|
||||||||||||
──ラストアルバム『リズム』は、全体を通して聴くとRYTHEMさんのライブを観ているような印象を受けました。楽曲の流れ、特に8曲目の「パラドックス」から後半戦といいますか、イントロを聴いた瞬間、観客が立ち上がって手拍子をしながら盛り上がるシーンが頭に浮かびました。曲順はライブを意識されました?
YUI:嬉しいです。ライブっていうのはありますね。やっぱりライブを沢山重ねて来たのがRYTHEMの歴史の中で濃いので、ラストアルバムを持ってのツアーも決まっていたので、最後にどういうライブにしたら良いかなぁみたいなのは、何となくありましたね。
──また、1曲目の「prologue」が遊園地の入り口のような印象で、そこから1曲1曲アトラクションを周るようなイメージもありました。「prologue」から始まり「epilogue」で終わるという構成は、どのように決めたのですか?
YUI:RYTHEMという破片を集めていくように1曲1曲磨いていったら、バラエティに富んだ曲が出来上がって。その1曲1曲の流れをスゴク考えていたので、コレをまとめるためにも始めと終わりにリボンを結ぶように、キュッとしたものを入れようと思ったので。「prologue」、「epilogue」の構成は最後に決まった感じです。
──ラストアルバム『リズム』は、どのような作品に仕上がりましたか?
YUI:解散を決めてから作り始めたアルバムなので、私たちの中でも7年間の中で一番最高の作品にしたいっていう想いがありました。人と人が繋がって繋がって“RYTHEM”というワールドが出来てきたので、今までの想いもそうだし、ファンの皆にライブなどで沢山助けてもらったことだったり、それをシミジミ感じながら作ってましたね。スゴクいろんな感情、人と人とが接する時に嬉しいって思うこととか、伝わらなくて悔しいっていう想いとか、いろんな色の気持ちがあるんだけど、出来上がりを聴いた時は、全て無駄じゃなかったなぁっていう充実感で、とても良い気持ちになりましたね。
YUKA:7年間で感じた、自分たちがRYTHEMに対して好きなところや良いところ、皆がRYTHEMに求めているものだったり、そういうのがラストアルバムで全面に出せたらいいなという想いがあって、私の好きなRYTHEMが今ここにあって、最高潮で終われるっていうアルバムになりました。RYTHEMの魅力のひとつだと思って、ずっとこだわってきたハーモニーも前作よりも沢山入っていますし。そういう初心も忘れず、でも、『ウタタネ』、『夢現ファクトリー』、『23』を経てのRYTHEMなんだなっていう成長が分かるアルバムにもなっていますね。タイトルは『リズム』しかないと思えるぐらい、最後にしてRYTHEMになれたアルバムです。
──アルバムタイトルを『リズム』とカタカナにされたのには、何か特別な想いが?
YUI:特にこだわりは無かったんです。でも、元々“RYTHEM”の綴りは造語だから、その私たちだけの世界で終わりたくなくて。RYTHEMは皆で一緒に作り上げていったアーティストだという想いがあるから、皆で共通の言葉を持って終わりたかったんですよね。だからカタカナにして、読みやすく分かり易くっていうのはありましたね。
──いつ頃から制作をスタートされたのですか?
YUKA:今年の初めに解散を決めて、その少し前からずっと曲作りを続けていたので、楽曲に関しては沢山あったんですよ。その中から収録曲を選ぶ作業を、春ぐらいに始めた感じです。でも、収録曲は、やっぱり解散を決めてから作った曲がほとんどです。
YUI:それこそ解散するっていう意味を持つアルバムだから、特に歌詞を書き直している楽曲も沢山あって。今までは作りたい曲を作るとか、その時のピンポイントを曲にして、そのままの流れで作品にしていましたけど、今回は目指したいところがあったんですよね。
──目指したいところ?
YUI:RYTHEMも7年間で様々な変化を遂げてきて、その中でもピカッ、ピカッって一番輝いている瞬間を抽出していった感じなんですよね。そういった意味でも“最高のRYTHEM”がそこにあって。だから、バラエティにも富んでるし、ここまで出来ちゃうのがRYTHEMなんだよっていうのを表せたので、RYTHEMとしては普遍的なアルバムだと思います。今回のアルバムについて、昔からファンでいてくれている方たちのコメントを聞くと、“懐かしい感じがします”っていう言葉を良く貰うんですけど、それは多分、目指したかったところとリンクしている部分があるのかなぁと思いますね。
──ラストアルバムの制作にあたって、特に意識したところは?
