──2月12日に4枚目のシングル「今 ここにいる」が発売になります。まず、タイトル曲の「今 ここにいる」は、女子スキージャンプ燉恪ケ羅選手が出演するクラレ企業CMソングとして流れていましたね。凄く素敵なCMでした。
新山:ありがとうございます。CMの映像と曲が、本当にぴったり合っていたんじゃないかなと思っています。自分でも、燉怩ウんが成長していく過程と自分のこの曲が交わって、ひとつのものとしてちゃんとあるなぁと思えたので、大勢の人が楽しんでくれるCMになっていたらうれしいです。
──「今 ここにいる」の歌詞は、今までの新山さんの歌詞と比べると、書き手の視点が違うような感じもしますけど…。
新山:今回は、燉怩ウんのCMのお話を頂いてから歌詞を作ったのですが、話を頂いた時にはスキーのジャンプという競技をあまり詳しく知りませんでした。テレビで偶然見たりしたことはあったけど、競技の内容には詳しくなかったです。そこでひたすら調べて、競技のこと以外にも燉恪ケ羅さんってどんな人なんだろうということで、映像もいっぱい見ました。その時に、ちょうど最初に見たのが、燉怩ウんが飛ぶ瞬間の映像だったのですが、それが凄く印象的でした。
──どんな感じの映像だったんですか?
新山:燉怩ウんが飛ぶ前にスタンバイしているところで、顔がアップになって、ゴーグルの中に彼女の目がうっすらと見えたのです。その時に、この人は本当に強く前を向いていて、自分の進むべきところがはっきり分かっている人なんだなぁって感じました。それほど前を見据える目が力強かったのです。そんなことを勝手に自分のなかで想像する一方で、でもそんな燉怩ウんも自分と歳も同じだし、日々の練習や学校生活なんかでも、色々なことで泣きたくなったこともいっぱいあったんじゃないかなぁとか、そんなことも考えました。そう考えているうちに、応援とは違う視点があることに気がついたのです。単純な応援だと、「頑張れ、私は応援している」って、ある意味上から目線になってしまいがちだと思いますが、その視点は違う気がしてきたのです。そうではなくて、自分が今飛び出そうとしている燉怩ウんのつもりになって書こうと思いついて、そこから書いたのがこの歌詞です。
──競技者としての燉怩ウんを応援するだけでなく、同世代の人間として捉えて、その中に新山さんの姿も重ね合わせた。だから幅広い意味を持つ、同じような立場にあるみんなへの応援ソングになったということですね。
新山:たぶん、これからいろんな場面、状況で、前に行かなくちゃいけない人、前に行こうとしている人が数え切れないほどいっぱいいると思うから、そんな人達の支えにしっかりなるような曲になったらいいなぁって思って…そういう思いで書きました。
──曲のイメージで言うと、まさに燉怩ウんが踏み切って、空に飛び出した瞬間をとらえたような感じです。
新山:そうだと思います。踏切に向かって加速しながら急斜面を滑り降りてきて、羽を広げて飛ぶ瞬間、その時の気持ちとか、雰囲気を出せたらいいなぁと思いました。
──スキーをしたことはありますか?
新山:あります。
──でも、ジャンプは見たことはない?
