今年1月から約半年間に渡る自身初の全国ホールツアー「ONE FOR HALL TOUR 2015」を大盛況に終えたファンキー加藤。全国39箇所44公演というファンモン時代も含め過去最長の全国ツアーを完走し更にパワーアップした彼が、約1年ぶりとなる4thシングル「MUSIC MAGIC」をリリース!ツアーでサプライズ披露していたという「MUSIC MAGIC」はライブで盛り上がり必至のシンガロング系ナンバーで、今までに無いEDMをベースにした曲調に驚く。さらにc/wの「つながるから」「少年の声」と聴き進めて行くと、今回のシングルが自伝的な作品のようにも思えてくる。そこで、その真意を聞くために直撃インタビューを敢行。すると自身の体験を交えながら、歌詞さながらの熱く真っ直ぐな言葉で応えてくれた。「僕らが希望を添えたメロディー 信じてくれるかい?」という歌詞の問い掛けに強くうなずける、本音で語ったインタビューです。
──ニューシングル「MUSIC MAGIC」は、カップリングも含めたこの3曲を1枚にまとめたことに意味があるように思いました。「MUSIC MAGIC」は未来、音楽に託した未来への希望。「つながるから」は現在、これは素顔のファンキー加藤さん。そして「少年の声」が過去、少年時代を見つめ直した今の想い。という風に、ある意味で自伝的なシングルのような気がしたんです。一方、昨年9月の1stアルバム『ONE』以来のCDリリースとなるので、この間の活動から順を追ってお聞きできればと思います。今日はよろしくお願いします。
こちらこそ、よろしくお願いします。
──今年1月から自身最長となる半年間に渡る全国ツアー「ONE FOR HALL TOUR 2015」を行い、7月4日の東京・NHKホールで最終公演を終えられましたが、今回のツアーはいかがでしたか?
ソロミュージシャンとして「ますます立ち止まれなくなったな」、「もっともっと突っ走って行かなければいけないな」という原動力や自信に繋がったツアーになりましたね。
──それは全国各地でファンの皆さんと直接会って?
まず1つは44公演を1人で歌い切れたことですね。そして全国各地を周って「こんなにも沢山のファンが応援してくれている」ということを実際に肌で体感できたっていう、その2つが大きいです。
──タイトルナンバー「MUSIC MAGIC」はツアーの直前に作られたそうですが、具体的にはいつ頃ですか?
昨年末だったと思います。僕は基本的に根がネガティヴなので、物事を最初は悲観的なスタンスから見てしまうクセがあるんですね。例えばソロ初のワンマンライブも「日本武道館という会場は荷が重すぎる…」とスゴク思い悩みましたし。今回のツアーも39箇所44公演というファンモン時代にも経験したことが無い最長のツアーに対して、すごく不安になっていました。そこで、その心のモヤモヤを吐き出して、お客さんに伝えたい想いを曲にしようと思ったんです。また、未発表曲をセットリストに組み込めたらサプライズにもなって面白いかなと。その2つの考えから「MUSIC MAGIC」を生みだしましたね。ほぼ完成形の音源を作ってツアーに持って行きました。
──ツアー前にレコーディングも終えていたんですね。ツアーで披露されて、観客の反応やご自身の手応えはいかがでしたか?
自分の伝えたい想いばかりを先行させても重くなるから、EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)というキラキラした曲調に包んで、会場が盛り上がる曲にしたいなと思ったんです。スゴク乗りやすい曲調なので、ツアーの最初の頃から一体感というか、会場のボルテージは上がったんですよね。
──イントロを聴いて驚きましたが、そういう意図だったんですね。サッカーの試合で観客が歌う応援歌のような印象も受けました。
曲調からそういうイメージもありました。キャンプファイアーじゃないですけど(笑)、輪になって炎を囲んで、皆で肩を組んで歌っているようなね(笑)。「MUSIC MAGIC」は、いずれアルバムに入るだろうとは思っていましたが、当初リリースのことは全く考えて無かったんです。ライブ会場に来てくれた皆さんがガッツリ受け止めてくれて、しっかり盛り上げてくれたからシングル曲になったという感じがあります。ですから、例えば「信じてくれるかい」の「かい」が左右から交互に聴こえてフェイドアウトしていくところだったり、リリースが決まってシングル用に味付けを重ねたところもあります。「ウォオーオオ」の雄叫びも最初はもうちょっと人数感が少なくて、そこに女の子の声や子供たちの声を重ねてファミリー感を出したりしています。
──「MUSIC MAGIC」の歌詞は「ファンキー加藤・第二章」というか、新たなスタートに向けての決意表明のような印象を受けました。
ソロデビューから1stアルバムのリリースまで一通り終えて、ツアーを目前にして「第二章」という感覚はあったかもしれないですね。基本的には自分自身にあまり自信が無くて、何処となく最長ツアーへの不安が表れているようにも思います。最後の最後に「君はこのメロディを信じてくれるかい」という、要は手を差し出している曲なんですよね。非常にパーソナルな視点という意味でいうと、ソロデビューシングルの「My VOICE」にすごく似てるかなぁと思います。
──歌詞は世界的な名曲のタイトルから始まります。この3曲には何か特別な想いがあるんですか?
