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『20th century Boys & Girls 〜20世紀少年少女〜』 |
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アルバム
発売:2010.06.23
キングレコード
KICS-1549
\3,000(税込) |
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収 録 曲 |
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01. 魂のルフラン2010Version(セルフカヴァー)
映画“新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 DEATH & REBIRTH シト新生”主題歌[1997年]
02. 残酷な天使のテーゼ2009Version(セルフカヴァー)
TVアニメ“新世紀エヴァンゲリオン”オープニングテーマ[1995年]
03. コブラ
TVアニメ“スペースコブラ”オープニングテーマ[1982年]
04. 君をのせて
映画“天空の城ラピュタ”主題歌[1986年]
05. 愛はブーメラン
映画“うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー”主題歌[1984年]
06. 炎のたからもの
映画“ルパン三世 カリオストロの城”主題歌[1979年]
07. Goodbye Day
フジテレビ系ドラマ“愛のホットライン”主題歌[1981年]
08. 光の天使
映画“幻魔大戦”テーマ曲[1983年]
09. キャンティのうた
TVアニメ“アンデルセン物語”エンディングテーマ[1971年]
10. 人間の証明のテーマ
映画「人間の証明」主題歌[1977年]
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「慟哭へのモノローグ」 |
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シングル
発売:2010.04.28
キングレコード
KICM-1307
\1,200(税込) |
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収 録 曲 |
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01.慟哭へのモノローグ
パチスロ“新世紀エヴァンゲリオン〜まごころを、君に〜”テーマソング
02.AveMaria_2010
03.慟哭へのモノローグ off vocal ver.
04.AveMaria_2010 off vocal ver. |
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──続いて、8曲のカヴァー作品について伺っていきたいと思います。まずは、初のカヴァー作品という事で、いかがでしたか?
どの曲も、20世紀に少年少女だった皆さんが“いま聴く音楽”に仕上がっていると思います。アレンジャーさんも、みんな20世紀少年で、螺旋を一周回って色々な経験をされて来た方ばかりだし、一流を知っている人というのは、本当に振り幅が広くて、尚且つ、どこに何を乗せるかっていうツボを心得ているんですよね。レコーディングは、もう楽しくて楽しくて、ワクワクドキドキの連続で、本当に毎日、帰りたくなかったくらい。ずーっと、スタジオでみんなと一緒にいたかった。たくさん恋をしました、そんな感じです。それぞれアプローチの仕方が全く違うし、私の歌に求めるものも違う。私としては、エヴァンゲリオンの時と同じなんですけど、出来あがってきた作品に対して、そこにある全てを感じて歌う、それだけなんです。タイム感…グルーヴと言うか、リズムの取り方1つにしても、そのアレンジャーが作った世界があるんですよね。そこを感じて、歌っていく。本当に楽しい作業でした。
──まずは「コブラ」。こちらは笹路正徳さんのアレンジですが、笹路さんとのコラボレーションはいかがでしたか?
笹路さんは、非常に几帳面な方で、時間にルーズな方が多い音楽業界の中では珍しく、○時〜と言ったら、その5分前には全ての準備を整えて待っていて下さる、そんな方なんです。本当に細かな所まで、例えば、ヘッドホンのバランスまで、笹路さんご自身がチェックなさるんですよね。私達は“チーム笹路”と呼んでいたんですけど、スタッフのチームワークも完璧で隙がない。本当に気持ちよくレコーディングができました。
──「コブラ」は、原曲はTVアニメ“スペースコブラ”(1982年)のオープニングテーマでしたが。
アニメ主題歌だったとは思えない、本当に色っぽい大人の楽曲になりましたよね。サビでは♪コブラ〜と歌っている、正にアニソンなんです。でも、♪コブラ〜と歌いながら、それが全く不自然に感じられない大人のバラード…お酒方手に聴く楽曲に変えてしまった。これは本当にすごい事だと思います。
──「炎のたからもの」は、映画“ルパン三世 カリオストロの城”(1979年)主題歌として人気のナンバーですが。
あの映画の一番いい場面で流れてくる曲ですし、“ルパン”ファンなら誰もが愛してやまない曲ですよね。それを新たにアレンジするというのは、本当に大変な事だと思うんですけど、もう、最初にデモを聴いた時から、アレンジャーとしてのプロの姿を見せつけられた気がしました。1つの世界観を持った楽曲そのものを、現代に置き換えるというのは、こういう事なのかって。笹路さんはいったいどこを見ているだろうか、我々とは全く違うものが見えるんだろうなと思いましたね。
──「光の天使」は、映画“幻魔大戦”(1983年)のテーマ曲。キース・エマーソンの作曲で、原曲を歌っていたのも米国人シンガー(ローズマリー・バトラー)でしたね。
この曲は、元々構成が変わっているんですよね。Aメロ、Bメロ、サビ〜という展開が一般的だと思うんですけど、Aメロ、Aメロ、サビ〜みたいな展開で、すごく変わった構成の曲だなという印象が残っていますね。
──アニメ作品としては、ハルマゲドンをテーマとした宇宙SFものだったわけですが。
笹路さんが、どう感じたかはわからないですけど、私は“光の天使”という言葉を音にしているんだと思ったんですよね。歌っていて感じる世界と言うのは、やはり光の世界だった。救済する光の世界と言うか、救世主的な光の世界を感じる楽曲になっていると思います。
──佐藤準さんとのコラボレーションは、いかがでしたか?
