──続く「electric girl」は、懐かしいディスコの雰囲気ですね。
そうですね。ベースのリズムとか、ネバっこい感じのグルーヴが、ファンクに近いですからね。
──でも、石毛さん自身は、当時のディスコは経験してないでしょう?
僕は84年生まれなんで、ディスコの時代にはまだ生まれてなかったですね。でも、ABBAとかアース(・ウインド&ファイヤー)とかドゥービー(ブラザース)とかシックとか、あの時代のディスコ・ミュージックは好きで、色々聴いていて、僕としては、あの時代の音楽を再現しようというのではなく、あの享楽的な感じをロックで表現したい、そういう感覚なんですよね。
──ラストの「Hallelujah,Hallelujah,Hallelujah」は、また少し雰囲気が異なりますね。
最後は、歌に重点を置いて、みんなで歌って踊ろうという展開をイメージしてます。
アルバム全体で言うと、前半はロック主体でバンドの荒々しい面、尖ったガレージ色を出して、後半では踊れるバンドを展開していこう、そういう作品になったと思います。
──the telephonesの曲は全て石毛さんが書かれていますが、石毛さんご自身の音楽の原点というと?
年の離れた兄姉がいるんですけど、兄はハードロック好き、姉はHIPHOPとかソウルが好きだったんです。自然と耳に入ってきたから、小学生の頃はメタル好き、中学でHIPHOPやテクノに傾倒。高校あたりからグランジのバンドを始めたり、ニューウェイブにハマったり。音楽のルーツはホントにごった煮ですね。
──曲づくりはどんな風に?
僕の場合は、サビの部分だけ先に思い浮かぶということはなくて、1曲全体のサウンドのイメージが出てきますね。僕の曲は、サビでコードが変わるパターンというのはなくて、ずっと同じコード進行で、メロディだけが変わっていくというのも多いし、楽曲の作り方としては、テクノとかHIPHOPに近いかもしれませんね。
各楽器のアレンジも仕上がって、1曲全体のサウンドが完成してからメンバーに聴いてもらいます。
その段階では、歌詞はないですね。歌詞は、最後の最後。レコーディング直前にバーっと書くことが多いです。
──全曲、英語詞なのは、どうしてですか?
僕らの世代では、割とフツウだと思うんですよ。Hi-STANDARDがいたでしょう。あの辺の人たちって、みんな英語で歌ってたから。
僕自身、洋楽を聴く量の方が圧倒的に多かったので、英語の方が耳に馴染みが良くて。自然と英語になったんですよね。特に英語の勉強をしたわけではないですけど、ずっと、歌詞カードの英文と対訳を見比べながら聴いてたから、言い回しとか、いつの間にか身についていたんでしょうね。
──英語だと、メッセージが伝わらないのでは?
伝えたいことはストレートでなくちゃいけない、というキマリはないと思うんですよね。歌詞だけで伝えるのではなく、歌詞も音もセットで伝える。文字で伝えるんじゃなくて、聴いて伝えるっていうか。
──言葉もまた、サウンドの一つという捉え方ですか?
そうですね。でも、the telephonesを象徴するような単語を見つけたいっていうのは、いつも思ってます。
僕ら4人ともバカなんで、バカを主張する単語(笑)・・・まじめにバカできる単語を探してます。例えば、今回だと“Love&DISCO”。前作だったら“I am DISCO”とか。意味わからないですよね。でも、享楽感っていうのは、すっごくあるでしょう。そういう単語。
ライヴハウスとかクラブとかって日常から離れた世界でしょう。その空間の中だけは、頭の中を空っぽにして楽しんでもらいたいって思うんです。何も考えずに一緒に歌えるようなフレーズとメロディがあると、ホール全体が楽しくなるでしょう。
──では、自作歌詞を投稿している人へのアドバイスは・・・
あ〜、何もアドバイスできないですね〜(笑)。
──英語詞の書き方という点ではどうですか?
英語詞は、リズムが命だと思います。英語は、同じ単語の組み合わせでも、順番が入れ替わると違う意味になったりするでしょう。リズムや響きを優先して、単語を入れ替えたりもするんですけど、それで、詞全体の意味も変わったりする。そこも、英語詞の面白さだと思うんですよね。だから、英語詞を書きたい方がいるなら、日本語で考えた文章を英訳するのではなく、最初から英語で書く方がいいと思います。・・・あまり、アドバイスになってないですね〜(笑)。
──『Love&DISCO E.P.』で、the telephonesを知る人は多いと思いますが、今後の抱負は?
前作『We are the handclaps E.P.』で“CDとして完結する作品”という手法をとり、今回の『LOVE&DISCO E.P.』では“CDでライヴ感を出す”というアプローチをして、それぞれ学んだ事が多いので、この次はもっと、そのふり幅を大きくしていきたいですね。4ツ打ちをなくしてブリッドポップ、UKポップみたいなこともやりたいなと思ったり、とにかく、バンドを1つのジャンルに固定するのはイヤなので、ロックの中で幅広くやっていきたいと思います。
もし、最近面白い音楽がないな〜と思ってる人がいたら、是非、the telephonesを聴いて、ロックも色々あるんだなっていうのを知ってもらえたらと思います。
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