一度聴いたら忘れられない独特な歌声。クセになるユニークなメロディー。笑っちゃうのに泣けてくる、個性的でセツナイ詞の世界。大阪在住のシンガーソングライター。関西を中心にインディーズシーンを席巻してきた近藤夏子が、4月21日、シングル「『リアルでゴメン…』」で遂にメジャー・デビュー!
ピアノを立って弾く“叩き語り”と言われるあの独特な演奏スタイルはどんなキッカケで?ユニークな歌詞の発想はどんな所から?近藤夏子って、どんな女の子?
期待の超新星シンガーソングライター、近藤夏子にロングインタビュー!
──まずは、近藤さんの音楽の原点から教えてください。
何か大きなキッカケがあって音楽を始めたわけじゃないんですよ。生まれた時から、父が和太鼓、母がコーラスをやっている家庭で、私も2歳からピアノを習い始めたので、音楽は生活の中にあるのが当たり前だったんです。
──とは言え、シンガーソングライターを志すには、何かキッカケがあったのでは?
小さい頃から、人に見られるのが好きで、目立ちだがり屋だったし、とにかく人と違う事をしたい性格だったんです。それで、中学2年生の時のピアノの発表会で、先生に“私、ちょっと目立ちたいんですけど、歌ってもいいですか?”ってお願いして、私だけ、ピアノの弾き語りをやらせて貰ったんです。「OVER THE RAINBOW」を歌ったんですけど、歌ってみたら、もう楽しくて楽しくて。友達もみんな驚いて“なんや、夏子、弾き語りなんかできたんや”って。みんな“すごい、すごい”って言ってくれるから、すっかり得意になっちゃって。
──それまでのピアノの発表会とは全然違った?
もう、めちゃくちゃ快感でしたね。歌も一緒に歌う事で、ピアノだけでは表現しきれなかった自分を、全部出せたと言うか。あ〜こっちの方が全然楽しい、これだ〜!って思いました。それまでも、カラオケで歌ったりはしてましたけど、人前で歌う・・・ステージで歌うっていうのは、こんなに楽しいもんなんやって実感しました。そこから、弾き語りにのめり込んで行って、ピアノのレッスンも、弾き語り中心に変更して貰ったんです。J-POPの楽譜を持っていって、アップテンポの曲をバラードにアレンジしてみたり。
──中学2年生のピアノの発表会が、シンガーソングライター近藤夏子誕生の原点だったわけですね。
あ〜確かにそうなりますね。その頃は、そんな事を想像した事もなかったですけど、あの発表会がなかったら、ここにいなかったかもしれないですね。好きな事を自由にやらせてくださったピアノの先生には、本当に感謝しています。
──オリジナル曲を作ろうと思うようになったのは?
高校に入ってから友達に誘われてバンドを始めたんですね。学園祭に出たりしてしてたんですけど、ある時、バンドのオリジナル曲を作ろうという話になって。作詞・作曲を始めたのは、それがキッカケですね。
──どんな曲を?高校生なりに書きたい歌のテーマがあった?
ジャンルとしては、いわゆるポップロックで、学園祭に出演するようなバンドだったんですけど、歌詞は・・・今読み返したら恥ずかしすぎですね。今の近藤夏子は、思っている事を正直に書いているんですけど、その当時は、歌詞っぽくしようと一生懸命で、そっちの世界の人はこういう言葉で書いていそう・・・そんな風に、飾って書こう、かっこよく書こうってしてました。とにかく、歌らしくしようって。だから、内容はほんとに浅かったです。雰囲気だけ、それっぽくしてただけで(笑)。
──そこから、ストリート・ライヴに辿りつくのは?
高校卒業後はバンドも解散したんですけど、人と違う事をしたい、目立ちたいっていう性格は変わってなくて。人前で歌いたい、自分を見てほしいという欲求も強くて。ピアノも弾けるし、ほんなら一人でやってみよかって(笑)。
──それで、突然、ストリートに?勇気の要る事ではなかったですか?
