今年デビュー10周年を迎えるMay J.が、9枚目となるニューシングル「Have Dreams!」をリリースした。今作は、数多くのヒット曲を輩出し日本を代表するプロデューサー、つんく♂が作詞、小室哲哉が作曲で初めてタッグを組み話題を呼んでいる。さらに、デビュー10周年を迎えた彼女自身の想いを歌うかのような歌詞にも注目の楽曲だ。ということで、May J.に直撃インタビューを敢行。歌唱力には定評のある彼女だが、今回のレコーディングでは沢山の細かい指示があったという。さぞや大変だったのだろうと思いきや、その様子を語る彼女の表情は満足感に溢れ、確かな手応えを感じているようだった。「歌手としてもっともっと成長したい」。シンガーとして更なる高みを目指すMay J.の夢は続く。
──9枚目のシングル「Have Dreams!」は、つんく♂さんが作詞、小室哲哉さんが作曲という超豪華タッグです。まず、楽曲提供してもらったキッカケからお聞かせいただけますか?
私が司会を8年間担当させていただいているNHKワールドの音楽番組「J-MELO」で、つんく♂さん、小室さんが一緒にコラボしようという話をされていたんです。その後に出版された「J-MELO」の番組10周年記念本の対談にも「二人で何か作ろうよ」という話が載っていました。それで、一音楽ファンとして楽しみに思っていたら、私に歌のオファーが来たんです。つんく♂さんと小室さんで「J-MELO」のオープニングテーマを作る事が決まって、それなら司会のMay J.に歌って貰おうという流れになったみたいです。お話をいただいた時は「まさか!?」と思いましたね。
──「Have Dreams!」の歌詞は、今年10周年を迎えるMay J.さんをイメージして書かれているように思いました。
私が歌うことが決まって、つんく♂さんも、小室さんも、「May J.が今歌う曲」を考えて作ってくださったみたいです。私が音楽で一番伝えたいテーマは「夢」なんです。だから、歌詞を読んだ時はすごく嬉しかったです。私だけでなく誰もが共感できる歌詞だと思います。
──「Have Dreams!」は、日本語バージョンと英語バージョンがあります。サビ終わりの日本語詞「夢に眠る」が、英語詞では「Until we sleep in peace」となっています。日本語詞と英語詞どちらからレコーディングされたんですか?
「J-MELO」はNHKワールドで世界向けに放送している番組なので、最初に英語バージョンが完成してレコーディングしました。その後、日本語バージョンをレコーディングしました。
──つんく♂さん、小室さんとご一緒されて、いかがでしたか?
レコーディングで初めて3人が一緒になったんですが、偉大なプロデューサーを目の当たりにして、とても緊張しました。でも、英語バージョンのレコーディングはスムースに進行して、お二人も「英語は流石だね」と褒めてくれたんです。
日本語バージョンのレコーディングもスムースに進められるように、お二人が来る前に先に録り終えて準備していたんです。それを聴いてもらったら、お二人から物凄く沢山のアドバイスをいただきました。日本語はとても厳しかったです。
日本語詞を読んで、私は「大きな夢」をイメージしていたので声量も自然と大きくなっていました。それが良いかというとそうではなくて、つんく♂さんからは「壮大過ぎて歌がぼやけている」、小室さんにも「May J.がすごい遠くに居る感じがして心に届かない」と言われました。それで「今の夢は何?今日叶えたい夢は何?」と聞かれて、「家族の皆と仲良くご飯に行きたい」とか本当に身近な願いを話したら、「それで良いんだよ!それぐらい身近な夢を想像しながら歌ってみて」と言われて歌い直しました。
──つんく♂さん、小室さんから具体的なアドバイスもありましたか?
