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──ベスト・アルバム『Best Of SEAMO 』(2009年10月)、コンセプト・ミニアルバム『5 ■(ハート) WOMEN』(2010年12月)を挟み、オリジナル・アルバムとしては、約2年半ぶりの作品となりますが、まずは、どんな手応えを?
やりたい事を全部やったという感じですね。前作までは、SEAMOというのは、こうあるべきという意識が多少あったんだけど、ベスト・アルバムを出した事で解放されたと言うか。音的にも、今までの僕のイメージではないものにも挑戦してますし、逆に、初心に戻ってシーモネーターっぽい曲もあったり。これまでは、ずっと一緒にやって来たビートメーカーと制作する事が多かったんですけど、今回は、初めてのビートメーカーにもたくさん参加して貰っていて、その点は新しいですね。みんなが僕をイメージして自由な発想でどんどん曲を送ってくれたので、すごくバラエティー豊かな曲調になったと思います。
──特に意識された点は?
今の僕に何ができるか、自分の年齢観から来るメッセージという事をすごく意識しましたね。それから、やっぱりライヴですよね。アルバムと言うのは、リリースした後にツアーをやって、そこで完結するものだと思っているので、アルバム制作の段階から、ツアーの事をすごく意識しています。
──オープニングの「SEAMO行進曲」は、まさにライヴの1曲目という雰囲気ですが?
初めから、そのイメージでビートメーカーに頼んだ曲で、ライヴの1曲目はこれしかないですよね。例え、どんなアーティストと対バンしようが、一発で音勝ちできる、卑怯な位インパクトのある曲ですね(笑)。とにかくアガる、僕の登場曲です。
──続く「Stronger feat.MAY-LU~モンハン音楽部MIX〜」は、ゲーム“モンスターハンター”がモチーフですね?
僕は、このゲームが大好きなんですけど、とにかくテーマ曲がカッコイイんですよ、フルオーケストラで。ゲームのオープニングはもちろん、重要なモンスターが登場する最終決戦的な場面で必ず流れる曲なんですけど、理屈抜きにアガる。これは、もうチョイスしない手はないなって。
──ゲームの世界観をそのままストーリーにしたような歌詞ですね?
“モンスターハンター”を好きな人にだけ響いてくれればいいと思って書いた曲です。こういう曲を作れるようになったのも変化かなと思いますね。この曲は一人で歌っていると、すごく潜れるんですよね。浸れるんです。ライヴでは、バックダンサーも一切ナシで、薄いピンスポ1本の中で一人で歌いたい。そんな曲ですね。
──ゲーム自体を知らなくても、人生に立ち向かう時サポートソングとして、広く共感を呼ぶのではないかと思いますが?
そうなんですよね。ゲームのファンだけにわかって貰えればいいと思って書いた曲だったんですけど、結果的に、障害を乗り越えたり、何かに立ち向かっていくという大きなテーマが感じられる曲になったと思います。ラジオでかけていると、受験生から“入試の時に、この曲を聴いてから試験に臨んだ”なんていうメッセージが届く事もあって、すっごくうれしく思いますね。
──「Lost Boy」は、14thシングル「終わりと始まり/Lost Boy」(2010年2月)としてリリースされた曲ですが?
この1年間、ライヴですっごくお世話になった曲です。僕は、ROCKIN' ON JAPAN等のロックフェスにも出させて貰っているんですけど、そういうイベントも意識しつつ、ロック・アプローチを大胆に試してみた曲で、とにかく、ライヴで無条件にアガれる曲ですね。
──非常にノリの良い曲ですが、放たれているメッセージは重いですよね、♪失うことを 繰り返して 強くなってく〜というフレーズが象徴的かと思うのですが?
全部は叶えられないよっていう事なんですよ。若い子達にね、それを伝えたかった。例えば、就職する時に、給料が良い会社がいい、土日休みで有給も自由にとれる方がいい、且つ、自分のやりたい仕事がいい…と自分の希望ばかりを並べてみても、すごく実力があったら別だけど、大半の人は、全て希望通りになんて行かない。それが当たり前なんですよね。何かを達成するためには、何かを犠牲にしなければいけない時もある、そういう歌ですね。全部がうまく行かなくてもイイじゃないって思うんですよ。そんなに欲張らないで、これだけは妥協せずにやりたいんだっていう事を1つ実現できたらそれで充分幸せだと思うんですよね。
──オープニングから、強いメッセージ・ソングが続きますが、4曲目の「GGDM」で、ガラリと雰囲気が変わりますね。読み方は“ジージーディーエム”で良いのですか?
読みとしては、ジージーディーエムでOKです。“ゴリゴリのドM”。もう、そのまんまの曲です。どうせ突っ込むなら、これくらいやらないとダメだろって。僕の中でも、リミッターが外れた曲ですね。すごく手応えを感じています(笑)。
──ジョークとして捉えつつも、意外と男性の本音だったりするのかな、と?
いやいや、ジョークなんかじゃないですよ。本気です、本気で歌ってます!(笑)
──この主人公はSEAMOさんご自身、と言う事ですか?
