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YouTube【オーガスタチャンネル】にて
「アイスクリーム シンドローム」初回生産限定盤特典DVD収録『スキマスイッチの新記録シンドローム!?」』ダイジェスト映像公開中!!
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──2曲目の「夕凪」は、ガラリと雰囲気が異なるナンバーとなりましたね。スキマスイッチ結成のキッカケとなった曲だとお聞きしていますが。
大橋:曲を作ったのは11年くらい前ですね。当時、僕はひとりでギター1本で路上で歌っていたんですけど、いつも来てくれるお客さんにCDを配りたいと思って、この「夕凪」のでアレンジとレコーディングをシンタくんに頼んだのが、スキマスイッチの始まりなんですよ。
──そうした思い出深い曲を、このタイミングで取り上げたというのは、何か意図する事が?
常田:「夕凪」は、昔一度形にしてるんですけど、僕としては、形にならなかった、なり切れなかったという気持ちがすごく強くて、いつかもう1回やり直したいとずっと思い続けて来た曲だったんです。スタッフからは“デビュー10周年までとっておいた方がいいじゃないの?”なんていう意見も出たんですけど。前回のシングル「ゴールデンタイムラバー」で、カップリングに収録した「ためいき」も、実はユニット結成当時からあった曲で形にならなかった作品だったんです。それを去年、改めてやってみたら、すっごく面白かった。それが1つのキッカケにはなったと思いますね。「夕凪」も、今だったら、完成できるんじゃないかって。
──10余年を経て、完成した「夕凪」。改めて聴いてみて、いかがですか?
大橋:当時も、シンタくんには“ビートルズにしてくれ”って頼んだんですよ。結果、ビートルズっぽくはなったんですけど、でも、やっぱりなり切れていなくて。今回、ビートルズ好きのミュージシャンやエンジニアさんに集まって貰って、この曲をやってみようというアイデアが出た時は、どんな事になるんだろうって、すっごく興奮しましたね。当時としては、そんな贅沢な企画を想像する事もできなかったし、それが現実のものとなって、イメージしていた通りのビートルズ・テイストに仕上がって、あの頃の自分に“こんな風になったよ”って聴かせてあげたいですよね。当時の自分を褒めてあげたい気持ちです。
──歌詞は、全く変えていないんですよね?
大橋:歌詞は当時のままですね。僕が21才くらいの時に書いたものですけど、今読むと、すごく背伸びしてるなという感じがしますね(笑)。妙に文学的にしたがっている感じがあって、当時は、そういう詞世界に憧れがあって、一生懸命背伸びしたんだと思うんですけど。
──情景の描写があって、それを見ている主人公がいて、何かストーリーがあるわけではないですけど、主人公の心情が想像できる詞ですね。
大橋:そうですね。核心は語らないんですけども、雰囲気だけで表現するというのをやりたかった頃だったんですよね。作った当時の事は今でもよく覚えていますけど、自分の中で、すごく納得の行くものができて、自分が求めていた世界観がちゃんと表現できたという達成感はあったんですよね。でも、それを歌ったり、レコーディングしたりするには、まだまだスキルが足りなかった。ようやく、年齢もスキルも追いついて完成する事ができました。
──3曲目の「1017小節のラブソング」もまた、全く雰囲気が異なるナンバーですが。
常田:この曲は、僕の友人の結婚祝いに作った曲なんです。二次会で1曲歌ってくれと頼まれまして、せっかくだから、サプライズで全くの新曲を披露してやろうと思って。
──楽曲作りとしては、どんな風に?
常田:スキマスイッチは、シングルのカップリングではいつも実験的な事をやっていて、3曲目はいつも“2人だけで完結する曲”をやり続けているんですね。今回は、僕が友人への想いを詞に書いて、後からタクヤが曲をつけるというパターンでやってみたんです。
──詞先というのは、スキマスイッチとしては初めて?