つんく♂さんからは「一人の人に向けて抑えて歌う」、「このレンジでも表現を付ける」、「ピッチを守りながらリズムに乗って」など細かい指示がありました。小室さんは「この曲調で声をあえて抑えて更にテクニックを付けて歌える人は今の時代には少ない。だからこそ頑張って!」と励ましてくれました。
──アレンジがシンプルだからこそ、伝え方が非常に難しいように思いました。
表現が難しいですね。メロディもアレンジもシンプルだからこそ、すごく声にフィーチャーされるので誤魔化すことが出来ません。ピッチもリズムも守らないとずれたら目立ってしまうので、とても神経を使いました。英語の場合はメロディに対して言葉が沢山入るので、変な隙間が出来ないんです。逆に日本語は文字が少ないから隙間が生まれます。延ばして歌うと「あいうえお」の母音で終わるからこそ、例えば「あ」で延ばすところの隙間を上手くコントロールしなければいけないんですよね。そういうところも含めて、これまでレコーディングしてきた中でも、歌う事が一番大変だったかもしれません。
──それでも、沢山のアドバイスを短時間で自分のモノに出来る事がすごいです。
ありがとうございます。つんく♂さん、小室さんだけでなく、レコーディングには沢山のスタッフさんが携わっていますから、私のせいで夜中まで掛かってしまったら、皆さんに申し訳ないです。だからこそ、全ての意識を集中させて歌いました。一杯一杯になりそうでしたけど、ここが10年間築き上げたモノを発揮する場所だなと思って、へこたれずに1つ1つのアドバイスを受け止めて、全部を忠実に表現できるよう私なりに頑張りました。OKが出た時は「フゥゥー!」って感じでしたね(笑)。
──日本語バージョンのレコーディングが終わって、つんく♂さん、小室さんに何か言われましたか?
優等生だったMay J.が、殻を破って茶髪の普通の女の子になったと(笑)。すごく真面目な人を想像していたみたいです。生徒会長みたいな(笑)。だから、すごい遠い人のように思われていたようです。常に100パーセントでパワフルに歌っていた私が、「Have Dreams!」では聴く人との間に1対1の関係を成立させているという事を例えて、普通の女の子になったという風におっしゃっていました。私自身、肩の力が入り過ぎていた事に気付かされましたね。全力で取り組むことが当たり前だと思っていたので、自然体をなかなか表現できなかったんだと思います。それを引き出してくださったのが、つんく♂さん、小室さんです。レコーディングでもライブでも、時には肩の力を抜いて歌う事も必要なんだって。
──カップリングの「Glory Wave」、「Can't Take My Eyes Off You」はブラスサウンドが印象的です。カップリングの2曲は、どんな楽曲ですか?
「Glory Wave」は、GMOクリック証券の「競泳日本代表応援」CMソングにもなっていて、夏にピッタリの曲だと思います。この曲は「Have Dreams!」の後にレコーディングしたので、つんく♂さん、小室さんのアドバイスを意識して歌ったんです。
──「Glory Wave」は、「Have Dreams!」のレコーディングの成果が生かされていると。
そういう風に受け止めていただけたら嬉しいです。
──でも、「Glory Wave」は曲調が違いますよね。
曲調も変わってアップテンポなので、よりパワフルに歌わなければならないんですが、Aメロ、Bメロは語りかけるように歌っています。そういうところはお二人のアドバイスを意識しましたね。
もう1曲は洋楽のカバーにしたいと思って、フランキー・バリの「Can't Take My Eyes Off You」を選びました。
──「Can't Take My Eyes Off You」を選曲した理由は?
2年ぐらい前、ドライブ中にボーイズ・タウン・ギャングの「Can't Take My Eyes Off You」がラジオから流れてきたんです。誰もが知っている名曲ですし、私も曲自体は耳馴染みがあったのですが、実はタイトルを知らなかったんです(笑)。それで後日あらためて聴き直したら、やっぱりすごい曲だったので、いつかどこかで歌えたらいいなと心の片隅に置いていた曲でした。それで洋楽カバーをするならと思い出して今回歌わせていただきました。
──とても聴き心地が良かったです。
ありがとうございます。実は一発録りです。歌も演奏も「Studio Session Clip」の映像も全部「せーの!」で同時に録りました。自分でメイクをして衣装も私服で合わせて本当に手作りというか(笑)。音も映像も臨場感が伝わったら嬉しいです。
──アレンジはフランキー・バリのオリジナルを意識しましたか?