その通りです、はい!俺は、こんな感じだぜ〜って、ひけらかせる奴がカッコイイんじゃないかなって(笑)。
──サウンド的には、これまでのSEAMOさんにはなかった感じですが?
オートチューンを駆使した作りというのは初めてですね。僕自身は、90年代HIPHOPサウンドに影響を受けた音作りをしてきたので、こういうサウンドとは正反対の所にいたんですけど、新しい事もどんどんやって行こうと思って。僕にとっては新たな挑戦でしたけど、やってみると面白くて。これからも、こういうものをどんどんやっていきたいと思いましたね。
──続く「SEABREEZE feat.草川瞬&BLADe(from BRIDGET)」では、BRIDGETのヴォーカリスト2人をフィーチャーしていますが?
BRIDGETというのは、うちのバックダンサーチームでもう十年来の付き合いなんですけど、最近、新たにシンガー(草川瞬)とラッパー(BLADe)が加わって、ヴォーカル&ダンス・ユニットとしても活動し始めたんです。だから、彼らをバックアップしたいという想いもあって、一緒に楽曲を作りました。2人とも、僕より一回り若くて、感性が全く違うから、リリックも面白かったし、楽しみながら作れた楽曲ですね。
──♪SとBが織りなすMusic〜、♪SとB 醸し出すFeeling〜と言うのは、SEAMOとBRIDGEで、シーブリーズ気分にさせてやるぜ、という意味なんですね?
以前から、BRIDGETは“ブリ”と呼ばれていて、“シーモ”と“ブリ”で“シーブリーズ”だね、と。それに、ローションの“SEABREEZE ”を掛けてるんですけど。
──まさに夏のイメージで、ライヴでも盛り上がりそうですね?
草川瞬とBLADeは、ツアーでも連れ回したいと思っています。
──「SEABREEZE」から「海へいこう」へと、ほんとにイイ流れですね?
もちろん、そこは狙いました(笑)。
──「海へいこう」は、夏の曲ですが、決して夏限定ではないですね。今の季節に聴くと、“去年、海に行ったね”とか“楽しかったね”なんて言ってる2人のラヴソングにも聴こえたりして。
すごくスタンダードで気持ちの良い曲なので、季節を問わず、何回聴いてもリラックスできる曲だと思います。
──今回、敢えて、アルバムに収録したのは?
アルバム・リリース後からツアーが始まって…という流れを考えると、夏ド真ん中にライヴが集中するんですよね。ライヴで、ちょうど1年越しに聴く「海へいこう」もイイだろうなと思って。
──「約束」は、初のウエディング・ソングとの事ですが?
“結婚”の捉え方って、男性と女性とでは全く違うと思うんですよ。女性はみんな結婚に対して“ゴールイン感”を持っていると思うんです。結婚式がゴール、みたいな。でも、男にとって結婚はスタートなんですよね。妻となる女性を本当に一生守っていけるのか、食わせていけるのか、ものすごく覚悟の要る事だし、大決心なわけですよ。だから、ここがスタートラインなんだという男目線のウエディング・ソングを作りたかったんです。
──確かに女性にとっては“結婚”=“安堵”ですよね。これで上がり!みたいな。
女性は、夫となる人に、きらびやかな言葉を並べて欲しいだろうし、俺に任せてとけって言ってほしいんだと思いますけど、それって、口にするのは簡単だけど、本当にできるのかと言ったら不安ですよね。だから、この曲は、若い男の子にすっごく聴いてほしいんですよ。たぶん、これまで幾度となく“約束”と言いながら守れなかった事ってあると思うんですよね。笑って済ませて来ちゃった事が。だけど、この約束だけは破れないんだぞ、そういう覚悟があるのか。妻となる人を一生守っていくという事がどういう事なのか。それがちゃんと理解できているのかって。そういうメッセージですね。
──プロモーション・ビデオも、ウエディング・ソングっぽくないですよね?
プロモーション・ビデオも“男目線”に拘りました。工事現場とか、工場とか、清掃員とか、体張って働いている男性が次々出て来るんですけど、実際に生活していく、家族を養っていくというのは、綺麗事じゃ済まされないし、世の旦那さんは、みんな汗まみれになって働いてるのが現実なわけで。色んなものを背負って頑張ってるわけだから、そういう部分を描きたいなと思って。
──主人公にレイザーラモンHGさんを起用したのは?
挫折を知ってる方だと思ったから。テッペンもドン底も見た方だと思うんですよ。でも、イイ時も悪い時も、紆余曲折ありながらも、奥さんを守っていかなくちゃいけない。結婚って、そういうものでしょう。それを表現できる人だと思ったので。
──SEAMOさん自身の結婚観でもある?
一緒に苦労してくれ…というのもアリだと思いますけど、僕は、嫁さんには、いつまでも綺麗でいてほしいんですね。苦労はさせたくない。ずっと綺麗でいてほしいから、新しい服も買ってあげたい。自分のものを我慢してでも、何か買ってあげたい。男としては、そういう覚悟をしなくちゃいけないって事ですよね。