佐藤さんには「愛はブーメラン」と「人間の証明のテーマ」をお願いしたんですけど、佐藤さんの方から、この2曲というご指名だったんです。実は、今回の8曲の中で、いちばん厄介なんじゃないかと思っていたのがこの2曲だったんですよね。いちばん、いじりにくい曲なんじゃないかって。そしたら、佐藤さんが真っ先にその2曲を選んだのでビックリ!で、上がって来た曲を聴いたら、またまたビックリ!「愛はブーメンラン」がラテンになっていた!
──ラテン・アレンジは本当に意表を突かれた感がありましたが、でも、アニメ“うる星やつら”の世界観にもハマっていますよね。
そうなんですよ、そこはちゃんと残ってる。曲を解釈して、今だからというアプローチになりつつ、決して最先端の尖ったものではなく、いつの時代になっても残る普遍性を持ったサウンドになっている。恐るべし!本当にすごい!と思いました。是非、原曲と聴き比べてほしいですね。本当にビックリすると思います。
──「人間の証明のテーマ」は、原曲のインパクトが強い曲ですし、映画“人間の証明”も社会現象と化した大ヒット作品。カヴァーというのは難しいチャレンジだったと思うのですが。
これは、本当に勇気のいる事でしたね。いったい、どうなるんだろうって。でも、佐藤さんのアレンジは、本当に映画を観ているかのような流れで、これは、佐藤さんが感じた世界観だったわけですが、アルバム全体を通して、1曲目の「魂のルフラン」で絵画を見せられて、ラストの「人間の証明」で、映画のエンドロールのようにアルバムの幕が下りる…アルバムの中に大きなストーリーが生まれる構成となりました。
──「人間の証明」と言えば、やはり、西条八十さんの詩〜“母さん、僕のあの帽子、どうしたでせうね”ですよね。ストーリーの大きな鍵にもなっていたし。
本当にね、本当に素晴らしい詩ですよね。20世紀少年少女にとって、絶対に忘れられない一節が蘇ったという感じだと思います。
──島健さんとのコラボレーションは、いかがだったでしょうか。
すごく難しい事をやっているんだけど、それを全く感じさせない。それが島さんの世界なんですよね。
──まずは「君がのせて」。ジブリの名曲として知られた曲ですが。
島さんが求めた「君をのせて」の世界観と言うのは、そよ風のような…自然の中にあるものという感覚だったのだと思います。今そこに風が通って、雲が流れて、夕方ちょっと雨が降ってというような。だから、楽器もすごくちゃんと弾いているんだけど我がない。私は、最初、けっこうハードに歌うつもりでいたんですよね。それが、島さんは“もっとソフトに、もっとソフトに”って。私としては、これ以上小さくできないって言うくらいソフトに歌ったんですけど、後から聴くと、それが実にしっくり来るんですよね。プロデュースされるというのは、こういう事なんだなって改めて実感した1曲でもあります。
──「Goodbye Day」は?、
島さんは、いつも“雰囲気が一番大事”とも言っていて、“音程とかはどうでもいいよ”って。だから、この曲は、歌ったまんま、何もいじらず入っています。
──♪また一日 おだやかならば それでいい〜というフレーズが、胸に染みますね。
本当にそうですね。若い頃とはまた違う解釈、感覚になりますよね。島さんが、この曲で描こうとしたのも、風が流れていて、雨が降っていて…という世界観の中で、“雨でもいいんだよ”というのを言いたかったんじゃないかなって思います。
──「キャンティのうた」は、とても意外な選曲に思えたのですが。
この曲だけは、私が選んだ曲なんです。これは、TVアニメ“アンデルセン物語”(1971年)のエンディングテーマだったんですけど、私は、小さい頃にとにかくこの歌が大好きで、大好きで、本当に毎日歌っていたんですね。古い楽曲なんですけど、詞は井上ひさしさんが書かれていて、本当に名曲なんですよ。でも、なかなか取り上げられる機会がなくて、もう一度聴くチャンスがなかった。残念に思っていた方は、きっと多いと思うんですよね。それが、今回、大人になった私が歌うのに相応しいアレンジに仕上げていただいた。これなら、大人の皆さんも歌えます。ぜひ、また歌ってほしいなと思って。
──カヴァーというのは、名曲を歌い継いでいくという役割もありますものね。
本当にそう思いますね。このアルバムは、私自身もこれから長く聴いていきたい作品ですし、世界が繋がっていく、1つのツールになったらいいなと思います。
──CDジャケットも遊び心満点の素晴らしい作品となっていますね。
実は、これ、自毛なんですよ。ひさしの部分は作りものなんですけど、他は全部自分の毛を結っているんです。そこに、かんざしのように、色々なものを刺しているんです。今回のカヴァー作品のモチーフが全部入っているんですよ。“コブラ”のサイコガンがあったり、“人間の証明”の麦わら帽子があったり、DATは“エヴァンゲリオン”ですよね。そこに、時代の象徴として東京タワーを入れたりとか。
──こういうものが全て、頭の中、体の中にあります。そうして20世紀少年少女は大人になりました…そんなイメージ?
そうそう、まさしくその通り。みんな、20世紀少年少女だったよねって(笑)。
──こうしたジャケットのアイデアも含めて、この作品が、どんな風に伝わっていったらよいなと思いますか?
過去を懐かしむばかりではいけないと思うんですよね。だけど、過去があったから今がある。時空を超えて、共有できるツールとなったらいいなと思いますね。その瞬間は、みんな一緒にいるんですよね。アニメやドラマ、映画主題歌を通して、あの時ああだったという思い出を共有しながら、でも、思い出だけではなく、今という時を共有するための1つのツールになってくれたら、本当にうれしく思います。
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