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ニコニコ動画の歌姫“ヤマイ”が、アーティスト・ネームを“KANAN”とし、本格始動。ネットでは広く知られた存在だが、現在に至るまで、その素顔は隠されたまま。静岡県在住の24歳。公開されているプロフィールも、それだけ。今回のビデオ・メッセージも、顔出しナシ。首から下しか映っていない、という異例の映像だ。
2007年からニコニコ動画に“ヤマイ”という名前で歌を投稿。主にボーカロイド関連楽曲を歌い、人気を博してきた。今年6月には、papiyon(蝶々P)のボーカロイド殿堂入り楽曲「え?あぁ、そう。」を歌い、投稿。わずか2ヶ月で再生回数100万回を突破、現在では132万回を超えるに至っている。twitterのフォロアーも12,000人超。既に多くのファンを持つ人気シンガーだ。
KANANとしては、今年6月、アニメソングの代表曲をサーフミュージックにアレンジしたカヴァー・アルバム『Surf Anime』をリリース、独特な歌世界を披露したばかりだが、12月15日、完全オリジナル楽曲による本格的なデビュー・ミニ・アルバム『Memoria』をリリース。大きな話題を呼んでいる。
アルバムのテーマは“恋の病(ヤマイ)”。「沫嘘(アワウソ)」=遠距離恋愛、「clover」=やっと叶う恋、「荊姫(イバラヒメ)」=もう逃さない、「緋の雷鳴」=愛しすぎて憎い、「Memoria」=思い出を忘却へ、「夜半(ヨワ)の月」=駆け落ちて一つ、「トリトマ」=許されぬ恋、「六月の約束」=失った最愛の人・・・と、様々な状態・状況にある8人の女性の心情を、ポップス、ロック、ジャジー、和風テクノなど多彩なサウンドに乗せ表現。天使のような可憐な高音から、切ないシャウト、ゾクっとする低音まで、そのヴォーカルは1曲ごとに全く異なる表情を見せる。まるで、それぞれの主人公が憑依したかのようだ。
8曲中7曲がKANAN自身による作詞。美しい比喩を多用した独特な詞世界。身に纏(まと)う、躊躇(ためら)う、睫(まつげ)、硝子(がらす)など、漢字を多く用いた作風が、言葉の質感をより高めてくれる。♪私の喉元を 深く軋ませる〜(「Memoria」)、♪あたしの胸を枯らす〜(「トリトマ」)など、肉体を刺激するフレーズも多い。
本格的なアーティスト活動は来年からとなるようだ。いったい、どんな女性なのか。期待は膨らむばかりだ。