確かなギターテクニックを巧みに操るループマシンに乗せて歌う独特のライブスタイルを確立し、その圧巻のパフォーマンスから「ループギターの魔術師」と称されるハシグチカナデリヤ。3rdアルバム『超ハシグチカナデリヤ』はその呼び名通りの超絶ギタープレイが炸裂しまくるだけでなく、バラエティに富んだアレンジ、すっと耳に馴染む歌声、さらに恋心や人生観などを独特の言葉で綴った歌詞世界に魅了され、聴き出したら最後まで惹き込まれる快作だ。この完成度はただごとではないということで、ハシグチカナデリヤにメール・インタビューで話を聞いた。レコーディング前に行ったプロデューサーの岡野ハジメ氏との共同作業やMV撮影の驚愕のエピソード、そして収録曲の歌詞から作詞で心がけている事など話題満載。特に本人が語る「難しかったギターパート・ベスト3」は必聴だ。昨年10月に下北沢モザイクで行った2daysのワンマンライブが両日ソールドアウトとなり、今作でさらなるブレイクを予感させる彼は、間違いなく2017年注目すべきアーティストの一人と言えるだろう。
──3rdアルバム『超ハシグチカナデリヤ』は、ギターキッズ驚愕&感涙の1枚に仕上がったように思います。今作は、いつ頃から制作をスタートされたのでしょうか?制作にあたって、特にこだわったのは、どのようなところですか?
制作は2016年9月ごろからです。
明確なコンセプトというのはないですが、全曲それぞれにカラーがあって歌詞を含めた楽曲のアイディアにかぶってるものがないように作っています。
──プロデューサーに岡野ハジメさんを迎え、レコーディングに入る前に共同作業があったそうですが、いかがでしたか?
例えば「この曲にはこんな感じのギターパートを入れてみたらどうだろう?」と、ヒントになりそうな曲を聴かせてくれたりします。
で、「このバンドは当初こんな感じだったんだけど後期の方になると…」と、別のアルバムも聴かせてくれたりします。
で、「この頃はこういうバンドも流行ってて…」みたいに別のバンドのCDも聴かせてくれたりして、結果当初の話とは何の関係もないCDを最終的に聴いてることもよく ありました(笑)。
しかしとにかくそうやって色々聴かせてもらって、インスピレーションをもらいました。
──超絶ギタープレイが炸裂しまくりですが、レコーディングはいかがでしたか?
充分に練習してからレコーディングに臨むので録音作業に問題はなかったですが、それにしても今回は難しいパートが多かった!
3位「like a 花鳥風月」のループギター。
2位「ラブリーメモリーラズベリー」のギターソロ。
1位「Rin! Rin! Hi! Hi! ~kanaderi ver.~」のギターソロ。
「Rin! Rin! Hi! Hi! ~kanaderi ver.~」のギターソロはシングルの時とはまったく別のテイクです。
思いついたものの、この速さでこれ弾くの不可能かも…と思ったフレーズでした(笑)。
──それでは、収録曲についてお聞きします。恋心を抱く相手への想いを綴ったラブソング「超good time」を1曲目にされた理由をお聞かせいただけますか?
「超good time」を1曲目にしたのは楽曲として一番インパクトがあると思ったからです。
シンプルイズベストな楽曲になったので歌詞も分かりやすいものが良いと思い、単純なラブソングにしました。
サビの「ちょちょちょちょちょー」という部分が特に気に入ってます。
また、1枚目2枚目のアルバムではどちらも1曲目に割と大仰なイントロを付けていたので、今作は「イントロ無しでいきなり歌」というのも良いなと思ってそうしました。
──「超good time」はミュージックビデオを制作されていますが、どのような作品に仕上がりましたか?また、撮影はいかがでしたか?
MVは適度にシュールでナンセンスでスタイリッシュでかっこ良い。曲が進むごとに映像も盛り上がっていくという理想的な出来になりました。
最初の方で水に浸かってるシーンがあるんですが(ビー玉みたいなのと共に)、普通に水なのでかなり寒かったです。そこの撮影は体感的には40分ぐらいだったんですが実際には3時間以上かかってました。つまり途中気を失ってたということです!!
──6曲目の「like a 花鳥風月」は自然体で生きようという歌詞に励まされますが、いつ頃、どのような想いから曲作りをされたのでしょうか?
