EXILE ATSUSHIが、全てを注ぎ込んだ2年振りの2ndアルバム『Music』をリリース。大ヒットシングル「MELROSE 〜愛さない約束〜」から最新シングル「青い龍」まで、更に4曲の新音源を加えた全15曲を収録。童謡からダンスミュージック、バラードまで、まさに2年間のソロ活動の集大成と呼ぶにふさわしい作品に仕上がっている。3月12日にリリースされた今作について、EXILE ATSUSHIが作品への想いを語ってくれた。
──今回は前作『Solo』から2年振りのソロアルバムかつ、初の単独発売となりますが、今の思いを聞かせてください?
EXILE ATSUSHI:前作はEXILEのアルバム『EXILE JAPAN』と一緒に販売されたので、自己紹介的な意味合いもありました。その後、2013年に“日本の心をうたう”というテーマを掲げたので、童謡的なものであったり日本のトラディショナルな音楽を届けるという点を自分の中で掘り下げてきたんですね。ですから今回は、タイトルが『Music』であるように、今現在、自分自身ができる音楽という力の幅を最大限に広げるということに対して、限界まで挑戦できたアルバムです。更に『Music』とは言っていますが、サングラスを外してみたり裸になってみたり、エンターテインメント的な意味でも、自分を色々な角度から表現してみました。ここで、EXILE ATSUSHIとしての土台を知っていだけるんじゃないかと。この作品を経ていくことで、再びみんなで盛り上がれるようなEXILEの曲も歌えたり、ファンのみなさんともっと寄り添ってやっていけるんじゃないか、今はそう思っています。
──テーマやコンセプトは?
EXILE ATSUSHI:曲ごとのジャンルは違えども、同じ音楽という意味ではひとつのものといいますか。どの曲においても、普遍的な愛や想いという部分では共通している部分があると思いましね。日本の歌をうたう、それに関しては明確に分けている部分もありますが、いつどの曲を歌う時でも真剣ですし、どの曲にも想いを込めていて、愛やソウルは常にあります。そういう中で今回は、ジャンルの垣根を超えた上での全ての“Music”なのかなとは思います。
──ピアニスト・辻井伸行氏との共演作品「それでも、生きてゆく」(2013年5月発売・今回収録曲)についてのエピソードを聞かせてください。
EXILE ATSUSHI:辻井さんは数々の名曲を披露し、多くの賞を受賞されている素晴らしいピアニストですが、みなさんもご存知のとおり視覚障害をお持ちですよね。その辻井さんが、僕らが想像できない音や音楽を、どこまで深みを感じ理解しているんだろうと思ったんです。それって想像がつかないですよね? 普段の僕らは、指の動きなど視覚的な部分からも音楽を感じていますから。その彼に尊敬の念がありますし、僕自身もどこまで音楽を理解できるかを挑戦してみたいなと。でも、レコーディングの時はナーバスになりまして、これで納得してくれるだろうか? と。僕らが感じていないところまで感じていると思いますから。例えば、僕が歌っている時に、集中していない部分があったとしたら、彼はそれを感じてしまうんじゃないか、とか。もちろん、いつも集中しているんですけど。レコーディングでは喉の調子が悪く、別で録っていて僕の声に辻井さんが合わせてピアノを弾いてくれたんです。それを聞いた時に、本当に申し訳ないと思ったんです。というのも、彼が自由に弾いているわけじゃなく、あきらかに僕の歌に合わせて弾いてくれているのが分かるんですよね。その時にこういうことだったんだって、もう一回録り直すことになって。そこで辻井さんに自由に弾いてもらって僕が歌を歌ったら、最終的に良いものになったんです。本当に勉強になりましたね。
──「道しるべ」(2013年8月発売・今回収録曲)では、自らPVの監督を手掛けたそうですが。
EXILE ATSUSHI:まずは、映像制作って本当に大変だなと思いました(笑)。ただ、今までPVを撮ってきて、自分ならこうしたいという思いもありましたから。ある程度は形になるかも、というイメージはあったので、今回はいい機会なのでやらせていただきました。田んぼで歌うことが夢でしたし、カップリングの「煌めきの歌」では縁側で歌うことに挑戦してみたり。スタッフのみなさんに手伝ってもらったんですが、確かに自分が監督だったらATSUSHIを縁側で歌わせられないと言っていて(笑)。だから、自分だからこそ実現できたことも多くありましたよね。監督としては、景色が良くても、いざ撮影を始めたらフレームに電柱が入っていたとか、いろいろ作り手の視点で考えさせられましたね。普段のスタッフさんの苦労が理解できたり勉強になりました。
──その際に母校を訪れたり地元を歩いたそうですが、自分についてあらためて発見したことはありましたか?