大橋:初めてですね。詞先だと、文字数で音符の数も決まっちゃうでしょう。僕は、メロディーは自由に遊びたい放題にしておいて、そこにうまく歌詞を乗せていくという進め方が好きだったんですけど、でも、今回、詞先でやってみて、詞の内容が見えていたからこそ生まれた雰囲気とか、言葉が先にあったからこそ出て来たメロディーもあって、詞先というのも面白いなと思いましたね。あとは、改めて、スキマスイッチの曲の特徴にも気づいたり。スキマスイッチは、メロディーが複雑でカラオケでは難しく歌えないと言われる事が多かったんですけど、それは、ずっとメロディー先行だったからなんだなって。詞先で曲を書くと、メロディーがややこしくならず、すごくストレートなものが出てくるんだというのは、新しい発見でしたね。
常田:スキマスイッチらしくないと言う人もいるくらい、今までとは違う雰囲気の曲になりました。まだまだ可能性はいっぱいあるんだなと思いましたね。
──“うたまっぷ”には、投稿歌詞コーナーもあるのですが、作詞に関して、何かアドバイスをいただけないでしょうか。
常田:その人にしか書けないもの…その人の目で見たんだろうなと想像できるものでないと、歌詞としては力のないものになってしまうと思いますね。物事は多面体だとよく言いますけど、キュービズムですよね…私は、この面から見る、この視点から見るという個性、オリジナリティーが、すっごく重要だと思います。僕とタクヤも、全然違う所から見ていて、タクヤのような詞は僕にはゼッタイ書けないと思う時もありますけど、それでいいんだと思うんですよね。いつも、自分の目線で、素直に書いていたら、それがオリジナリティーに繋がっていくと思います。
──常田さんは、小さい頃から、歌詞にこだわるタイプでしたか?
常田:そうですね。小・中学生の頃から、CDを買ったら、ひたすら歌詞カードを読んでましたね。僕には2つ上の姉がいるんですけど、いつも、姉と二人で、好きな曲の歌詞について色々話し合っていました。姉がよく“主人公は何才くらいだと思う?”とか“この2人は、どういう関係だと思う?”とか、そういう問題を出して来たんですよ。それで、“あんたは全然わかっていない”なんて言われながら、歌詞について、本当にいつも姉弟で議論していました。
──大橋さんは、やはり、小さい頃から言葉の響きに敏感だった?
大橋:僕が小学生の頃に、ビートルズを聴いてカッコイイなと思ったのは、言葉の意味はわからず、言葉もサウンドの響きの1つとして捉えていたんですよね。今でも、初めて聴く曲は、メロディーや言葉の響きが最初に入って来るんですけど、その後で、歌詞カードを見て、行間の意味がわかって来たりする。耳で聴くだけでは感じられなかったものが、目で読む事でわかるという事もありますよね。
──日本語の場合は、同じ単語でも、漢字、ひらがな、カタカナで随分印象が違って来たり、感じるものも違って来たりしますものね。
常田:その辺りは、タクヤの方がこだわりが強いんですよ。ここは、カタカナの方がいいよね、とか。
大橋:そうなんですよね。耳で聴くだけなら、漢字でもカナでも一緒なんですけど、歌詞カードを見た時に、ある単語がカタカナで書いてあったら、そこに何かが隠されているような気がしたりとか、そういう視覚的にも楽しめる要素ってあるでしょう。漢字で書かずにカナにする事で、ダブル・ミーニングとなって、また違う意味がそこに生まれたりとか、そういう部分で遊ぶのは好きですね。
常田:タクヤは、“事”というのを“コト”とカタカナで書く事が多いんですよ。
大橋:そうだね。“コト”はカタカナで書くのが好きですね。わかりやすくというのも大事ですよね。例えば、主人公が“僕”であれば、最後まで“僕”で通す。相手の事を“君”と言ったら最後まで“君”で通す。途中で“あなた”に変えたりしない、とか。“この”とか“あの”が何を指しているのか、わかりやすくしよう、とか。僕らの歌詞には“あの”“その”はすごく少ないんですけど、そういう部分はこだわって書いてますね。
常田:僕は、改行にすごくこだわりがあるんですよ。例えば「アイスクリーム シンドローム」と「1017小節のラブソング」では、改行の仕方が全く違うでしょう。ミュージシャンによっては、“僕”“君”を必ず“ボク”“キミ”と書くという人もしるし、例えば、椎名林檎さんなんか、使えるべき漢字は全て漢字で書かれているというイメージがあるし、そういう文字表現にも、アーティストの個性は出るし、歌詞と言うのは、本当に奥深くて面白いと思います。
──今回は、歌詞について興味深いお話をたくさんお聞かせいただき、ありがとうございました。いよいよ「アイスクリーム シンドローム」がリリースとなりますが、その後は、どんなご予定ですか?
常田:次のアルバムに向けての楽曲作りにも取り組んでいるのですが、7〜8月は、もうひたすら夏フェスですね(笑)。「アイスクリーム シンドローム」は、制作中から、野外ステージでやったらすごく気持ちいいだろうねとみんなで言ってた曲なので、夏フェスで演奏するのが、今からすっごく楽しみです。みなさん、各地の夏フェスでお会いしましょう!
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