──「明日へ」は“全国高校サッカー選手権大会”の応援歌。サッカーの応援歌と言うと、元気で力強い感じをイメージしがちですが、「明日へ」は静かに胸に迫るナンバーですね。
ファンキー加藤:これは、楽曲を作っている途中で、応援歌のお話をいただきまして。その時に、これまでの高校サッカーのDVDを見たんですね。その中に、負けたチームの試合後のロッカールームの映像があったんですよ。負けて号泣している選手達の姿を見た時に、「明日へ」の世界観とつながっている、と思ったんです。だから、あえて、方向性を変える事はしなかった。「明日へ」は、元々、挫折や苦悩を乗り越えて、過去から今へ、今から明日へと向かって行こう・・・そういう想いをこめて作っていた曲。まさに、試合後のロッカールーム。負けて、そこから、新しい明日へ這いあがっていく姿にリンクするんじゃないかなって思うんですよね。
──確かに、よくよく考えてみると、日本中の全ての高校サッカー部が、優勝する1校を除いて、必ず1回は負けるんですものね。
モン吉:そう言われてみるとそうですよね。1校以外は、全員負けるんだ。
ファンキー加藤:シビアだよね、スポーツって。
──みなさんは、学生時代に部活は?
ファンキー加藤:僕は、中学の時は野球部でした。だから、重なる部分はありますね。一番最後の大会の時、負けたらその時点で部活引退っていう時に、うちの中学はあまり強くなくて、確か二回戦くらいで負けちゃって、その時、みんなで大泣きした記憶がありますね。
モン吉:僕は、中学時代は、陸上部で燃えてましたねぇ。陸上だと、個人競技が多いですけど、駅伝とかはチームなんで、この歌に重なる部分はありますね。タスキを渡す時に、普段は絶対言わないのに“がんばれ〜”って叫んじゃったりとか(笑)。
DJケミカル:僕は、ちゃんと部活やってなかったけど、今になって、やっときゃ良かったなって思いますね。中1の時は、剣道部に入ったんですけど、続かなくて・・・。
ファンキー加藤:部活って、年をとる毎に、どんどん愛しい時間になっていきますね。
──今は、若い世代が将来を描きにくい時代となってますけど、「明日へ」は、そういう世代へ向けてへのメッセージ?
ファンキー加藤:もちろん、そういう想いもありますけど、「明日へ」は、僕ら自身の心情がすっごく入ってる。僕ら自身の歌と言うか・・・。
──と言うと?
ファンキー加藤:僕らもデビューする前は、すっごく堕落していた時期もあって・・・ほんと堕落してたんですよ、20歳過ぎの頃は。
──堕落、してた?
ファンキー加藤:堕落、ですね。高校時代は、“頑張る”という事が気恥かしかったりして、ひねくれて、開き直っちゃって。その後も、将来の目標もなく、ほんとに毎日遊んでるだけで、ただただ、ダラダラと1日を過ごしていた。なんか、進むべき道を見失っていたというか、見えなくなっていたというか・・・そういう時期がけっこう長かった。
──自分の将来に対して、不安を感じたりは?
ファンキー加藤:怖かったですよ。毎日、遊びながらも、怖かったですもん。いっつも不安で。ちゃんとしてる奴を見ると焦るばっかりだし・・・ファンモン結成して、音楽で頑張っていきたいって思えるようになるまで、そういう堕落した日々が続いていた。今にして思うと、それが遠周りだったのかどうかわからないけど、そういう時期を経て、今に至っているんです。
モン吉:だから、詞を書いてる時にね、先がわからなかったあの頃の自分達に向けて、書いているような感じがあったんですよ。あの頃、この歌がコンビニとかで流れてたら、どんな風に感じただろうって。その頃の自分に向けて、歌ってますね。
──もし、タイムマシンがあったら、その頃の自分達に歌ってあげたい、みたいな?
ファンキー加藤:そうですね。こういう曲があったら・・・こういう考え方になれたら、救われただろうと思います。
──今、当時の皆さん達のように、悩んでいる人もたくさんいると思うんですけど、この曲を通して、“明日は来るから大丈夫だよ”って言ってあげたい?
モン吉:そうですね。人によって、悩みってそれぞれ違うと思うけど、ほんとにそうですね。
──皆さんは、成功されて「明日へ」来たんですものね。
ファンキー加藤:いや、まだまだですよ。もっともっと先ですよ、僕らの明日も。過去と今と明日は、ずーっと続いている。だから、常に“明日”はあるし、無駄な過去は1つもない。そう信じていたいですね。
──CDジャケットとPVには、ジュビロ磐田の中山雅史選手がご出演ですね。
ファンキー加藤:中山選手も高校サッカー選手権を経験されているし、それで、お願いしたんですけど。ゴンさんは走ってるだけで絵になる。走って汗かいてるだけで、歴史というか、歩んできた道がハッキリと見える人。マインドも抜群。ホントに共演できて感激しました。
──中山選手がご出演と聞いて、改めて「明日へ」を聴いたら、ドーハの悲劇の時の中山選手の姿とも重なったんですよね。
ファンキー加藤:あ〜、わかります、それ。“なんだよ、もう”って言ったんですよね、あの時ね。あれからもう16年でしょう。その頃から第一線で活躍していたゴンさんが未だに現役で頑張ってる。今でも若い選手に混じって1つのボールを追っかけてる。それだけで人間力がすごいですよね、かっこいいですよね。だから、そんなゴンさんに出演していただけて、この曲がより輝いたと思います。
──そして、いよいよCDリリースですが、「ヒーロー/明日へ」・・・どんな人にどんな風に届いてほしいですか?
ファンキー加藤:これまで、FUNKY MONKEY BABYSを知らなかった人・・・ずっと上のお父さん世代にも響いたらうれしいですね。
DJケミカル:「ヒーロー」は、ギクシャクしてる家族とか、娘さんとお父さんの橋渡しになったらいいなと思うし、「明日へ」は全ての頑張ってる人へ。部活もそうだし、とにかく必死になって頑張ってる人に聴いてほしいです。
モン吉:僕は、もう誰だって聴いてほしいです!(笑)
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