EXILE ATSUSHI:やっぱり子供の頃に戻りますよね。普段から何かを伝えたい、届けたいと言っていますが、子供達に会うことでそれをリアルに感じました。純粋に“何かを残してあげたい”と。サングラスをしていたので最初は怖がられましたが、子供ってこっちが格好つけなかったり素直に言葉を発すると、すぐに懐に入ってくれるんですよ。質問ある人ってだんだん話していくと、そこから打ち解けていけますし、最後は握手して可愛くて。本当にこういう子たちに残してあげたいことってたくさんあるなって。
──アルバム先行シングル「青い龍」(2014年2月19日発売・今回収録曲)では、今まで表現してきたポジティブなメッセージとは違い、現実社会に目を向けた内容になっています。あらためて、そういった想いを表現しようと思った理由とは?
EXILE ATSUSHI:日本の心=理想の日本人、人間のあるべき姿みたいなものを歌ってきて、でもやっぱりどうしようもないことってあるよな、って思ったんです。やっぱり僕はそこに嘘を付けなくて。だからといって理想や希望をなくしてはいけないので、その振り幅を表現したいなと。そこで、サングラスを外した目の青い自分を見せることで、もう一度希望を信じたいというメッセージを込めました。平和を願う一方で現実も見なければいけない。今を生き抜くことって大事ですから。そこがなければその先もないですし、そういう意味では、一番身近にある刹那が社会にある不条理さだったということになります。
──「懺悔」で久石 譲さんとコラボレーションされて、いかがでしたか?
EXILE ATSUSHI:僕自身は久石さんの音楽を信じているので、曲を聞いて何て難しい曲だと思いました。翌日にそれまでインスピレーションで書き留めていたメモを歌詞にして歌いましたが、歌いながらゾクゾクしたのは初めての経験でしたね。いつも歌詞を書く時は歌うことを想像できるんですが、全く想像がつかなかったんですが、メロディによって言葉が紡がれていったという感じでした。
──新録「MAKE A MIRACLE」は、どのような楽曲に仕上がりましたか?
EXILE ATSUSHI:ライブのオープニングをイメージした一曲です。MVでは軽いダンスにも挑戦しています。Musicの中でも、エンターテインメントを意識しました。2013年は日本の歌を歌って深く掘り下げて基盤ができたので、それを経てこれから更に勢いよく進むことを表現した曲です。
──同じく新録の「LA LA 〜孤独な夜に〜」、「Interlude」、「ALIVE feat.m-flo」については、いかがですか?
EXILE ATSUSHI:「LA LA 〜孤独な夜に〜」は、前回のアルバムでアップテンポの曲が少なくて、ライブで一緒に楽しめる曲はないかなと探していた時に出会った曲です。「Interlude」は、シングルの「青い龍」が雷だったとすれば、そこから春の訪れや自然を感じさせるような一曲が合ったらいいなと思って作りました。「ALIVE」は、m-floのアルバムにも収録されていますが、自分でも凄く気に入っていて、僕の中でも大事にしていたのでアルバムにも収録したいなと。
──アルバム『Music』を作り終えて、自分自身で得たものとは?
EXILE ATSUSHI:音楽への挑戦は、日本の歌や童謡を歌い始めた時からスタートしていましたが、自分の可能性をコラボレーションなどを通じて広げてもらいましたし、「道しるべ」のように自分で作詞・作曲したことで、次世代に残していきたいと思える曲もできました。自分の中の音楽の可能性、音楽自体が持っている可能性、音楽の奥深さや根底の部分を掘り下げることができましたね。
──4月12日からソロとして2度目の全国ツアーが始まりますが、テーマやコンセプト、演出のアイデアなどあれば可能な限り教えてください。
EXILE ATSUSHI:『Music』というタイトルを掲げたツアーになりますが、逆に良い裏切りとしてエンターテインメントな内容になると思います。なぜかというと、今まで出した3作のDVDは音楽に寄り添ったライブだったので、将棋でいえば駒が揃ってきたので、ここからやっと勝負できるなと。踊ったり、弾き語りをしたり、歌い上げたり、色々なことを挑戦したいなと思っています。EXILEのコンサートとは、また一味違ったものをお見せできると思ってます。