CDジャケットには、東北楽天ゴールデンイーグルスのマー君こと田中将大投手が登場。2010ABC夏の高校野球応援ソング「あとひとつ」をリリースしたばかりのFUNKY MONKEY BABYS。すぐに努力が報われなくても、簡単にあきらめたりしないで。それぞれの“あとひとつ”を乗り越えた時、きっと願いは叶うはず。その時が来るのを信じて一歩ずつ踏み出して行こうと歌う、ファンモンらしい応援歌。c/wには、真夏の太陽を擬人化したファンタスティックなラヴソング「真夏のマジック〜Sun's Feelings〜」と、思春期の感情を爆発させた悪ノリ・パーティーチューン「アワービート」を収録。全く異なるタイプの3曲だが、いずれも、FUNKY MONKEY BABYSの持ち味。ファンモンの魅力が凝縮された1枚となった。
久しぶりにメンバー3人を迎えてのインタビュー。FUNKY MONKEY BABYSが音楽の道で乗り越えて来た“あとひとつ”。高校時代、やり遂げられなかった“あとひとつ”。そんな真剣トークから、下ネタ炸裂のおバカトークまで。たっぷり聞かせていただきました!
──「あとひとつ」は、2010ABC 夏の高校野球応援ソングですが、まずは率直にどんな感想を?
ファンキー加藤:僕も中学までは野球をやっていて、高校で断念しちゃったんですけど、甲子園と言うのは、今でも憧れだし、敬意を感じています。だから、いつか何らかの形で関わる事が出来たらとずっと思っていたので、すごく光栄です。
──高校野球をイメージした時、どの部分をテーマとして切り取るかで全く異なる歌になるかと思うのですが、今回はどんな所にスポットを?
ファンキー加藤:ピッチャーが剛速球を投げ、バッターが特大ホームランを打つというような華やかな試合のイメージではなく、コツコツ練習している風景だとか、負けて泣いている人だったり、あるいは、ベンチ入りもできずにスタンドで応援している選手とか、そういう影で支えている人達にもスポットライトが当たるような楽曲にしたいと思いました。勝ち続けて行く事はすごく難しいし、素晴らしい事だと思うんですけど、負けて挫折して、そこから立ちあがって行く姿もまた美しいと思うんです。僕達自身が決して勝ち続けて来た部類ではないので、勝ち続けている人の目線では書けない。挫折を乗り越えて這い上がって行く姿の方が書き易いんですよね。
──ピアノで始まって、電子オルガン系が加わって、更にギターが重なってくる、生音のゆったりしたサウンドですが、楽曲作りとしては、どんな風に?
ファンキー加藤:今回の島田昌典プロデューサーは、生の演奏でオケを作るスペシャリストなんですよ。これまでは、ギターや弦楽器が生でも、ドラムだけは打ち込みだったんですよね。今回、初めてドラムも叩いて貰って、ファンモンとしては新しいチャンレンジとなりました。
DJケミカル:僕らはずっと打ち込みで育って来たんですけど、生のドラムもやってみたいと思っていたんです。人間味のある生のドラムは温かくて、すごく良かったと思います。
モン吉:応援団とかセーラー服の女の子達がスタンドで合唱できる、みんなで歌える曲にしたいと思っていたので、イメージ通りのサウンドになったと思います。
──「あとひとつ」は“あきらめないで”というのが強いテーマとなっていますが、“あきらめない”というのは、どういう事なんでしょう?
ファンキー加藤:応援ソングと言うのは、根本にあるのは、“あきらめないで”というメッセージだと思うんですよね。
──“頑張れ”とは、違うのでしょうか?
ファンキー加藤:”頑張れ”というのは、実はけっこう酷な言葉だと思うんです。僕も”頑張れ”って人に言う事はありますけど、頑張り所を見失っている人もいるだろうし、目一杯頑張っている人にとっては、もうこれ以上は無理だよって時もあるだろうし。そういう時は、そこに立ち止まっていてもいいと思うです。踏ん張っていればいいと思うんです。後ろにさえ下がらなければ、立ち止まっていてもいい。それが”あきらめない”という事だと思います。
──みなさんも、音楽というフィールドで“あとひとつ”を乗り越えて来たのだと思います。同時期に同じように音楽を志しながら、途中でやめてしまった人も多かったかと思うのですが、そこの“あとひとつ”の違いって、何だったと思いますか?
ファンキー加藤:今振り返ると全く根拠のない自信だったんですけど、必ずどうにかなるって信じてたんですよね。でも、真剣に音楽と向き合い始めたのは、FUNKY MONKEY BABYSを結成してからです。
モン吉:僕も本気でやり始めたのは、FUNKY MONKEY BABYSを結成してからですね。
──♪あとひとつの坂道を あとひとつの夜を 超えられたなら きっと笑える日が来るって〜というフレーズがありますが、FUNKY MONKEY BABYS結成が正しくその坂であり、夜であった。そんな感じ?
