■Fm yokohama
YOKOHAMA RADIO APARTMENT to the OCEAN |
<Profile> 2012年より、シェネルや平井大などを手掛ける音楽プロデューサーのEIGOに見出され、共に楽曲制作を開始する。 2015年「キミじゃなきゃ」でメジャーデビュー。SNSでその歌詞をつぶやく女子が続出し一躍話題となる。 2016年2月に発売したConcept Album『キミへ 〜LOVE SONG COLLECTION〜』はiTunes Store J-POPチャート2位にランクイン。同年9月、LINE MUSICリアルタイムランキング1位を記録した「ホンモノの恋、はじめませんか?」などが収録された、1st Full Album『LOVE DIARY』をリリース。 2017年4月にはFm yokohamaにて自身がパーソナリティーを務めるレギュラー番組“YOKOHAMA RADIO APARTMENT to the OCEAN”がスタート。2017年夏、DefTechとしても活躍するSHENを招いたサーフチューン「TWO the OCEAN」、RIP SLYMEのPESと届ける甘く煌びやかなトロピカルハウス「TWO the PARADISE」などを収録した2nd Full album『LIFE DIARY』をリリース。 ナチュラルな歌声と寄り添うような歌詞、日常に海や自然を感じられるそのオーガニックなスタイルが多くの共感を呼んでいる。 |
FUKI - 大切なひと ("るなぴろ" Lyric Video)
デビューから“ラブソング”を歌い続け、寄り添うような歌詞とナチュラルな歌声が共感を呼び、10〜20代を中心とする「サブスク世代」に絶大な人気を誇るFUKIが、3rdアルバム『IN LOVE』をリリースした。7月と9月にデジタルシングルとしてリリースし、2作連続でLINE MUSICリアルタイムランキング1位を獲得した「星が降る夜」「大切なひと」を始め、クリス・ハートの名曲「I LOVE YOU」のカバーや、この季節にハマるクリスマスソング「Christmas Time Again」を収録。さらに、AbemaTV の恋愛リアリティーショー『私の年下王子さま』のテーマソング「ホンモノの恋、はじめませんか?」&イメージソング「キミじゃなきゃ」を含むボーナストラック3曲も加えた全13曲というフルボリュームのラブソング決定盤だ。ということで、FUKIに直撃インタビューを敢行し、アルバム制作からアルバムタイトルや収録曲決定の経緯、そして収録曲の歌詞に込められた想いを聞いた。スマートホンやSNSをモチーフにした歌詞が無いのは何故か?果たしてその理由とは!?
──2月の「思い出になる前に -Silent Starry Night-」と『LOVE SONG』からコンスタントに配信リリースされていますが、今回の3rd『IN LOVE』はCDとして、昨年8月の2ndアルバム「LIFE DIARY」以来1年4ヶ月ぶりのリリースです。
CDショップに飾ってある作品を見るのが毎回楽しみです(笑)。今回も観に行きたいですね。
──FUKIさんは、配信マーケットに特化した先駆者的なレーベル「Andrec(アンドレック)」に所属されていますが、CDリリースにはどのような想いがありますでしょうか?
もちろんサブスクリプションやダウンロードは便利ですし、私もずっと利用しています。一方で昔からCDを買うのも大好きで、今も好きなアーティストはCDで買ってしまいます(笑)。それは私にとって宝物ですし、やっぱりカタチある物が手元にあると心にも残る気がします。例えば、掃除をしている時に懐かしいCDを見つけて、あらためて聴いて当時を思い出したりする事が私にはよくあるんですよね。同じような経験をしている人もきっと居ると思うので、CDとしてお届け出来るのはすごく嬉しいですね。
──今作は本編10曲とボーナストラックの全13曲を収録しています。収録曲はどのように決められたのでしょうか?
デジタルで先行リリースしてきた「あと少しだけ」、「星が降る夜」、「思い出になる前に -Silent Starry Night-」からバランスを考えて「こんな曲がいいんじゃないかな」「こんな曲を入れたい」と楽曲制作をして行きました。
また、アルバム制作に入るタイミングで、デビュー曲の「キミじゃなきゃ」と「ホンモノの恋、はじめませんか?」が、AbemaTVの恋愛リアリティショー『私の年下の王子さま』のタイアップソングに決まりました。番組を観て初めて私の歌を聴いてくれた人も多いのではないかなと思って、リマスターしたものをボーナストラックとして収録しました。
──ちなみに、アルバムに向けて書き下ろした曲は?
収録順に「サヨナラ、あいしてる。」、「Christmas Time Again」、「All For You」、「シアワセ」、「In Love」ですね。
──今作はデビュー曲「キミじゃなきゃ」から益々磨きが掛かった、澄んだ歌声が耳に残ります。
デビュー当時は「キミじゃなきゃ」を歌うのに精一杯でしたね(笑)。言葉が詰まっているので息継ぎする暇がないぐらいで大変でした。今は楽に歌えるようになりましたし、高い声も出るようになっていると思います。
──デビューから3年の活動を経て、ご自身ではどんなところが成長したと思いますか?