新山:ないです。
──なぜかテレビの画面では、スキー選手が滑っている斜面の斜度がうまく再現できないんですね。実際にスキー場に行ってみると、選手たちは物凄くありえないほどの急勾配の、もう崖のような場所を、ありえないスピードで滑っています。ジャンプの選手も、崖をものすごいスピードで落ちてきて、弾丸のように空に飛び出しますね。
新山:普通の人には絶対に無理ですね。機会があれば、燉怩ウんの飛ぶところを生で見てみたいです。テレビで見ているだけでも手に汗を握ってしまう、あの一瞬に賭けているんだと思うと、本当に凄いですね。
──因みに燉怩ウんと新山さんは歳が一緒ですね。
新山:学年は高梨さんが一個下ですが、歳は一緒です。
──身長は152センチだそうです。
新山:小さいのに、世界のトップクラスにいるなんて凄いですね。
──一方、曲のMVですが、こちらは新山さんが広々とした地平線をバックに歌っています。
新山:海沿いの公園で撮影したのですが、曲と歌詞にぴったりとあった天候でよかったです。撮影の時はたまたま凄く綺麗な青空で…、私は晴れ女らしいです(笑)。でも、海辺でも撮ったので結構寒くて、特に風が吹いてきた瞬間は、凄く寒かった(笑)。
──でも冬ならではの透明感のある景色で、非常に曲とマッチしていました。
新山:そうですね。MVの見どころとしては、色としたら水色、青がメインの映像ですが、ただ綺麗なだけじゃなくて、澄んでいる感じで、その中でもうちょっと前に踏み出してみようかなっていう映像になったと思うので、それを感じてもらえるとうれしいです。
──曲のイメージにある、まさに踏み切る瞬間というのは、今の新山さん自身もそうですよね。
新山:そうですね。高校を卒業して、これから新しいことが始まるので、そういう意味では共通しています。
──今回のように、まず依頼があってから曲を書くというのは初めてですか?
新山:初めてです。
──燉怩ウんは同世代の女の子だし、スポーツと音楽というジャンルは違いますけど、環境というか立場というか、ある種の共通点もあるので、書きやすかったんじゃないですか?
新山:でも歌詞を書くのは苦労して、試行錯誤の連続でした。それで苦しんだ挙句に、応援という立場から方向転換して、燉怩ウんと同じ目線で作ってみようというのに辿り着いて、ようやく書けたという感じです。
──今までのものとは確かに違う歌詞ですね。お気に入りのフレーズは?
新山:「昨日より 少しだけ 微笑みかけるような 今よりも 透明な 空の蒼さを」という出だしのところです。これは中学生の時から、今でもずっと願っていることでもあります。たとえどんなにいやなことがあっても、上手く行かなくてどうしようもないなぁと思った時も、昨日よりはお願いだから少しだけでも笑いかけてほしいなっていう思い…、私の中で常に望んでいる景色というか、そうであって欲しいという気持ちを込めています。
──リスナーが勇気づけられる歌詞ですね。一方メロディはどうですか?実際には候補曲がいくつかあったのですか?
新山:自分でもともと卒業ソングとして作っていた曲もあったし、それ以外に作家さんから頂いていた曲も複数ありました。それらを全部合わせた中から選びましたので、とても気に入っています。
──今回もカップリングはカバー曲です。これは新山さんの選曲ですか?
新山:はい、そうです。The Birthdayの曲で「ピアノ」という、もともと私が大好きな曲です。
──歌ってみてどうでした?
新山:この曲は自分がずっと一人のファンとして聴いていた曲ですが、その時からもし自分で歌うことになったら、どんなふうになるんだろうという気持ちがありました。でも一方で、この曲はチバユウスケさんが歌うからこそ独特の雰囲気があるし、それを女性である自分が歌って、どういうふうに聴こえるだろうという不安もあったのです。でも、今までずっと好きで聴いていた時に、チバさんの声が自分の声だったらどうだろうという想像はずっとしていて、すごく歌ってみたい気持ちがあったので、思い切って歌ってみました。
──歌いやすかった?
新山:歌を録音した時に、自分のなかでは最初から、自然にふっと音の中に入って歌えた感覚がありました。
──アレンジは原曲と違いますね。
新山:原曲はエレキですけど、これはアコギです。アコギでやったら雰囲気が一変して、自分らしい雰囲気が出せたので、アコギ・バージョンにして良かったと思っています。
──率直に言って、歌うのが難しい歌ですよね。
新山:そうですね。淡々と流れていく歌なので、難しいです。
──歌い上げる山のようなものがない反面、原曲ではそこがチバさん独特の味になっています。実はよくカバーできたなと驚きました。ちゃんと新山さんの形になっています。
新山:ありがとうございます。やっぱりThe Birthdayのファンの人達も、絶対に何処かで聴く人がいると思うので、色々人それぞれ捉え方はあると思うけど、新山詩織としての新しい「ピアノ」として聴いてもらえたらいいなぁと思います。
──新山さんのカバー曲は、コアなファンがいる曲を狙って歌いますね(笑)。
新山:狙いではなく単純に自分が大好きというのがあります。逆にそういう曲を知らない同い年くらいの人たちに、「カッコイイ曲がいっぱいあるんだぞ」っていう感じで広めていきたい気持ちもあります。
──「ピアノ」の歌詞についてはどうですか?