この3曲は、世界的に有名な曲のアイコンとしてピックアップしました。世界的に有名な名曲と伝説的なイベント「ウッドストック」、この2つを何故1番と2番の頭に持って来たかというと、「素晴らしいなぁ」「スゲエなぁ」「敵わないなぁ」と思う反面、10%ぐらい嫉妬心があるんですよね。「俺もこんな名曲を作りたい」「俺もあんな伝説的なイベントに出たい」とか。それって自分の中で実は大切なことではないかと思うんです。「No Woman, No Cry」も「Let It Be」も「We Are the World」も永遠に残る名曲で、ファンキー加藤としてそこへの挑戦を諦めたらもうお終いかなという想いがあります。「永遠に残るような音楽を探したくて」と歌っていますが、未だに僕は大衆音楽、J-POPミュージックで「上を向いて歩こう」みたいな曲、世代を越えて歌い継がれる曲を作りたいと思っています。だから、そういう意味で嫉妬心があるんですよね。絶対に敵わないけど10%ぐらいでも「負けたくはない!」という想い。歌い出しの3曲とウッドストックを自分なりにスゴク高い壁に見立てて、そこをこう見上げてグッと拳を握っているようなイメージですかね。
──この3曲に固執したワケでは無いんですね。
誰もが知っている、1度は耳にしたことがあるであろう曲ですよね。僕が好きな曲でもありますけど、そんなに深い意味は無いです。ただ、ファンモン時代の「メロディーライン」という曲に「ジョンレノン&ボブマーリーみたいに世界中救いたい」というモン吉のフレーズがあって、そこから影響を受けた部分はありましたね。
──歌詞ですからメロディとの相性、語呂もあるのかなとは思いました。
そうなんですよ。特にウッドストックのくだりに出てくるアーティストの並びは、結構組み換えました。アーティストを並べてみては「あっ!合わない」とかね。「ジミ・ヘンドリックス」とフルネームで言いたいけど、文字数的に無理そうだったので「ごめんなさい」って思いながら「ジミヘン」と省略したり。
──一方、「たったひとつの命も 救えないけど」というフレーズにはとても驚きました。
沢山の方が、お手紙やSNSでメッセージを送ってくれるんです。ずっと応援歌を歌ってきているので、中には悩みを打ち明けられる方や、志なかばにして病気などで亡くなられてしまった方もいます。東日本大震災の時でもあったんですが…。それで、自分の音楽の無力さに打ちひしがれる時もあったりしました。だけど現実を受け止めて、そこは逃げてはいけないなと思って。
──それでも音楽の魔法はあると。
絶対にあります。僕自身が中学校の時にイジメられっ子だったんです。当時は、イジメっ子たちへの反撃に、自ら命を絶って困らせようかと考えるところまで追い込まれていて。そんな時に自分を救ってくれたのが音楽だったんです。長渕剛さんだったり、THE BLUE HEARTSさんだったり。本当にラジカセを抱えて泣きながら聴いていました。僕自身が音楽に救われた。音楽の魔法を体感してきたんです。だから音楽はそういう力を絶対に秘めている。その信念は揺るがないですね。
──カップリングの「つながるから」と「少年の声」は、SPICY CHOCOLATEさんが作曲、アレンジを手掛けています。タッグを組むのは初めてですか?