1stアルバム『LOVE DIARY』でラブソングを歌い、2ndアルバム『LIFE DIARY』ではライフソングをテーマに制作して、そして今回の3rdアルバムとなります。1stアルバムでは「会いたい」とか「好き」という想いを素直に綴っていましたけど、今回の『IN LOVE』では率直な想いの裏側にある気持ちというか、もっと心の深い部分も歌詞で表せたように思います。それはライフソングを経て気付いたというか、ただ好きなだけでは無く、その裏側にある切なさや憂いも、言葉選びや歌い方で表現出来るようになったかなとは思っています。
──また、アルバムタイトルは制作のどんなタイミングで、どのように決められたのですか?
制作の中盤から後半ぐらいでしたかね。応援してくれているファンの皆さんや、支えてくれるスタッフさんはもちろん、家族、恋人、友達、もう皆から貰った愛で出来たアルバムだなと思ったので。私が受け取った沢山の愛や伝えたい愛が詰まっている作品という事で『IN LOVE』というアルバムタイトルになりました。
アルバムタイトルが決まってからも曲作りはしていて、本編のラストナンバー「IN LOVE」は最後に完成した曲です。当初は別の仮タイトルが付いていたんですけど、レコーディング中にこの曲がタイトルナンバーに相応しいのではないかと思って正式にタイトルを「IN LOVE」としたんです。
──9曲が出揃った後に完成したという事は、タイトルナンバーには様々な想いが込められている?
そうですね。好きという純粋な想いを綴っている曲です。是非歌詞を見ながら聴いて頂きたいです。
──幕開けは7月にデジタルシングルとしてリリースされた「星が降る夜」です。「伝えきれないI LOVE U/この想いの数だけ/届けたい to your place…」という歌詞からも、ファンの皆さんにアルバム『IN LOVE』を「早く届けたい!」という気持ちが伝わりました。
そうですね。サウンド的にも幕開けでリスナーの心をグッとつかみたいという想いはありました。
──切なさ全開の「あと少しだけ」が畳みかけるように続き、始まりの2曲でグイグイ惹き込まれる展開です。「あと少しだけ」はアルバムリリース直前の11月にデジタルシングルとして先行リリースされていますが、特に思い入れのある楽曲なのでしょうか?
デビュー曲の「キミじゃなきゃ」と「ホンモノの恋、はじめませんか?」が、AbemaTVの『私の年下の王子さま』の挿入歌とテーマ曲に決まって、3年越しのタイアップだったから私自身も驚きました。それで、「キミじゃなきゃ」をあらためてジックリ聴き直した時にやっぱりいい曲だなと思って、もう1度原点に戻ろうと作った曲が「あと少しだけ」なんです。曲作りを続けているといろんな事を試したくなったり、新たな挑戦をしてみたくなったりするんですけど、言葉を詰めて歌う私のクセや言葉選びも意識せずに、心を解放しようと思ってありのままの想いを書きました。
──「あと少しだけ」の歌詞には「全部キミがいい」、「キミじゃなきゃ」にも「全部 全部 キミだから」と似通ったフレーズが見受けられます。
「あと少しだけ」は「キミじゃなきゃ」の続編の気持ちで書いています。「キミじゃなきゃ」で描いた想いを、もう一度今の自分が表現するならと思って歌詞を書きながら、意図的にリンクするフレーズも入れて行きました。
──「愛と呼ぶには少し距離が短すぎて/恋と呼ぶには長すぎたね」も印象的なフレーズです。ちなみに、FUKIさんにとって愛と恋の違いは?
えー!?そうですね…純粋にただただ好きな気持ちが「恋」で、包み込むというか全てを受け入れる想いが「愛」ですかね。恋人だけでは無くて、家族にも友達にも、大切に想う人々への気持ちが「愛」だと思います。
──また、サウンド面では壮大で美しいストリングスの音色が耳に残ります。
ストリングスは全部生演奏で入れて頂きました。もう1度原点に戻ろうと思って作った曲だったので、「キミじゃなきゃ」のレコーディングで演奏して頂いたミュージシャンの方々にカムバックして貰いました(笑)。やっぱり生演奏の音は違いますね。歌詞の世界観にフィットして良かったと思います。
──「『運命』は『出会う』わけじゃなくて/共に歩み『命(みらい)』を『運』ぶこと」という「運命」と「命運」をもじったFUKIさんらしい歌詞が目を引きます。どのような想いから、命に「(みらい)」とフリガナを振ったのでしょうか?