「like a 花鳥風月」が出来たのは2016年2月頃です。まずメロディが先にできて、かなり綺麗なラインだと思ったのでこれは真面目に歌詞も作ろうと。
スケールの大きさを感じるメロディだったのでラブソングとかよりもこういった人の心についてだったり、生きていくことについてのテーマの方が良いなと思いました。
あと、これはこの曲に限らずですが、なるべく歌詞が説明的にならないように心がけてます。なるべく短い言葉で想いを入れる。
そしてこの曲のようにメッセージ性が多少でもあるような楽曲の場合は、押し付けがましくないものになるようにしてます。
──「男って 誰だって30以降が肝」「女って 何となく25以降が肝」と歌う8曲目の「dandy man」で、「年下の友人が増えて/はだかの王様にいつの間にかなっちゃってないか今一度よーく考えよう!」という歌詞は、ご自身の実体験ですか?
歌詞というのは実体験でありフィクションでもあるんですよね。例えば恋をしたからラブソングを作り、その恋人と別れたから失恋ソングを作るなんてことはしない。それは歌詞ではなく日記だ、というのが自分の考え方です。
とは言え自分で作った歌詞なので、自分の価値観にない言葉はどの曲であっても入れません。入れないというか作りようがない。そういう意味では全てが実体験に基づいたものとも言えます。
また、どの曲も自分のことを歌ってるというよりは曲ごとに主人公のキャラクターがいる、という感じです。
で、「dandy man」に関しては、その主人公がかなり自分に近い。いや、もうほとんど自分です(笑)。
──9曲目の「真夏のトワイライトAM4:30」は、スリリングなイントロからグッと耳を奪われます。ドラム以外の楽器をご自身が演奏されていますが、その中にある「Okanotron」とはどのような楽器なのでしょうか?
「Okanotron」は名前の通り岡野さん自作の楽器です。ギターが元になってるんですが1弦ずつ個別にアウトプットできるようになってまして、それをPC側で編集することによって演者はコードを弾いてるだけで、高速アルペジオになったりします(設定次第で何とでも)。これはクレイジーです(笑)。
あと、この曲のベースはかなり理想的なプレイ&サウンドで弾けて満足してます。
──アルバムのラストを飾る「YELLOW&NAVYBLUE」は、大団円に相応しい壮大なサウンドです。甘くはない日常を捉えつつ「幸せなんてもう既に 僕らの手の中」と歌う歌詞も印象的ですが、タイトルはどのように決められたのでしょうか?
これは「価値観は人それぞれでどちらが正しいというわけではない」というようなことについての歌なので、とりあえず逆の色である必要がありました。BLUE&GREENとかではダメで。
なので暖色系と寒色系にすることは決めてて、あとはワインレッドだとかスカイブルーだとかビリジアンだとか…字面的にも良くて歌ってても気持ち良くて、という色を探しました。結果、一つ目をイエローというごくシンプルな色にしたのが良かったなーと思ってます。
──そして、今作のリリース後は、2月6日に東京・SHIBUYA CLUB QUATTROにて、ワンマンライブ「超ハシグチカナデリヤで、ちょちょちょちょ good time!」が開催されます。このライブに向けての抱負をお聞かせいただけますか?さらに、年男となり、さらなる飛躍が期待される2017年の抱負、目標も併せてお願いします。
ワンマンライブだからと言って普段のライブと違うことをするのが自分は あんまり好きではないので、普段やっているライブをただただ2時間ほどの尺でやります。結果的にそれが一番スペシャルなものになると思っています(途中メンバーの入れ替えがあって前半後半と分かれてはいますが)。
そうなんです、年男なんですよね~。
今年に限らずですがハシグチカナデリヤの音楽が一人でも多くの人に届くことを願ってます。
具体的には有名なフェス(サーキットフェス含む)の常連になりたい!!
あとは4枚目のアルバムも作れるように頑張ります!
<LIVE/EVENT>
■『超ハシグチカナデリヤ』リリースイベント
1月21日(土) 15:00~ タワーレコード渋谷
http://www.tkma.co.jp/jpop_news_detail/hashiguchikanaderiya.html?nid=8235
■ハシグチカナデリヤ・ワンマンライブ
「超ハシグチカナデリヤで、ちょちょちょちょ good time!」
2月6日(月) 開場 18:30 / 開演 19:30
会場:SHIBUYA CLUB QUATTRO
チケット:3,000円 (前売) / 3,500円 (当日) ※ドリンク別 500円
※最新のLIVE情報はOfficial HPをチェック!
http://hashiguchikanaderiya.com/