時系列でいうと「少年の声」が最初です。同じ事務所で以前から顔見知りだったんですが、今回一緒にやってみようかという話になりまして。僕はもともとクラブ・ミュージック全般が好きで、レゲエやそれこそSPICY CHOCOLATEさんのアルバムも良く聴いていました。SPICY CHOCOLATEさんも「ファンキー加藤と一緒にやってみたい!」と言ってくれたので、「光栄です!」とスムーズに決まりましたね。
──SPICY CHOCOLATEさんとの曲作りは、どのように進められたんですか?
新しいプロデューサーさんと仕事をする時は、基本的に「まずは1回抱かれてみよう」と思うんです(笑)。それで最初に「SPICY CHOCOLATEさんがイメージするファンキー加藤の曲」「ファンキー加藤にやらせてみたいと思う曲」のオケを作ってもらい、そこから僕の好きな曲を選ばせてくれました。「少年の声」のオケは、最初に聴いた時に「あっ!これは良いな!」と思いました。その選んだオケに僕がラップや歌詞を乗せたり、メロディは一緒にスタジオに入って意見を出し合いながら作りました。
──SPICY CHOCOLATEさんと曲作りをして、新たな発見や刺激になったことはありましたか?
自分では絶対に生まれてこないようなメロディラインだったり、そういう発見は結構面白かったですね。僕が考えるメロディに対して「こういうのはどうだ?」と全く違う提案をしてくれて、自分のパターンに気が付いたり。やっぱりクセってあるんですよね。新しい環境で新しいプロデューサーさんと組むと、毎回いろんな発見があるので刺激になります。
──「つながるから」はイントロの優しいピアノに耳を澄ませていたら、「自分なんて 広い世界の小さな点」と歌い出して強烈なインパクトがありました。先程、根がネガティヴというお話もありましたが、「自分なんて」という表現に加藤さんの素顔が垣間見えるような気がしました。
「ファンキー加藤」という名前で活動しているので勘違いされがちなんですけど、そもそも僕は全然ファンキーでは無いですから(笑)。自分自身ファンキーに成れていないし完全に名前負けしているけど、「いつかファンキーな男になりたい!」という憧れから二十歳の頃にこの名前を付けたんです。自分がファンキーだなって思うのは本当にステージに上がっている瞬間だけで、基本的にはインタビューさせてもらっている時も、曲を作っている時も、レコーディングしている時も、全然ファンキーじゃないんですよ(笑)。
ですから「自分なんて」というのは、まさに普段の思考回路から生まれてきたワードですね。自信無いですよ、僕。いろんなアーティストを観ても、ただただ茫然と「みんなスゲーなぁ…」と思ってしまいますし。沢山のファンの皆さんが何故自分を応援してくれているのか、その理由も未だに良く解っていないですし。
──とても正直に話をされるので、「信じるから 裏切られると分かってるのに」という歌詞も、まさに加藤さんらしいフレーズのように思えます。
(笑)でも最近になって、「不安があっても上手く付き合えば自分の原動力になるのかな?」という風に思っています。僕みたいに根がネガティヴな人は、どう転んでもポジティヴになれないと思うんです。1つの不安を払拭して、また新しい不安を自ら見つけ出してしまうみたいにね。かといって不安を抱きかかえると今度は重くなり過ぎる。だから、イメージとしては不安を背中に背負って、それを振り切るようにやっていれば、前に進んで行く原動力になるかなと。そういう消化の仕方をしています。
──「少年の声」の「君の声が僕を動かしている」という歌詞の「君」は、ファンの皆さんであり、さらには少年時代のファンキー加藤さんのことでもありますか?
まさにその通りです。高校時代の僕は思春期と反抗期をこじらせて、毎日が上手く行っていなくて、頑張ることを諦めてしまった時期なんです。中学時代はイジメもあったけど、部活をやってバンドをやって、友達とぶつかったり遊んだり、恋愛じみたこともあったりカラフルな毎日だったんです。でも高校の時にそういうことがプツッ!と切れてしまいまして。高校生活はいまいち思い出も無くて、本当に歌詞に書いてあるような宙ぶらりんな状態になったんですよね。それで高校3年間の青春時代を今なお何処かで取り戻そうとしている自分が居て、今の僕が頑張れば頑張るほどその空白の3年間に意味合いを込められるかなと思うんです。だから、高校時代の自分と向き合って対話をしているようなイメージで、「お前のその無気力な3年間があったから、俺は頑張ることの大切さを知ったんだぜ!」って。そんな想いで歌詞を書きましたね。
──沢山のファンからお手紙やSNSでメッセージを貰うというお話がありましたが、2番のカッコでくくられているフレーズたちは、ファンの皆さんの声を参考にされたりしましたか?
