近野淳一(Vo/G)、一関 卓(B)、渡邉光彦(Dr)。秋田発の3人組。昨年8月、テレビ東京系ドラマ“怨み屋本舗 REBOOT”主題歌「夢」で、メジャー進出。続く「風のメロディ」は、TBS系情報番組“エンプラ”オープニング、3作目となる「黒髪ストレンジャー」は、テレビ朝日系海外ドラマ“クリミナル・マインド FBI行動分析課”テーマソングに起用されており、既に、鴉のサウンドを耳にしている人は多いはず。
最新シングルとなる「巣立ち」は、MBS・TBS系ドラマ“闇金ウシジマくん”主題歌。原作は、真鍋昌平のコミック。2004年から“ビッグコミックスピリッツ”に連載され、単行本は累積250万部を突破する大人気作。今回の実写ドラマでは、10日5割という法外な利息をとる、主人公の闇金業者・丑島(ウシジマ)を山田孝之が演じ、その凄身のあるダークヒーローぶりが大きな話題を呼んでいるが、「巣立ち」は、そんな主人公のイメージとも重なる、激しさと切なさを合わせ持ったパンクナンバー。
理想と現実のギャップに気づき初め、途方に暮れる青春期の絶望感や焦燥感、孤独感を、鴉ならではの陰のある婉曲表現で綴った歌詞。一見ポップな中に、暗さを潜めたメロディー。エイトビートを基調とした独特なリズム。“秋田発・激情激唱スリーピースバンド”の異名をとる鴉だが、今作では、激唱はやや控え目。訴えかけるような切実なヴォーカルが強く心に残る。
プロモーション・ビデオも必見。黒を基調とした演奏シーンと、新宿の風景を切り取ったカット。そして何より、様々な男女が無防備に流す大粒の涙が印象的。CDジャケットは、“闇金ウシジマくん”の原作者・真鍋昌平による書き下ろしイラスト。こちらも、楽曲のイメージにぴったりだ。
2曲目の「最後の歌」は、インディーズ時代の人気曲。♪もう二度と もう二度と〜と繰り返されるフレーズが胸を打つ別れの歌。裏打ちの変則ビートを土台に、柔らかなメルヘンタッチのメロディーと、激しいシャウトとが入り組んだ個性的な曲構成。続く「この夜、彷徨い続け」は、「最後の夜」から続くかのようなストーリー。畳みかけるような高速ビートに乗せて、その別れを美しい思い出へと昇華させていく。もの悲しい冬の景色にぴったりの2曲だ。
ライヴ・バンドとしても知られ、これから年末にかけて全国の様々なイベントに出演。地元・秋田では、10月から3ヶ月連続イベント“激唱ノ集イ 特別編”がスタート。その3回目となる“激唱ノ集イ 特別編 其の三〜冬来たりなば春遠からじ〜”は、12月3日の開催。12月8日には、初のフルアルバム『未知標』のリリースも控えている。