──Tiaraさんご自身の楽曲作りは、どんな風に?
相変わらず、鼻歌で作っているんですけど(笑)。トラックが先で、そこに私がメロディーと歌詞を乗せていくというパターンが多いですね。
──切ないラヴソングがTiaraさんの持ち味の1つですが、切ない歌詞と言うのは、始めから切ない詞を書こうと思って臨まれるのですか?
切ない歌詞というのは、切ないモードにならないと書けないので、まず、自分をそういう所に追い込みますね。気持ちをそこにフォーカスさせた状態で、誰とも会わないし、話もしない。そういう状態で、街に出て行くんです。例えば、渋谷とか。今にも泣き出しそうなくらい、目いっぱい切ないモードで街を一人で歩きながら、通り過ぎる人の会話だったり、ディスプレイされている洋服のデザインだったり、そういう色々なモノに刺激されて、言葉が出て来る。そこから歌詞に組み立てていくんです。
──浮かんで来た言葉は、瞬間的にメモしたりするのですか。
常にICレコーダーを持ち歩いているので、それに録音したり、カフェに入って書きとめたり。1日そんな風にフラフラ過ごしながら書いています。例えば、歩道橋に上がって、ずーっと車の流れを眺めていたりとか・・・怪しい動きばっかりしてるんですよ(笑)。常に何か喋ったり、鼻唄歌いながら歩いているので、すれ違う人にはいつも、アブナイ人を見る目で見られてますね。だから、だから、雨の日の方がありがたいんです。傘で隠せるから(笑)。
──街の中に身を置いて、ご自身が歌の主人公を実地で演じている、ひとり芝居みたいな感じですね。
そうですね。ほんと、なりきって書いています。核となる気持ちの部分は、自分のかつての恋愛から引っ張って来るんですけど、当時の自分がどんな想いだったのか、リアルに思い出せるまで待って書くんですね。身を削る、すっごくシンドイ作業です。
──街からの刺激で、ストーリーが生まれる事もありますか?
「Tell me」なんか正しくそうですね。これは、恋の終わりを描いた曲ですけど。恋って、終わってしまってからも切ないですけど、終わりかけの、さよならは言われてないけれど、なんとなく別れを予感し始める時、あの時が一番切なくて苦しいでしょう。そういう経験は、私自身もいっぱいありましたけど、ある時、たまたまカフェで、隣にいたカップルの会話が聞こえてきてしまったんですね。あまり会話は弾んでいなくて、なんか伝わって来るんですよ、噛み合っていない感じが。
──正に、別れの予感という状況?
そうなんですよ。女性の方は、もう泣きそうな顔なんだけど、“昨日は何してたの?”とか色々話しかけている。でも、彼の方は、すっごく面倒臭そうにしてて、ずっとケータイをいじっている。多分、彼女は、もうダメだって感じてるんだろうけど、だけど、そういう話を切り出されないように、一生懸命に普通の話をしようとしている・・・と言う場面に出くわした事があって、傍で見ててもすごく切なくなっちゃって、横から、“頑張って〜”って気持ちを送っていたんです。そういう場面を曲にしてみたんですけど、でも、そのストーリーを借りながら、9割は私自身の気持ちですね。
──もう好きでないのなら、ハッキリ言ってよと思いながら、自分からは別れを切り出せない。こういう感覚は、女性ならではかもしれないですね。
そうですよね。この曲は、もしかしたら、男性にはわからないかもしれないですね。
──「Precious Love」は、ハッピーなウエディングソングですが、この曲はどんな風に?
