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──続く「HeartBeat」は、11月20〜21日に横浜アリーナで開催された“Beat Connection”のテーマソングですが、イベントのテーマに相応しく“伝播”という2文字がピッタリくる曲だな、と。
まさしく“伝播”ですね。「HeartBeat」というタイトルも、心臓の鼓動という意味だし、その鼓動…心拍数が上がる瞬間、興奮する瞬間、感動した瞬間、音楽で繋がっていく喜びを共有していきたいというのがすごくあって。
──伝えていきたい事、伝播しているものは、音楽の喜びですか?
一人じゃないんだという事を音楽を通じて実感した時の喜びですね。僕だけでなく、一緒にやってるKEN THE 390も、May.Jも、生きてて感動する瞬間って、音楽にまつわる瞬間がほとんどなんですよね。自分の活動の中で、お客さんとの一体感を感じられた時もそうだし、全然知らない人同士が仲良くなっちゃうのも音楽の力だし、ああ繋がっているんだって実感できた瞬間の喜びを歌にしたいなと思って。
──それをもっともっと広く伝えていきたいと?
たぶん、そういう瞬間は誰もが経験していると思うんですよね。でも、もっと繋がっていけると思うし、そういう奇蹟を起こせるのが音楽だと思うんです。
──3曲目「Escape」は、言葉で説明するのが難しい音ですね。ちょっとエロティックな感じもあって、でも、歌詞は可愛らしい所もあって。
この歌詞は、二枚目に陥らない感じがミソかなと思っているんですけど。腕枕してるんだけど、腕痺れてるとか(笑)。
──朝を迎えた男女を描いたラヴ・ストーリーですけど、こういう朝の情景というのは、TAROさんくらいの年齢の男女だと多々あるんじゃないか、と。
テレビドラマの世界では、主役の2人はかっこいい朝を迎えたりしますけど、実際には、そうはいかないですからね(笑)。
──今日は、仕事さぼって、2人でどこか行っちゃおうか…という感じ?
そういう感じもありますし、ちょっと男の弱音の部分でもありますね。仕事には行かなくちゃいけないんだけど、その瞬間、汚れていたくなってしまう弱さ、みたいなのを表現したかったというのもありますね。
──4曲目「ほっとかないでbaby feat.あるま」は、シチュエーションとしては、クラブでナンパ中という感じですが?
シチュエーションとしては、そう受け取って貰って間違いなんですけど。女の子を口説いている設定で、実は、HIPHOPに興味を持っていない人達に対して、“もっとこっちも聴こうよ”と誘っている。“ほっとかないで”と言うのは、HIPHOPを放っておかないでという事なんですよね(笑)。
──歌詞の中には、色々と、HIPHOPの要素が出て来てますものね。
HIPHOP界を代表する色んなミュージシャンの名前とか、名曲のタイトルとか、歌詞の中にたくさん織り込んでいるんですけど。HIPHOPやブラック・ミュージックをより多くの人に好きになって貰いたいんです。だから、こんな楽しい曲も色々あるんだよっていう事を伝えたくて作った曲なんですよね。
──女の子に“こっちを向いてよ”と言うスタイルを取りながら、“こっちも聴いてよ”と言っている?
そうなんです。でも、これまでの僕だったら、“ほっとかないで”なんていう表現はできなかったと思うんですよね。HIPHOPの作法、歌詞の書き方に則れば、“こっちの方がヤバいぞ”とか“お前らが聴いてるのはダサい”とか、突っぱねた言い方になっちゃうんですよ。でも、本音を言えば“ほっとかないで”なんです(笑)。だから、そういうナヨナヨした感じを醸し出せたら面白いかなと思って。
──5曲目「受賞者feat. サイプレス上野とロベルト吉野とRomancrewとDJ威蔵」は、何とも楽しい楽曲になりましたね。それぞれが○○賞を受賞したという設定でマイク・リレーをスピーチをしていく。この発想はどんな所から?
サイプレス上野とロベルト吉野、Romancrewとは、すっごく仲は良いんだけど、同じHIPHOPという領域でも、芸風はかなり違うんです(笑)。そういうメンバーで何かやりたいなと思って。以前、このメンバーで九州ツアーをやった事があるんですよ。レンタカーを借りて自分達で運転して、みんなでユースホステルに泊ったりして、すごく楽しかったんですね。そのツアーを思い出してたら、ツアー繋がりで「AWARD TOUR」(アメリカのHIPHOPグループA Tribe Called Questのヒット曲)という曲が思い浮かんで、そこから連想ゲーム的に“AWARD”で何かやろうって。仲がいいなら、仲がいいだけでイイんじゃないかと。ふざけてる感じが出たら、それだけで充分なんじゃないかと思って。ロベルト吉野(HIPHOPユニット“サイプレス上野とロベルト吉野”のDJ)という強烈なキャラがいたので、そのロベルト吉野がむちゃくちゃな賞をみんなに与えていく。それに応えて、みんなが受賞御礼のスピーチをしていく。ほんとにただの悪ふざけ、お遊びですね。でも、そういうバカっぽい事ができちゃうのも、ラップの魅力だし。そういう面白さを感じて貰えればうれしいですね。
──ラストの「現場でSEE YA! Pt.3 feat. DJ 威蔵」は、みんなとの共有感というのがテーマですよね。“夢への挑戦”という言葉が出てきますが、どんな夢なのでしょう?
僕は、ずっとブラック・ミュージックが好きで、それを、もっともっと大勢の人と共有したいって、ずっと思ってきたんです。自分が一番好きなものについて、一緒に話ができる人がもっともっと増えてほしい。「ほっとかないでbaby feat.あるま」とも共通するんですけど、ミュージシャンという立場になった今、すごく思う事は、TARO SOULの音楽がキッカケとなって、ブラック・ミュージックにまで興味を持ってくれたり、ハマってくれる人がどんどん増えたらいいなって。
──それが、夢?
音楽って、そうやって成長してきたものだとも思うし、だから、この夢は終わりはないんですよね。
──そういう意味では、このミニ・アルバムは、これまで、HIPHOPやブラック・ミュージックに接点のなかった人達に聴いてほしいという思いが強いのでは?
それはすごく大きいですね。僕は、本当にHIPHOPやブラック・ミュージックに魅力を感じている人間で、だからこそ、僕が外へ出て行って、TARO SOULの音楽をより多くの人に聴いて貰う事で、自分の愛してきた音楽の良さを伝えていきたいと思うし、僕の音楽活動の根本は、そこにあると思っています。
──リリースを経て、これからはどんな抱負を?
とにかくライヴをやっていきたいと思います。来年1年をかけて、47都道府県を回るというのが目標です。来年、TARO SOULは、47都道府県を回りますって、今ここで宣言します!ゼッタイに日本中を回りますから、みなさん、待っていてくださいね!