オリジナルよりも少し素朴な感じですかね。フランキー・バリでもボーイズ・タウン・ギャングでも無い、アフロビートなジャズの雰囲気で、より歌声にフィーチャーできる大人っぽいアレンジを考えていただきました。最初は音数が少ない中でしっとりと歌い、ホーン・セクションのインパクトを大事にしながら盛り上がって行って、最後はアカペラで終わるという流れになっています。私の中ではブルーノート東京で歌っているイメージです。最近ライブをさせていただく機会もあって、ブルーノートの雰囲気に合ったアレンジ、ジャズ演奏のフリーな感じや歌い方も考えて、一発録りでやりたかったというのもあります。歌っていてとても気持ち良かったです。
──「Have Dreams!」のリリース後は、10月9日に、東京・BUNKAMURAオーチャードホールで、初のリクエストライブが開催されます。
10周年を迎えるにあたって、今年10大発表をしたんです。その中の1つとして、今までに無い何か新しいことにチャレンジしたいと思ったんです。私を応援し続けてくれている方々のおかげで歌手を続けてこられました。だから、今年は「感謝」をキーワードにしています。それで、ファンの皆さんが一番喜んでくれる事は何かを考えた時に、皆さんが聴きたいと思っている曲を中心に歌うライブが良いのではないかと思って、リクエストライブを企画したんです。
──リクエストの途中経過をご覧になって、どんな風に思いました?
デビュー当時の曲まで支持していただいて、すごく嬉しいです。CDに収録されていてもライブでは歌ったことの無い曲もありますし、ファンの方はレアな曲が聴きたいんだと思いました。どんなMay J.が出せるのか、私自身も楽しみです。ただ、歌詞やメロディを覚え直したり、大変になりそうですね(笑)。
──リクエストライブに向けての抱負をお聞かせいただけますか?
色々なトライを重ねて来て、最近の私のライブは良い意味で構成が固まってきているように思います。コアなファンから初めてライブを観る方まで全員に私のライブを楽しんでいただきたい。そう考えていくと知っている曲、参加しやすい曲に絞られて曲順で冒険ができなくなって来ます。しかし、リクエストライブはどの曲を歌う事になるのか分かりませんし、ゼロから作る全く新しいセットリストになります。初期の曲も、あらためて今後のライブで歌って良いかもしれないという発見があると思いますし、定番化しつつある最近のライブ構成を良い意味でぶち壊してくれるライブになると思います。また、これまで発表してきた曲を聴き直すことは、歌い方も含め当時自分がやっていたことを思い出すキッカケにもなります。そういうものをもう一度吸収して、本当の意味で10周年の今のMay J.を表現できるのではないかと思いますね。
──アーティストとして第一線で10年間歌い続けることは、並大抵のことではないと思います。
でも、本当に日々コツコツやってきた事の積み重ねだと思います。大きな転機や挫折があった訳でもなく、日々成長したいと歌い続けてきた、その結果が積み重なった10年のように思います。本当にゆっくり歩んで来た感じです。だから、私はウサギというよりかは亀ですよね(笑)。
──May J.さんの今後の夢をお聞かせいただけますか?
幸運にも私は歌手になるという小さい頃からの夢を叶えることが出来ました。でも、やっぱり夢が叶った後のほうが、歌手になってからが大変です。今私は歌える場所があるだけで幸せですし、沢山の方にライブに来ていただいて本当に幸せです。しかし、その幸せを保つには自分が努力し続けなければならない、だから常に戦いだなと思っています。大きな夢に向けてやらなければいけないことは、まだまだ沢山ありますし、着実に1つ1つ叶えて行かなければいけないと思います。「Have Dreams!」でも、つんく♂さん、小室さんのアドバイスで、また新たな課題が見つかって、それが出来ない自分が悔しい。ただ、悔しいと思える事もすごく幸せです。今回の経験を経て、これからどんな歌をどんな風に歌っていけるのか、自分自身とてもワクワクしています。だから次の10年も、歌手としてもっともっと成長したいです。
<LIVE>
May J. 10th Anniversary Grand Finale ~The Request Live~
10周年イヤーのファイナルを飾る、皆様から募集した楽曲でセットリストが決まる初のリクエストライブ開催!!
【日時・会場・開場/開演】
2016年10月9日(日) Bunkamuraオーチャードホール(東京都渋谷区)
[開場17:00 / 開演18:00]
※開場・開演時間は変更になる可能性がございます。
※公演の詳細、最新のライブ情報はオフィシャルサイトをチェック!
http://www.may-j.com/index.php