第1回「TSUBOMI feat. 九州男」について
第2回「For You」について
第3回「My measure」について
今年デビュー10周年を迎えるleccaが、初のベストアルバム『BEST POSITIVE』をリリースした。ファンから高く支持されている代表曲「TSUBOMI feat. 九州男」「For You」や、Jリーグ・ガンバ大阪の宇佐美貴史選手が、昨年、NHK総合「サタデースポーツ」の番組内で「挫折から這い上がった思いを重ねる曲」として「歌詞がまるで自分のことを歌っているのかと思うくらいリンクする」とコメントし話題を呼んだ「My measure」、そしてMBS/TBS系全国ネットで今年1月放送の新春ドラマ特別企画「最高のオヤコ」メインテーマとなった新曲「ねがい」などヒット曲満載の全16曲を収録。その『BEST POSITIVE』を引っ提げ、4月2日より全7都市のツアーがスタートするleccaにメール・インタビューを緊急オファー。『BEST POSITIVE』収録曲にまつわるエピソードから、自身の歌を通して常に変わらず伝えたい想い、さらに今回のツアーに向けての抱負まで熱く語ってくれました。併せて、lecca本人が『BEST POSITIVE』の収録曲について語ったボイス・メッセージを3週連続でお届けします。果たしてどの曲を選び、どんな話が飛び出すのか?お楽しみに!
──自身初のベストアルバム『BEST POSITIVE』を制作されて、いかがでしたか?
制作という言葉がそぐわないくらい、ちょっと不思議な感覚でした。ずっと曲を作ってアルバムにすることを続けてきたので、今回はベストということでちょっとやることがなくて物足りないと言いますか、、新しい曲を作りたい気持ちにさせられました。ので、作ってよかったです(笑)。
選曲は基本的に自分の好きな曲や選んだものは全くなく、おそらくリスナーの方が好きだと思ってくれているであろう曲たちを上から選んでいきました。視聴回数やダウンロード数を基にしています。曲順は最初の「紅空」以外は発表した順番です。私の歴史をたどるような構成になっているかと思います。
──『BEST POSITIVE』というアルバムタイトルは、どのように決められたのですか?
正直、lecca best とかシンプルでもよかったんですが、初めてのベストということで私のことを言い表すような形容詞を一つ付けさせていただきました。なんだろう、と考えて、レゲエなばっかりでもない、ポップばっかりでない、自分の音楽は、、と考えると、とにかく前向きでポジティブな姿勢が挙げられると思いました。というのも一番最近のアルバムが『前向き』というもので、これが私にとっては最新であり最高のアルバムだと自負しているところから、このあたりの雰囲気にも引っ張られた格好になっております。常に、最新の自分がベストである、と言いたい自分なので、この言葉が今は出てきてしまいました。
──『BEST POSITIVE』の収録曲で、楽曲制作、レコーディングにおいて、ご自身が特に思い出に残っている楽曲と、その理由をお聞かせいただけますでしょうか?
制作に関しては特別に苦労したのが「For You」、「TSUBOMI」あたりです。歌詞を選ぶことにとても苦心しました。「For You」はラジオリスナーの方たちの言葉をまとめて歌詞にするという作業が必要だったので、かなりの時間をかけてメッセージを受け取り、自分の中で理解して共感して、それを自分の体験に当てはめてから歌詞にするというちょっと一手間かかる書き方をしていたのと、「TSUBOMI」の方は自分があまり得意としていない恋愛ソングを大好きな歌い手である九州男と作るというプレッシャーでおそらくバースは数回書き直し、サビも5、6パターン作って九州男の意見も聞きながら結局幾つかのサビをくっつけて一つにするという荒技を用いたような記憶があります。一つの曲を作るのに、総力を総結集した思い出がございます。「ちから」や、「My measure」などは不思議とスパーンと書けた曲だったので、対照的に苦労したと言えばこのあたりが浮かびます。
──CD+DVD盤のDVDに収録されている16曲のミュージックビデオで、撮影が思い出に残っている作品と、その理由をお聞かせいただけますでしょうか?
「TSUBOMI」と「ちから」です。「TSUBOMI」の方はスタッフさんが頑張って床に白い浅いプールを作ってくださりそこに入って歌うので衣装がだんだん濡れていくという面白い状況で、衣装さん泣かせだったのを覚えています。同じく「ちから」は、横浜タイヤのタイアップということでCMの撮り方と同じように撮ろう!と勝手に歩み寄る計画でわざわざカリフォルニアの風力発電の平原まで行き、撮影しましたが、非常に風が強くつけまつげも飛んでいくぐらいの状況で、こっちはこっちでメイクさん泣かせだったので印象的です。初めて、温厚なメイクさんの舌打ちを聞きました。風力発電の砂漠にピンヒールで立って歌うもんではないですね(笑)。
──また、NHK総合「サタデースポーツ」のスポーツ選手が自身の心の支えになった楽曲を紹介するコーナー「Tomorrow Song」において、昨年8月の放送で「My measure」を紹介したことがキッカケとなり、サッカーJリーグ・ガンバ大阪の宇佐美貴史選手に「My measure」のミュージックビデオに友情出演していただいたそうですが、宇佐美選手に出演していただいて、いかがでしたか? また、宇佐美選手ご本人とお会いになって、いかがでしたか?