新山:歌ってみて分かったのですが、ひとつひとつの言葉の意味が重いし、ワン・ワード聴こえるごとに、それがすっと心に入ってくる感じがありますね。
──自分の書く歌詞と比べてどうですか?
新山:チバさんだけの世界観があるので、そういう意味では当たり前だけど全く違うし、言葉の使い方も違いますね。
──「ピアノ」の歌詞は目に見えるものをメインに書いていて、一方、新山さんの歌詞は、自分の思うことが歌詞になっている感じです。新山さんも「ピアノ」みたいな作り方で歌詞を書いたら面白いかなって思いました。
新山:今までは自分の中にあるものを吐き出して書くっていうのがメインだったけど、これから自分の中でやっていきたいのは、歌詞の面でも、今回の「今 ここにいる」の歌詞もそうだけど、もっと色々な視点で書きたいっていうのがありますね。確かに「ピアノ」みたいに、自分の見た景色を自分なりの言葉で表現してみたいっていう気持ちもあります。
──自分の心の中から湧き出てくる思いに、そこに見える景色を書き加えると、それは構成として物語になります。そんなふうに、作詞の世界が広がっていくといいですね。
新山:今までのカップリングも、そんなふうに歌詞を書く面でもきっかけになっていると思うので、そういう経験を活かして、色んなものを書いていきたいです。
──「うたまっぷ」で、色々見て研究して下さい(笑)。
新山:「うたまっぷ」は結構見ていますよ(笑)。
──さて4月に東京と大阪でワンマン・ツアーがあります。これが今年の上半期の活動のヤマですね。
新山:そうですね。ライブの具体的な構想はこれからですけど、やっぱり最初のデビューイベントの時は、高校生の新山詩織がなんとなく気になって見に来てくれた人も沢山いたと思います。でもこのライブの時はもう高校も卒業もしているし、何かが凄く変わったわけではないけど、今までと比べてちゃんと進化した新山詩織を見てもらえるようにしたいです。お客さんとも、もっとコミュニケーションもとりたいし、お互いに楽しめるようなライブにしたいです。
──MCも研究しないといけませんね(笑)。
新山:でもあんまり研究すると自分じゃなくなる気もします(笑)。
──今までは喋りも短めだったけど、ワンマンになるとそれ相応に喋らないといけないので、MC原稿も作らないと(笑)。
新山:構えずに、その時その時でやっていきます(笑)。
【LIVE情報】
<新山詩織1stワンマンライブツアー「しおりごと」>
日程:2014年4月20日(日)開場17:00/開演17:30
会場:梅田 Shangri-La
日程:2014年4月26日(土)開場17:30/開演18:00
会場:渋谷www
<Melody of You>
日程:2014年2月16日(日)
会場:TSUTAYA O-WEST
出演者:新山詩織、植田真梨恵、小南泰葉、星野みちる
<つしまみれ×FLiP×新山詩織>
日程:2014年3月15日(土)開場17:30/開演18:00
会場:福岡 Queblick
<HAPPY JACK 2014>
日程:2014年3月16日(日)14:00開演
会場:熊本DRUMBe-9V1、V2、V3、Django、ぺいあのPLUS’
※新山詩織の出演時間、会場は後日発表。
<SANUKI ROCK COLOSSEUM>
日程:2014年3月21日(金)開場11:00/開演11:30
会場:
■有料会場:高松オリーブホール、高松DIME、高松MONSTER、高松SUMUS Cafe、ジャンヌガーデン特設ステージ
■無料会場:瓦町駅地下広場(天地下ブリスク)、ジャンヌガーデン
※新山詩織の出演時間、会場は後日発表。