YUKA:やっぱり楽しみたいなって気持ちが強かったです。解散によってRYTHEMが全てだった生活が終わると考えると、感情的な部分が音楽には正直に出てしまうから。RYTHEMとして楽曲制作したり、レコーディングも最後だと思うと感傷的になってしまうんですよ。そういう歌詞が沢山あって、歌いながら感情が込み上げてくることもありましたし。それはそれで良いニュアンスになって良かったんですけど。でも、『リズム』の制作は、RYTHEMチームも、YUIとの間でも“笑顔で終わろう”をテーマに作っていたので。いろんな想いもあるけど、楽しみながら作ったら、きっと良い作品が出来るんじゃないかって思っていたので。だから制作中は本当に笑いが耐えなくて(笑)、とても楽しかったです。ファンの皆にもスゴイ楽しいよねって、本当に良い想いで終わりたかったから。そういう気持ちで取り組んでいたのが音に現れて、キラキラしている感じが出たなって思っています。
YUI:やっぱり難しかったですね。RYTHEMの7年間は、人生の中で大きな区切りを経ている時だから、多分、RYTHEMをしていても、していなくても、自分が人間として成長できる時間だったんですよね。そんな時だから、色々心の揺れが激しくて。そういうことを生き様みたいな感じで、RYTHEMとしてはき出すことが、このアルバムではスゴイ重要だと思ってたんですよね。でも、RYTHEMは、一番最後はハッピーを届けるっていうアーティストでいて欲しかったし、そこが素敵なところでもあるので。だけど、ハッピーだけで、ずーと回ってきた訳ではないから、その7年間で色々得られたモノ、失ったモノっていうことを踏まえて、それでもハッピーを届けたいのは何でなのかとか、そこがスゴク自分の中でもこんがらがった部分ですね。それが大変な作業ではあるんですよ。でも、ラストアルバムを出すことを決めた以上、絶対に上辺だけの作品にはしたくなかったから、そこを絶対通らなきゃいけないと思っていたので。自分に向き合うことはファンの皆に向き合っていることだから、最後にシッカリ伝えたいなと思って。今、アルバムを聴いてくれたファンの方や、キャンペーンに回った時のスタッフの方が、スゴク伝わったと言ってくださったりする時に、コチラが逆にハッピーを貰いますね。そのサイクルがスゴク幸せでした。ギブアンドテイクする感じが、今までとは少し違うサイクルでしたけど、何か本当に“人生”って感じでしたね。RYTHEMが今までの中でも人生の100%だったから、そう思うのかもかもしれないですけど。25だけどね、25歳だけどスゴクRYTHEMに貰ったものが大きくて。
──高校生から大学を卒業するまでの時期は、影響を受けたり、感じることが沢山ありますよね。
YUI:ありますよね。全てが100%以上で感じちゃうから。それを30%ぐらいにして作ることは、このアルバムでは絶対に許されないと思ったので。スッゴイ辛いことと、ハッピーなことが、同じ量で詰まっているアルバムですね。だから、一番素の部分というか、私たちの“人間”がスゴク入っている気がします。
──ラストアルバム『リズム』を通して、リスナーの皆さんにどのような想いを伝えたいですか?
YUI:この作品は私たちからのメッセージなので、ファンの皆にはそれぞれの答えを出して欲しいなと思います。やっぱり発表した後も、解散の理由を聴かれることはあるんですけど、それは私たちの言葉で言う事ではないと思っていて。このアルバムで全てを出し切ったっていうところに答えがあるので、皆が聴いて、それぞれで感じて貰うことに何も間違いはないと思っているので、それは皆さんを信じていますね。皆のRYTHEMをそこで作って欲しいなと思います。
YUKA:RYTHEMは皆に支えられながら音楽をやっていたユニットなので、特に1万人握手もやっていたから、ファンの方々との繋がりがスゴク深いんですよ。普通に“よっ!”って感じの(笑)。距離が近いからこそ皆に分かってもらいたいと思ってしまうけど、解散発表後のどんな反応が返って来るのか、とっても怖かったですね。
でも、解散を発表した瞬間は、皆に悲しい想いや、寂しい想いを絶対に与えてしまうって思っていたからこそ、最後にオリジナルアルバムとライブツアーは絶対やりたかったんです。だから、解散することで悲しませてしまった人たちには、いろいろ深読みできる曲が沢山あるから、是非皆さんに色々感じてもらって答えを出して貰えたら。その一方で、本当にこのアルバムを手に取ってから“RYTHEM解散なんだ!”って知る人も沢山いると思いますし、解散を知らずに聴いたら、また全然印象の違う曲たちだと思いますね。皆の中で、ずっと聴いていけるようなアルバムになれたと思うので、皆のシーン毎に思い出してもらえる曲に成長してもらえたらなって思います。
──続いて収録曲についてお聞きします。まず2曲目の「LIFE TREE」は歌としては最初を飾る曲ですが、この曲を歌の1曲目にした理由は?