いきなりスーパースターと対面できる機会を与えていただいて正直人生で一番緊張しました。心構えがあまりできなかった分、Sean Paulや井上揚水さんにお会いした時よりも緊張したと思います。ご本人もそんな感じでした。2時間しかない中で軽くトークと撮影を急いでさせていただいたんですが、2、3点、カメラが回っていないところで聞いてみたいことがあったので聞いてみたのですが、結論、宇佐美選手は努力する天才です。何もしないでスターなわけではもちろんありません。そんな簡単なことを思い出さされてちょっと恥ずかしくなりました。とてもストイックで、自分と向き合う努力を常に続けていた、孤独や挫折も人並みに経験して知っている青年だと思いました。あと、ボールを蹴っている姿は美しすぎてまるで獣のようでした。無駄な動きがなくて美しかったです。
──今作には新曲「ねがい」も収録されています。今年1月に放送された、藤山直美さん、仲里依紗さん出演のMBS / TBS 系全国ネット 新春ドラマ特別企画「最高のオヤコ」のメインテーマですが、楽曲制作は、どのように進められたのですか?
ドラマのお話をいただいたときは全くまだデモもない状況で、初めて名前で私を選んでくださったありがたいお話だったのでこちらとしても誠心誠意制作に励みたいという思いから、ドラマの詳細が届くまでは曲を作りませんでした。テーマやセリフ、出演者さん達の顔ぶれなどをいただいてから自分の中で想像したり反芻したり、母と子のそれぞれの想いが交錯する現場を思い浮かべてはどちらの立場になるべきか悩みましたが、どちらかというと母の方に近づく方がこのドラマには合うのではないかと思いそうしました。母の思いというのは、子の思いをも時に包括するからです。子供側の立場の人も聞いてうなづけるような、そんな詩になるように考えました。実際には私が第二子を昨年7月に出産してから、9月の頭にライブ復帰した際に地方イベントに行った帰り、泣いてしまっていた赤ん坊を抱っこしながら新幹線の中で立って書き始めたのがこの「ねがい」の歌詞の冒頭です。
──CD+DVD盤のDVDには、「ねがい」のミュージックビデオも収録されていますが、どのような作品に仕上がりましたか?
ドラマの内容に沿うような、母と子の長年のつながりと子の成長や旅立ちも感じられるような内容となっています。幾つか母と子のエピソードの希望を私から監督に出しましたが、採用されたのがやはり子が前向きな自立をしていく場面でもある結婚式のものでした。この母親役と娘さん役のオーディションも私が聞いたところによると、どの候補者よりも感情移入が早くできたお二人に決まったそうです。撮影中の、一箇所だけセリフが入るシーン、娘さんが部屋から出る前に振り向いてお母さんに「今までありがとう」と言うのですが、そのセリフは娘さんだけに知らされていたため、お母さんは初めて本番でその言葉をかけられて本当に涙がこぼれる、という素敵な表情を見せてくださいました。ちなみに娘さんはリアルでは独身であり、お母さんはリアルではお子さんはいらっしゃいません。
──ベストアルバム『BEST POSITIVE』を通して、リスナーにどのような想いを伝えたいですか? もしくは、どのようなところに注目して聴いてもらいたいですか?
(曲の感想は)リスナーさんの自由、全くその通りだと思います。が、私が伝えたいのは常に変わらず同じことで、自分次第で人生はいかようにも変えられるということ。今あるもの、今の毎日、今の自分というのはただそこにあるものであって、これからの人生を左右するものではない。自分が今日どう動くか、今日どんな言葉を発するかによって明日や明後日、1ヶ月後1年後がどんどん変わっていくのだということを私の曲から、そして私の低空飛行かつ地味で地道な音楽人生からお伝えしていきたいと思っています。自分が嫌いで自信のなかった自分が、いつしか、自分を誇りに思って前向きに生きる努力を続けていられる立派な一人の人間になれる日もくるのだということを、音楽を通して私自身が証明できる時が来たらいいなと思います。
──そして、『BEST POSITIVE』を引っ提げ、4月2日の東京・日比谷野外大音楽堂を皮切りに、全7都市のツアー「lecca 10th Anniversary LIVE TOUR “BEST POSITIVE”」の開催が決定しています。今回のツアーに向けての抱負をお聞かせいただけますか? また、「うたまっぷ」において2016年最初のインタビューとなりますので、今年の抱負もお聞かせいただけますでしょうか?
ベストのツアーであって、やはり大事なのは今までと違った会場で一味違うものをお届けできる場所だということです。自分のライブに怖くて不安で来られなかった人ももしかしたら足を運んで下さるかもしれません。そんな人たちをがっかりさせないように、ライブって楽しいんだと思ってもらえるように、思いっきり元気になって帰ってもらえるような内容に出来たらと思っています。
アーティストとしては、かなりここ最近、ベストのおかげで後ろを振り向かざるをえない時間を過ごしてきたので、ちょっとそろそろ前を向きたいところです。自分にしか書けない曲、出せない音をまた模索していけたらと思います。
個人としては、子供が4歳0歳の今は今年の目標は家族全員が生き延びることです。頑張ります。
<Live>
lecca 10th Anniversary LIVE TOUR “BEST POSITIVE”
★4/02(土) 東京・日比谷野外大音楽堂
★4/22(金) 福岡・Zepp Fukuoka
★4/24(日) 大阪 ・大阪城野外音楽堂
★5/13(金) 北海道・札幌市教育文化会館大ホール
★5/29(日) 宮城・仙台市民会館大ホール
★6/03(金) 愛知・日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
★6/10(金) 兵庫・神戸国際会館こくさいホール
※詳細はOfficial HPをご確認下さい。
http://avex.jp/lecca/live/tour.php?id=1000531