もちろん、一番最初の時は勇気が要る事だったんですけど、でも、“できるかな”という不安は、やってみたいと思っているから感じるわけで、不安だからやらないっていうのは違うと思ったし、とにかく、やってみようって。“よしっ、行ってしまえ〜”という感じで始めました。
──ある日突然、一人で行って、一人で始めるわけですよね?
はい、一人で行って、一人で始めました(笑)。勝手に始めていいものなのかもわからないし、まず、既に演奏している人の所に行って“今日、初めてなんですけど。ここでやってもいいんですかね?”みたいな事を聞いたんですよね。そしたら、皆さん、すっごく親切にしてくださって。
──人生最初のストリート・ライヴはどうでした?
自分の中で“せーの”って掛け声かけて始めたんですけど、でも“近藤夏子で〜す”って言ってみても、みんな、フツーに歩いてるだけで(笑)。
──近藤さんと言えば、ピアノを立って弾く“叩き語り”がトレードマークになっていますけど、あのスタイルもストリートから生まれたもの?
ストリート・ライヴがすごく大きいキッカケになりました。それまでは、ピアノは座って弾くものだと思っていたし、かっこいい言葉を使うのがシンガーソングライターだと思っていて、そういうスタイルでストリート・ライヴを続けていたんです。だけど、なかなか人が立ち止まってくれなくて。誰も聴いてくれなくて、毎日泣きそうになったりしてたんですけど、でも、私、すっごい負けず嫌いなんですよ。自分に負けたくないというのが常にあって、誰も聴いてくれないまま帰るのはイヤだって。それで、すっごく色々考えたんです。鍵盤の弾き語りって、どうしてもバラード調の曲が多くなってしまうんだけど、鍵盤でもアップテンポの曲をやれないかって。バンドでヴォーカルをやってた時は、すっごく暴れていたし、そういうのも取り入れないと自分らしくないなと思ったり。それで、椅子をどけて、立ちあがってみたんです。
──楽曲の作り方も変わった?
変わりましたねぇ。鍵盤を立って弾くようになってから、すごく自然体で歌えるようになって、歌詞も、言葉を選ばずに、普段喋っているように書いたらいいんじゃないかって気づいたんです。そしたら、スラスラ書けるようになって、どんどん、自分を出せるようになっていったんですよね。
──ストリート・ライヴで鍛えられた?
ライヴハウスと違って、ストリートは明るいですから、全部見えるんですよね。あ、1人立ち止まってくれた。2人増えて3人になった。あ〜1人帰っちゃう・・・なんでぇ〜、とか。お客さんを帰らせないMCって、どんななんやろとか、すっごい研究しました。
──お客さんとキャッチボールしながら、近藤夏子のスタイルを開発していったわけですね?
開発〜?あ、確かにそうですね。ストリートで開発して行きました(笑)。
──そうしたストリート時代を経て、いよいよ、メジャー・デビューですが、今は率直にどんなお気持ちですか?
デビュー前は、“期待の新星シンガーソングライター”とか書かれると“そんなん違います〜”って、すっごくプレッシャーを感じてしまった時期もあったんですけど、今は、もう楽しみで仕方ないですね。デビュー・シングル「『リアルでゴメン…』」に関しては、今持っている自分の力は全て出し切ったし、やる事は全てやったという達成感があります。
──何も変化はないですか?
メジャー・デビューしたから、近藤夏子の何かが変わるっていう事は全くないですね。これまでやって来た事を、これからも、これまで以上に。それだけです。すっごく忙しくなりましたけど、忙しいというのはとてもありがたい事ですよね。これまでと大きく違う点をあげるとすれば、初めてお会いする方の人数ですね。こうやって取材していただいたり、毎日、本当にたくさんの方と会うようになって、私は人が好きだし、誰かとお話しするのも大好きだし、毎日本当に楽しいです。これからも、もっともっとたくさんの方と出会うのかなと思うと余計に楽しみですね。ワクワクします。
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