YUI:1曲目に相応しい顔を持ってましたね、この子は(笑)。曲の雰囲気ですね。終わりなのにスゴク幕開けを感じさせる曲だったので。それこそ、さっきのライブをイメージした時に、1曲目に歌いたい曲だなぁというのはありました。ライブのことを歌った曲でもあるので。インストアライブとか100本以上やらせてもらった時に、ファンの皆がドンドン家族みたいになっていくんですよね。誰かと誰かが繋がって、その人がまた誰を連れて来てくれて、さらに誰かと誰かが繋がっていく感じが家系図みたいな。そういうことが人生の木というか、「LIFE TREE」みたいに思ったので書いた曲だったんですよ。
──3曲目の「Homey」ですが、タイトルには、どのような想いが?
YUI:“親愛なる人”っていう意味を持つ言葉です。本当は「A Flower」と代わってラストシングルの候補に上がっていた曲で、それぐらいRYTHEMの看板を背負える曲ですね。とてもキラキラした流れを持ってる曲なので。最終的には「A Flower」になりましたけど、「Homey」のほうが、より前を向いている曲ですね。だから、解散とかに関わらず、いろんな人生の転機がやって来た時、例えば卒業とか大切な人とのお別れとか、人と人が別れなければいけない瞬間は沢山あると思うんですけど、そういう時に聴いてもらいたいなぁって思いますね。それこそ、RYTHEMのことをスゴク大事にしてくれていたスタッフさんとお別れすることがあったりしたので、そういう別れの瞬間をキラキラさせられる曲であって欲しいなって思いますね。
──4曲目の「After hours, Before sleep」は、“うたまっぷ”の歌詞投稿企画の課題曲として提供いたいだいた楽曲のリメイクですね。
YUKA:そうなんですよ!
YUI:元の曲は44秒でしたね。最終的に着うた(R)で配信する企画だったので、その長さが44秒までなんです。
YUKA:忘れもしない、44秒に収めてくださいって(笑)。意外と大変なんだよね。44秒の中にAメロ、Bメロ、サビと作るのは。
YUI:スタッフの皆にも好評の曲だったので、アルバムに入れようとなって。
──「After hours, Before sleep」の歌詞の内容は、今年7月7日に行われた7周年ライブの終わった後のことですよね。特に“歌うことは生きること”というフレーズが印象的でした。
YUI:まさに、7周年ライブの情景のことを歌にしました。あの日もファンの皆が本当に温かくて、いつもライブは皆に助けられます。あのライブでは、解散が決まっていることを言えない状況だったけど、皆が私たちに信じる目を向けてくれているのがスゴク印象的で。やっぱりライブをすると、いろんな想いが込み上げて来て…でも、その日は込み上げた想いを言えなかったんですよね。一番大事なことを皆に伝えられずにステージを去ったっていう気持ちが、もどかしい面も沢山あって。それで、私たちは私たちで、皆は皆で帰った時に、RYTHEMのこと、ライブのことをふと思い出して、胸が熱くなったりとかしてもらえたらスゴク幸せだなぁと思いながら書いた曲です。
──YUKAさんは7周年ライブは、同じような想いを?
YUKA:7周年ライブでは声帯を痛めてしまっていたので、本当に申し訳ない気持ちが強かったです。年末の中野サンプラザ以来のワンマンライブだったから、皆が楽しみにして来てくれているのに、もう“ゴメン!”っていう気持ちでステージに上がっていました。でも、本当に皆に救われたライブでしたね。最後は立っていられるか分からない状況だったのに、皆が支えてくれたので最後まで笑顔で終われたんだなぁって思います。益々感謝の気持ちが加わりましたね。
──5曲目の「ツナイデテ」は、ドラマ“ギネ 産婦人科の女たち”のエンディングテーマとなったシングル曲ですが、解散発表後の今聴くと、“始まりがあれば終わりがあるんだって”という冒頭の歌詞がスゴク意味深に思えてしまいます。
YUKA:ドラマ用に作った曲なので、その時に解散ということは、もう全然考えてなかったですね。
YUI:でも、今「ツナイデテ」を聴くと、“あっ、解散かな!?”みたいに思えますよね。
──YUKAさんが言ったように、解散を知ってアルバムを聴くと、どの曲も意味深に思えますね。
YUKA:でも、「ツナイデテ」の冒頭も、私たちは今RYTHEMの始まりと終わりを経験しようとしているけど、誰でも様々な場面でいろんな選択をしている以上、絶対、自分にとっての始まりと終わりを経験することはあると思うので、そういう感じで聴いてもらえれば。