若者の代弁者を気取るつもりは無いんですが、独りよがりの歌詞になってもいけないと思うので、2番の歌詞は今の若い子たちの想いを自分なりに汲み取って考えました。僕は「近頃の若いもんは…」と絶対言わないようにしているんですよ。あれほどダサくて説得力の無い言葉は無いなって思っていて。
ただ、ついつい言いたくなる気持ちも解らなくはないんですけどね。でも、僕たちの世代も自分のオヤジの世代だってきっと大人に言われただろうし、このフレーズは永遠と受け継がれてきていますよね。だとしたら、もうここら辺で1回打ち止めにしてしまったほうが良いかなと(笑)。若い世代は大人を見て育つというか、要は大人世代のせいなんじゃないのかなぁ。「大人世代が格好良い背中を見せてあげられなかったんじゃないの?」っていう気もするんですよね。「なんとか世代」とか言うけど、若い人たちは歌詞のように「まだやり方が分からないだけ」だと僕は思っています。
──今回の3曲「MUSIC MAGIC」の「君が笑えば それも小さな奇跡」、「つながるから」の「一人で流す涙は 必ず誰かにつながるから」、「少年の声」の「君の声が僕を動かしている」という歌詞からの印象ですが、「ファンキー加藤・第二章」は、一人一人、個に向けてメッセージを発信していくような気がしました。
いや、それはもともと考えていることですね。ライブでも基本的には「1対1」という想いを心掛けているんですよね。例えば、お客さんが1,000人いました。それは「1,000対1」では無く、常に「1対1×1,000」という数式を頭の中でしっかり持っておくようにしています。そうじゃないとメッセージがぼやけると思うんです。
──そういう想いで歌っているから、一人一人に歌詞の想いが伝わるんですね。
ライブ中は極力お客さんを見るようにしています。目はスゴク良いんです(笑)。会場にいるお客さん1人1人に出来るだけ目を合わせるようにしています。
──お客さんもライブ中、加藤さんをジッと見つめ続けていないと(笑)。
例えば「ライブ中に私を見てくれた!」と感じた人が、それを口にしたら「勘違いだよ」「嘘だぁー」と言われたというような話を聞いたりしますよね。でも、僕のライブ会場に関して言えばマジです。必ずお客さんの顔を見ています。これは本当です。
──そのライブですが、11月28日(日)に宮城セキスイハイムスーパーアリーナにて「I LIVE YOU 2015 in 仙台」が開催されます。今回のライブに向けて、また、来年に向けての抱負をお聞かせいただけますか?
仙台は年内最後のワンマンライブになります。この「I LIVE YOU」は、全国からファンの皆さんが来てくれるようなイベントでして、今回もきっと全国から集まって来てくれると思います。11月末で寒くなっていると思うんですが、熱い打ち上げ花火をドーンと上げようと思っています。東北の地には「あとひとつ」というキーワードというか大切な繋がりもありますし。そこでまず2015年ラストワンマンライブを最高のモノにして。そして来年も「良い曲を作って良いライブをする」、その2つの大切なことを守っていきたいと思っていますね。実は、あまり先々のことを考えるのが苦手で(笑)。まずは目の前にある曲を良いモノに仕上げる。目の前のライブを良いステージにする。その2つだけをひたすら続けているので、来年も変わらず頑張りたいなと思います。
<Live>
I LIVE YOU 2015 in 仙台
【会場】宮城セキスイハイムスーパーアリーナ
【公演日】2015年11月28日(土)
【時間】開場15:00/開演16:00
【チケット料金】指定席 ¥6,800(税込) ※4歳未満入場不可/4歳以上有料
【一般発売】2015年10月31日(土)発売
【お問い合わせ】キョードー東北 022-217-7788
「I LIVE YOU 2015 in 仙台」特設サイト
http://m.funkykato.com/r/iliveyou2015sendai/