ファンキー加藤:そうですね。それまでも音楽をやってはいたんだけど、モン吉と出会って、FUNKY MONKEY BABYSを結成した時に初めて、“俺は音楽でメシを食っていくんだ”って決心できたんです。それで、自分で退路を絶ったんです。それまでは音楽をやりながら、洋服屋さんでアルバイトをしていて、自分で言うのもナンですけど、けっこう優秀な店員だったんですよ。店からは“音楽がダメだったら、いつでも就職していいから”と言われていた。でも、そこが拠り所、甘え所になっちゃうと思ったから、そのバイトもやめて、とにかく2年間、音楽だけで頑張ろうと決めたんです。それからは、もう毎日、音楽だけに専念しました。
モン吉:ほんとに毎日部屋にこもって、ずっと機材の前にいましたね。毎日、楽曲作って、ライヴをやって・・・ストレスでこめかみがピクピクしてました。
ファンキー加藤:もう20代後半でしたからね、金銭的にも体力的にも精神的にも辛かったんですけど、でも、ちゃんと全力で真剣に向き合ったら、少しずつ手応えが感じられるようになって来るもんなんですよ。
──少しずつ夢が現実のものになっていっている、そういう実感があった?
ファンキー加藤:ホントに少しずつでしたけどね。半年〜1年経った頃には、固定ファンもついて来て、自分達の楽曲のスキルもライヴ・パフォーマンスのスキルも上がっていると思えるようになったし。視野もどんどん広がって行った。最初のうちは八王子を拠点に、せいぜい町田くらいまでだったのに、横浜に呼ばれたり、東北のツアーに呼ばれたり、フランスでライヴが出来たりとか。根拠のない自信が、少しずつ実感できるものになっていったんです。
──そういう実体験もあっての“あきらめないで”というメッセージなんですね?
モン吉:そうですね。僕らが、ファンモンでやって行こうというモチベーションになれたのも、それは、やっぱりどんな形であれ、音楽を続けて来たからできた事だし。
ファンキー加藤:継続していれば必ず結果は出るものだと思います。
──逆に、若い頃を振り返って、あきらめてしまった“あとひとつ”というのはないですか?今でも後悔しているというような…。
ファンキー加藤:僕の高校3年間は、あきらめの3年間でしたね。無気力で、これと言った思い出もない、人生で唯一の空白の時間ですね。
──中学まで野球部だったんですよね。野球を続けようとは思わなった?
ファンキー加藤:僕が進学した高校は、野球部がすっごく強かったんです。僕は、小学校・中学校と野球をやってきましたけど、実は、あんまり野球センスないんですよ。自分でもそれに気づいていて、だから、高校に入って時、野球部の連中のレベルを見て、心が折れたと言うか。絶対レギュラーになんかなれないし、やっても無駄だなって。そうなると、ひねくれちゃって、“部活なんかやってられっかよ”って斜に構えてたりして。でも、野球をやめて空いた時間に何もする事がない。結局、何もしないで終わっちゃった。未だに高校の3年間だけはやり直したいと思いますよ。
──3年間をもったいない過ごし方をしてしまったと言う“大きなあとひとつ”?
ファンキー加藤:そうなんです。大きいですよね。だから、僕は、例えば、高校生へ向けてエールを送るような場面では、必ず自分のこの経験を交えながら話をします。何か1つでいいから、打ち込むものを見つけてほしい。何かに打ち込んでいる人の姿は本当に美しいと思いますって。
──モン吉さんの高校時代は?
モン吉:部活はやっていなくて、帰宅部でした。毎日遊びまくってて、ほんとに楽しい高校時代で何1つ後悔はないですけど、僕の場合は、卒業後ですね。進学するつもりで予備校に1年間行ったんですけど、結局、何を勉強したいというのも見つからなくて、専門学校に進みまして。何の学校だったかももう覚えてないんですけど、その学校のパンフレットに“何がやりたいのかかわからない人、集まれ”って書いてあったんですよ。それで、集まっちゃったんですよね(笑)。完全に流されていて、とにかく遊べればいいというだけで進学したから、今思えば、もうちょっと真剣に考えるべきだったなって、すっごく思いますよね。
──ケミカルさんの高校時代は?
DJケミカル:ずっと、デパートの入り口にたまってましたね、八王子駅の近くの東急スクエアの入り口に。よく地べたに座ってる少年達がいるじゃないですか、あの感じです。
──何をしていたんですか?
DJケミカル:何もしてないんです。何もする事がないから座ってるんです。そう、話をしてるだけですね、お互い。でも、面白かったですよ。その年頃って、色んな出来事があるし、事件も起こるし。その時なりに楽しかったんですけど、それにプラスして何か達成できたら、もっと面白かったかなとは思いますね。16〜18歳の頃に経験したり、吸収する事って、進学したり社会に出てから、すごく大きく影響すると思うので、みんなも、いい時間を過ごして、いい経験をしてほしいなと思いますね。 |