実は、昨年、友人の結婚式がありまして、1曲歌ってほしいと言われたんですけど、私の持ち歌は、どれも切ない曲ばっかりで、結婚式に相応しい曲がなくて、すごく悲しかったんですよ。結局、ドリカムさんの「未来予想図」を歌ったんですけど、せっかくなら、自分の言葉で、友人を祝福したかったなという想いが強くなって、作った曲なんですけど。 ──♪はじめてあなたが私の名前を呼んでくれた日を 覚えているよ・・・というフレーズがありますが、女性は、こういう事、覚えてますよね。
けっこうみんな、色んな事を手帳に書くじゃないですか。彼には言わない事が多いと思うんですけど、初めて呼び捨てで名前を呼ばれた日とか、いちいち書いてますよね(笑)。
──そうですね。メールだけの日、電話だけの日、会った日とか、記号を決めてカレンダーに印をつけたり(笑)。
そうそう、ハートマークをつけたりね(笑)。私も時々、手帳を開いて、あ〜あの時、ああいう事があったなとか、思い返す事ありますよ。
──歌詞には、幸せいっぱいの花嫁さんの気持ちがたくさん詰まっていますが、結婚されたばかりのお友達の話も参考にされたり?
そうですね。彼女の結婚式の時の写真を見たり、あと、“ゼクシィ”も買いました、初めて(笑)。
──これから、ジューンブライドの6月を迎えますが。
私自身は、友人の結婚式には間に合わなかったんですけど、これからの季節、結婚式で歌って貰えたらうれしいですね。
──アルバム全体を通しては、恋愛観にしても、友情観にしても、都会に出てきて、一人で頑張っている女性という人物像が浮かぶのですが・・・。
それはあると思いますね。私自身、一人暮らしを始めて、自分と向き合う時間がすごく増えた。その時間が、すごく貴重だったと思うんです。家族が一緒だと、やっぱり、頼ってしまうし、自分と向き合う事もないじゃないですか。でも、自分一人しかいないと、どんな事があっても、自分と向き合って一人で解決していくしかないし、そういう風にずっとやって来たので、それは、歌に出てきますよね。
──冒頭で、全曲にTiaraさんのメッセージが込められているとおっしゃっていましたけど、切ないラヴソングにもメッセージはある?
私自身、切ない経験がすごく多いので、どうしても切ない恋愛ソングが多くなってしまうんですけど(笑)。でも、女性を励ましたいという気持ちが常にあるんですよ。いま泣いている人、辛い想いをしている人に、単純に、頑張ろうよとか、大丈夫だよとかは言いたくなくて。私は、辛い時は辛い曲を聴いて、いっぱい泣いて、自分の中で色々考えて解決して来たから、泣きたい時はいっぱい泣いてほしいなという気持ちで、切ない曲を書いてますね。
──一歩も外に出たくない、誰とも会いたくないっていう事、ありますものね。
ありますよねぇ、切ない世界に浸ってしまう時って。私自身もそうなので、そういう時に、どっぷり浸っていただいて、でも、最後に「虹を描けば」という曲があるんですけど、雨が降らなければ、虹が見えないのと同じように、泣いた後でなければわからない事もたくさんある。それも伝えたかった。切ない曲の最後に、泣かないとわからない事がいっぱいある・・・そこから虹が生まれるんだという事を感じて貰えたらうれしいですね。
──このアルバムを通して、みんなとどんな事を共有したいですか?
1曲1曲、バラエティーに富んだアルバムなので、マルチ・ビタミンじゃないですけど、こういう時には、この曲とか、色々な場面でピッタリくる曲を選んで聴いて貰えたらと思います。恋愛って、いい時もあれば悪い時もあるじゃないですか。今は、この曲はわからないとか共感できないと思っても、例えば、1ヶ月後、彼と喧嘩をした時にわかると思う時があるかもしれないし。そんな風に、恋愛の色んな段階で聴いていただけるアルバムだと思います。
──リリースの後は、どんなご予定ですか?
6月に、初のワンマンライヴを予定しています。これまでは、色んなアーティストさんが出てるライヴしか経験していなくて、ワンマンというのは本当に初めてなんですよ。本当に未知数な部分が多くて、自分がどう感じるのかも想像がつかないし、不安半分、期待半分で、まさに挑戦という心境です。今、まさに準備中なのですが、楽しいライヴにしたいと思います。みなさんも是非、遊びに来てくださいね。
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