インタビュー:鹿野 淳
──久しぶりの新曲、生まれてよかったです。まずは今回のシングルを出すまでの流れを教えてもらいたいんですが。
藤原基央:はい。去年の頭から夏まで長いツアーをやったあと、夏フェスをひとつやって、そのあと榎本くるみさんのレコーディングに僕が参加させていただいたじゃないですか? チャマはチャマで、CHARAさんのレコーディングに参加させてもらっていたんですよね。で、僕は榎本さんのレコーディングを冬の初めぐらいまでやっていたんですけど、同時に(バンプとしての)曲作りもちょいちょいやっていて、去年の暮れ辺りから少しずつ曲ができ始めて、何曲かはメンバーにも聴いてもらったりしてたんです。だからずーっと曲は書いてたんですけどなかなか書けなかったりして・・・言いたいこととか歌いたいこと・・・つまり歌詞は、やっぱりポンポン出てくるものではなくて。やっぱりさ、俺の場合は歌詞みたいなものを基準にして曲を作ろうっていうことになるんだと思うのね。だからまず音を作ってみる、とかじゃなくて、まず“言いたいことはなんだろう?”ってことをずっと考えてた。だから本当に家から出なかったんだ(笑)。
──過剰なプレッシャーを感じてたんだね。
藤原:うん、プレッシャーだったと思う。いつもに増して焦燥感みたいなのがデカかったなぁ・・・曲が書けないってウダウダするのは正常なことだって毎回思ってるんだけどね。アルバム作る度に“もう書けねぇ、枯れたんじゃないだろうか”っていうことを毎回自分は思うから。だから『jupiter』から『ユグドラシル』の時も、そこから『orbital period』の時も、なんで書けたのかいまだによくわからない・・・もうこれで最後だろうって毎回思っちゃうの。本当にそのぐらい出がらしになるからね。でも、結局なんだかんだで毎回書けてるんだから、だから安心して焦ればいいんだっていうのを本能的に自分はわかってるんだよ。だから好きなようにあがけばいいっていうふうに、もうひとりの自分が冷静に見てるという感覚が毎回あったんだけど・・・今回は、そいつも一緒になってヤバい、ヤバいって言ってた(笑)。イメージ的には、俺を構成するたくさんの俺が全員裏声になって(実際、裏声の高い早口で)“ヤバい、ヤバい! どうする、どうする!?”って言ってる感じ(笑)。
──でもこのタイトルの意味は“やすらかに眠れ”、英語圏でお墓に刻まれる言葉だよね。なんでこのタイトルになっていったんだろう?
藤原:・・・<R.I.P.>っていうもの自体は自分の中では過去に生まれた曲、<メーデー>とか<カルマ>とかっていう言葉と同じようもので。そのふたつは、幼い頃に知ってからずっと自分の中でひとつの居場所を持って存在していた言葉であり、意味とかを知ってその居場所での主張が自分の中で強くなった言葉で。音楽をやるようになって、自分で曲を作るようになって、いつかその言葉について書いてみたいな、唄ってみたいなって思ってた言葉なんだけど、R.I.P.もそれと同じで。レスト・イン・ピースというよりは、R.I.P.っていう、あのお墓に掘られた状態。最初に知ったのは、映画の中での誰かのラクガキだった気がするなぁ。R.I.P.って書くシーンがあって、なんだそれ?って思ったんだよね。そうやって結構早いうちに意味を知って、その言葉に対して自分の中で思うことがあって残ってて……だからこれまでも何回かいろんなところで書いてると思う。ほら俺、いろんなところでラクガキみたいな絵を描いてきたからさ。『FLAME VAIN』の歌詞カードとか。
「R.I.P.」っていうタイトル自体は一番最後について、それしかないみたいな感じだったんだけど。まぁあらゆることに対する“R.I.P.”、“安らかに眠れ”で・・・そこはあんまり言わないで置きたいんだ、ごめん。聴いた人のイメージが正解だと思うから。というか、実は本当にわかんないんだよ。なんで“R.I.P.”ってついたのか、何に対しての“R.I.P.”なのか・・・それは、本当によくわかんない。昔から言ってることだけど、“これってつまりこういうことなんですよ”って言えることだったら歌詞にならないと思うから。でも、この曲に限らずだけど、最近書いてる曲は圧倒的に他者を意識していて。それもごく身内な、それこそメンバーとか凄く意識していて・・・なんかもう刻みつけなきゃみたいな感じで書いてるんじゃねぇかなぁ。
──次に「Merry Christmas」の話をしましょう。この曲はクリスマスという特別な1日くらい、人は楽しいことだけを考えて笑い合って過ごせればいいなぁという願いを綴っている唄だと思いました。自分はクリスマスを通じて何を唄いたかったんだと思いますか?
藤原:・・・俺だってクリスマスの恋人の様子みたいなことを歌ってみたいなとは思うけど(笑)、でも俺が書くとこうなっちゃうってことなんですよね。でも、俺なりのクリスマスソングが書けてよかったなと思う。それははっきり言いたいことですね。
──何度も言うけど、これは一人称のクリスマスソング。“僕”の目線から見たクリスマスの唄ですよね。そういうクリスマスソングをみんなに向けて書きたかったのはなんでなの?
藤原:たしかに一人称で表現していってますけど、結果一人称とは逆なんです。凄いことになんねえかなぁって思ってるんだよね・・・最終的に、俺達のこの曲を聴いた人が、クリスマスに凄いことになってくれたらいいなぁって。・・・クリスマスって凄いことになるじゃないですか。世界中凄いことになる。そういうことになって欲しいなぁって思う。ワールドカップの時も凄いなぁと思いますよ。あんなに大勢が同じことで盛り上がるっていう・・・。
──レコーディングも、この曲は楽しくやれたんだろうね。
直井由文:なんかね、凄い楽しいレコーディングだった。
升秀夫:クリスマスじゃなきゃ使えない楽器もいろいろ使ったしね。
直井:みんなで鈴振ったりしたよね。
升:うん、そういうのがいい体験だった。この曲じゃなきゃできないことだったなぁと思う。みんなで一緒に鳴らして。楽しかったなぁ。
増川:本当にクリスマスパーティーしているみたいだったよな。あんなこと今までもしてた気もするし(笑)。 |