大切な人とずっと一緒に居たい、歩んで行きたいという想いでこのように書きました。好きになって、付き合って、そして夫婦になって、やがてお互いに歳をとって行く中で、愛のカタチは変わって行くように思います。子供が生まれたりすれば立場も変わるでしょうし。それでも、大切な人を愛する気持ちは一生を賭けて変わらないという想いを描いたので、そういう意味を込めて「命(みらい)」としました。
──歌詞には「会えない夜は電話しよう」ともあります。「メールしよう」「LINEしよう」ではないんですね(笑)。
「会えない夜はメールしよう」というのはロマンチックではないように思って(笑)。
──さらに収録曲全体でも、「キミじゃなきゃ」の「消せないままのやり取りも」というLINEを連想させる描写以外、歌詞にスマートホンやSNSなどの描写が無いような気がしました。
言われてみればスマホやSNSを特に意識はしてないですね。今の時代であれば「すごいわかる〜!」と共感できるのかもしれないですけど、何年後かに聴いた時に「こんなツールはもう無いよ」という状況になったら困るので。
──FUKIさんは10〜20代のスマートホン世代から共感を得ているようですから、その世代を狙ってスマートホンやSNSをモチーフに歌詞を書く事も出来るのではないかなと思ったもので。
そういう作詞方法も素敵だと思います。ただ、私はやっぱり時代が変わっても自然にスッと聴けるような歌であって欲しいんですよね。
──「I LOVE YOU」はクリス・ハートさんの楽曲のオフィシャルカバーですが、どのようなキッカケからカバーされたのでしょうか?
カバー曲を出そうよという話になった時に、当時一番聴いていた曲がクリス・ハートさんの「I LOVE YOU」でした。それで、「どんな曲を歌いたい?」と聞かれたので、この曲をリクエストしたんです。
──カバーに当たってFUKIさんがこだわったところは?
どういう気持ちで歌ったらいいのか難しくて、レコーディングの時にすごく考えましたね。悲しく歌うのか、笑顔で歌えばいいのか、切なすぎてもどうかな、とか考えながら歌いました。ただでさえ歌詞が切ないから、サヨナラの向こう側の感じを出したいなと思って。それで、歌詞には無いですけど、出会えてありがとうという気持ちで、なるべく笑顔で歌うように気持ちを持って行きました。
──ボーナストラックには、レゲエ・アレンジの「I LOVE YOU -SPICY CHOCOLATE REMIX -」も収録されています。
「I LOVE YOU」という曲もレゲエも大好きなので、夏に海で聴ける曲もあったらいいなと思ってレゲエ・バージョンを作りました。以前に「運命のカギ feat. RAY & FUKI」という楽曲でご一緒させて頂いた事から、SPICY CHOCOLATEさんにリミックスをお願いしました。
──「サヨナラ、あいしてる。」は、シンガーソングライターの傳田真央さんが作詞作曲を手掛けていますが、楽曲提供をお願いしたキッカケは?
大好きなアーティストでライブを観に行っていましたし、メジャーデビュー以前から私は真央ちゃんの「耳もとにいるよ…〜Ring the bells〜」という曲をカバーしていて、インディーズでリリースしたカバーアルバムにも収録しているんですね。そのご縁でライブにも来て頂いたりしている中で、今回楽曲提供をお願いさせて頂きました。
──FUKIさんから楽曲に関して要望を伝えたり、お二人で話し合ったりされましたか?
単純に楽曲提供をお願いしただけです。ただ、真央ちゃんは私をイメージして「サヨナラ、あいしてる。」を書いたと言ってくれました。
──上がってきた曲を聴いた時はいかがでしたか?
歌い出しの「私らしさとか ホントの幸せとか/映えてる写真みたいに 簡単に盛れないね/君なしでは」など歌詞にすごく共感しました。私と同世代も、私より下の世代の皆さんも、多分SNSに疲れている人も多いように思うんです(笑)。SNSで表面的には楽しそうに見えるけど、その裏で本当のところはどうなのか分からないような気がして。だから、本当の愛はSNSとは違うところにあるんだよ、SNSは着飾っているだけだよみたいな歌詞に共感しましたね。
──さらに、リリース時期にピッタリのクリスマスソング「Christmas Time Again」も収録されています。アルバム制作当初からクリスマスソングを作ろうと考えていたんですか?
そうですね。アルバム制作が始まって最初の頃に作った曲です。クリスマスシーズンは大切な人、好きな人を一番想う時期なのではないかなと思います。ずっとラブソングを歌い続けている私としてコレは落とせないと思ってクリスマスソングを作りました。
クリスマスは楽しいイベントですけど、どこか切ないような気がします。楽しいプラス切ないというイメージがあったので、それを表したくて「again」という言葉を使いました。「Christmas Time Again」に想いを重ねて、クリスマスの楽しい記憶や切ない記憶、好きだった人や今付き合っている人を思い出して貰えたら嬉しいです。
──そして、クリスマスが終わると間もなく2019年です。2019年に向けて抱負をお聞かせ頂けますか?
そうですね。まずは、アルバム『IN LOVE』、そしてファンの皆さんと一緒に冬を越えて、アーティストとしてより一層成長して行きたいです。来年も1曲1曲着実に、真面目に大切に曲を作って歌って、皆さんにラブソングを届けて行きたいと思います。
取材・文:岡村直明