのように思いましたが、お盆というのは日本の夏を表すものですよね。
池森:そうなんですよね。お盆のお墓参りって、日本の夏の1つの風景としてありますよね。
──『クロール』では、DEENのこれまでの夏歌も、セルフカヴァーされていますが?
池森:「月光の渚」と「Blue eyes」は、DEENの夏歌の中では、シングルカットしている曲ではないんですけど、ファンの方にリクエストを募るといつも上位にくる曲で、この2曲に関しては、今のDEENの音でリアレンジして、この夏のアルバムの中に絶対入れたいと決めていたんです。
──「月光の渚」の“Brilliant Style”というのは、どんなイメージから?
池森:この詞は、海辺のリゾートで実際に見た光景を書いたものなんです。夜の海に月の光が当たっていて、波がキラキラ輝いている。月の光が眩しいなんて、初めての経験でした。
田川:そういうキラキラ感をサウンドにしたかったんですよね。「月光の渚」は2004年の曲なんですけど、原曲はもっとウェットなサウンドで、そこにあとから歌詞を乗せた。今回は、歌詞がわかっている状態でサウンドを構築したので、歌詞の世界観をより一層引き立てる事ができたと思います。とにかく、光が海に映ってキラキラ輝いている・・・そのイメージを音にしました。
──改めて、歌ってみていかがでしたか?
池森:よりドラマチックになりましたよね。
──大人の男女のバカンスの一夜という雰囲気ですが?
池森:是非、そういう情景で聴いてほしいですね(笑)。
──「Blue eyes」の、ストリングス・アレンジに関しては?
池森:オリジナルは、打ち込み系のサウンドで、コーラス・グループっぽい仕上がりなんですけど、昨夏のリゾート・ライヴの時に、ストリングス・チームを入れてこの曲を演奏したら、それがすっごく良くて。改めてリアレンジするなら、オーケストリゼーション的なものがいいなと思っていました。曲がコンテンポラリーなので、クラシカルなイメージにならず、すっごくソウルフルな仕上がりになりました。
──夏の旅先で恋人同士の2人が決断する瞬間のような・・・究極の求婚ソングですよね。
池森:確かに、決意表明という歌ですよね。
──「瞳そらさないで」のウクレレ・カヴァーは、意外な感じがしましたが。
池森:去年のリゾート・ライヴでも、ウクレレでやったんですよ。やっぱり、夏のサウンドには、ウクレレは欠かせないですよね。
──最初のリリースからだと16年経っているわけですけど、何か違うものになりますか?
池森:ライヴではほとんど必ず演奏して来た曲なので、16年前の曲ではあるんだけど、ずっと身近にあるんですよね。だから、特に意識が変わるという事はないですけど、こういうシンプルなアコースティック・サウンドというのも合いますよね。
──「夏の終わりのハーモニー」もカヴァーされていますが。
池森:僕は玉置浩二さんの歌が大好きなんですけど、僕の中に、DEENとしてこんな風にカヴァーしたいというイメージがずっとあって、DEENの良さが伝わる1曲になったと思います。
──アコースティックなアレンジで、この曲だけは「編曲:DEEN」ですね。
田川:歌詞があって、その風景があって、そこに寄り添う音はどんなサウンドか。この曲は、僕ら3人だけで演奏しているんですけど、3人で奏でるサウンドは、行きつく所はここだって、打合せナシでもわかるんですよね。
山根:コードも原曲のままだし、特別な事は何もしていなくて、本当に3人で“いっせーのせっ”でやったような感じですね。
──あえて、他アーティストのカヴァーも加えたのは?
池森:オリジナル曲と、セルフカヴァーと、カヴァー曲という構成は初めからイメージしていたものです。セルフカヴァーやカヴァー曲を加える事によって、夏色がより多面的になったと思います。
──間もなくリリースとなりますが、このアルバムをどんな風に聴いてほしいですか?
池森:楽しくなってほしいですね。明るくなってほしい。ストレス社会と言われている現代だから、みんな色々あると思うんだけど、ほんの少しでも解放されたり、日々の暮らしが楽しくなったりとか、そういう力になれたらいいなと思います。
田川:作品を作る度に、新しいDEENを届けたいと思って新たな挑戦をしているので、新曲に対してのみんなの反応がすっごく楽しみだし、セルフカヴァーに関しては、オリジナルと比べてどんな印象を持たれるのか、みんなの声を是非とも聞いてみたいですね。
山根:“2010年ナツベスト”と謳っているんですけど、2010年に限らず、毎年、夏になると聴きたくなる、みんなの夏の定番アルバムになったら、すっごくうれしく思います。
──リリース後のご予定は?
山根:このアルバムを引っ提げてのリゾート・ライヴ・ツアーが始まります。
──どんな抱負を?
池森:昨年のリゾート・ライヴでは、既存曲をアンプラグド・スタイルでお届けする構成だったのですが、今回は、アルバムがあってのライヴなので、より一層、みんなで共有できるんじゃないかと思います。
──CDで聴いた楽曲が、生だとどうなるんだろうと楽しみもありますね?
田川:そうですね。なので、アルバムとライヴ、是非ともセットで楽しんでください。
DEEN Unplugged Summer Resort Live '10
■8/06(金) 神奈川・大さん橋ホール
■8/19(木) 神奈川・音霊 OTODAMA SEA STUDIO
■8/27(金) 兵庫・神戸新聞 松方ホール
■8/28(土) 兵庫・神戸新聞 松方ホール
■9/04(土) 長野・軽井沢大賀ホール
■9/05(日) 長野・軽井沢大賀ホール
■9/12(日) 沖縄・浦添市てだこホール
[info] スーパーキャスト( http://www.supercast.jp/index2.html )TEL:03-5573-2299 (平日10:00〜18:00)
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