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矢野まきデビュー10周年!ニュー・アルバム『本音とは愛よ』リリース!32才を迎えた矢野まきが “逃げも隠れもせず、今の自分をどこまで見せられるか” と、臨んだ全作の歌詞。必見です!
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『本音とは愛よ』
矢野まき『本音とは愛よ』

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アルバム
喝采
WTCS-1022
発売:2009.06.10
\2,300
収 録 曲
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01.本音とは愛よ
02.プロポーズ
03.情熱の記憶
04.ユートピア
05.のろいのように
06.傘もささずに
07.青い鳥のストーリー
08.メッセージ(電気事業連合会TV-CMソング)
矢野まき オフィシャルHP

同世代の人に支持していただけるとしたら、それはすごく心強いですね。

──続いて「のろいのように」。これはまた、恐ろしいタイトルですね(笑)。
矢野:グロいタイトルでしょ(笑)。でも、実は、私の中の一番素直な状態というか、平熱の36度4分ですっていう曲なんですよ。
──強烈なタイトルだったので、実は、もっと裏の意味があるんじゃないかとか、歌詞を深読みしてしまいましたが、文面通りに受け取って良かったんですね。
矢野:あはは、そのまんまでOKです(笑)。
──でも、確かに“のろいのように”と感じる時はありますよね。♪のろいのようにわたしは眠れない〜というフレーズが何度も出てきますけど、自分ではコントールできない精神状態になる時ってありますものね。
矢野:そうでしょう。何もしていないのに何だか疲れちゃって、外に出るのが怖くって、家に閉じこもっちゃって、あなたの事ばかり考えてて、幸せだけどすごく苦しくて・・・そういう、とっても人肌な人間らしい部分。タイトルは強烈なんですけど、すごくニュートラルな曲だと思います。

──「傘もささずに」は、ゆったりとした曲調で、また異なる趣ですが。
矢野:これは、松岡さんと私の共作。松岡さんが作ってくれた土台に、私のメロディーも付け加えて完成させた曲です。メロディーの色とか匂いとか温度感がね、冷たくって暗くって、だけど綺麗で、そういうイメージがパァーっと広がったので、その感覚をそのまま詞に綴っていったんですけど。
──♪あなたとの運命に嫌われたようで一人〜とか、♪なんら始まりもせずに終わってしまって〜とか、詩的で美しい表現だけれども、グサっとくるフレーズが多いですよね。「情熱の記憶」にも通じる世界ですね。
矢野:確かに、一つの恋を失った世界をずーっと曲で表している面はありますね。
──「情熱の記憶」も「傘もささずに」も、同世代の女性の共感を呼びそうですが。
矢野:同世代だけに向けてとか、そういう感覚は全くないんですけど、でも、結果的に、同世代の人達に支持していただけるとしたら、それはすごく心強いですね。
──皆さん、色々な想いを重ねてお聴きになるんでしょうね。
矢野:その作品の答えというのは、聴いてくださった方の数だけあるんだと思うんですよ。そういう事を想像するのもまた、私にとっては喜びですね。

──「青い鳥のストーリー」。これは、お母様の事を歌われている?
矢野:そうですね。こんな風に家族の事を歌にしたのは初めてです。今どうしても書きたい理由とか衝動があったわけじゃないんですけどね。今の私の母への想いというのを、照れずに素直に吐き出してみようと思ったんですよね。私にとって母はとても偉大で、ミューズのような存在なんです。
──お母様にはもう聴いて頂いたんですか?
矢野: はい。すっごく喜んで、母も一緒になって歌ってました(笑)。

──ラストの「メッセージ」も、感謝の気持ちを綴った曲ですよね?
矢野:私と関わってくださった全ての方への感謝ですね。実は、この曲は、今回のアルバムの中ではいちばん古い曲なんです。2〜3年前には完成していて、ライヴでは歌った事があったんですけど、改めて、きちんと作品にしたいとずっと思ってきた曲です。
矢野まき──友情ソングでもありますね。
矢野:そうですね。友達に対しては、なかなか面と向かって“ありがとう”とは言いづらいけど、“この曲、聴いてみて”って、そんな風に使ってもらっても、すっごく嬉しいですねぇ。

歌詞の発想は“色”ですね。聴いた瞬間に“これは、黒だ!”とか、そのメロディーが持っている“色”を感じ取ります。

──矢野さんは、どんなキッカケで詞を書かれるようになったのですか?
矢野:キッカケですか?うーん、私は、子供の頃から人とコミュニケーションを図るのが苦手で、思っている事をその場でパっと言える子供じゃなかったんですよね。毎日、言えずに家にお持ち帰りしてて(笑)。それが、毎日どんどん溜まっていって、どんどん燻っていく。それを誰かに伝えたくて、言葉に書き起こしている・・・それが原点かなという気がします。
──曲(メロディー)に歌詞をつけていく時は、どんな風に発想していくのですか?
矢野:色ですね。直観的に、そのメロディーが持っている“色”を感じ取ります。聴いた瞬間に“あ、これは黒だ!”って。更に“すごく冷たい感じのベルベットの黒だ”とか。どんどん細かくイメージしていくんですよね。例えば、「傘もささずに」だったら、グレーと紺の中間のすごく冷たくて、だけど美しい世界・・・あ〜雨に濡れてる感じだって。
──メロディーそのものの明暗もありますよね。
矢野:もちろんです。とってもポップで元気なメロディーの時に、絶望的な暗いストーリーは連想しませんよね。でも、例えば“悲しいメロディー”と言っても、それは一通りではないですよね。全く救いようのない悲しさなのか、僅かでも光が差すような悲しさなのか・・・それはもう、何度も何度もその曲を聴いて、イメージを膨らませていくんですけど。

“世界”と書いて“こころ”と歌う・・・聴く言葉と見る文字、そこが日本語の面白さであり、深さ、美しさだと思うんですね

──歌詞を書くときは、手書きですか?
矢野: 手書きです。書いて消して捨てて、また書いて・・・(笑)。ひと通りまとまったら、携帯電話で清書するんです。
──客観視するために、ですか?
矢野:そうです。自分の筆跡ではなくて、機械的な活字にすると、冷静に見られるんですよ。それで、これでOKと思ったら、今度はそれをワープロで打ち直す。ワープロの文字で更に客観視するんです。それで、ようやく完成。

──“うたまっぷ”には自作歌詞コーナーもありまして、たくさんの方が作詞に挑戦されているのですが、矢野さんが、詞を書く時に信条としている事、心がけている事はありますか?
矢野:心がけているのは“なるべく日本語で”という事ですね。英語を使う場合でも“わかる英語”しか使わない。例えば「ユートピア」とかね(笑)。歌詞の中にわからない英文が出てくると、その行だけ飛ばして読むでしょう?せっかくの歌世界がそこで途切れちゃうのって、もったいないと思うんですよね。
──そうした日本語へのこだわりというのは、何かキッカケがあったんですか?
矢野:単純に、言葉遊びが大好きなだけで・・・言葉オタクなんですよ(笑)。
──確かに、矢野さんの詞には、当て字がたくさん使われていますね。
矢野:今回のアルバムでも、“世界”と書いて“こころ”と歌ったり(「本音とは愛よ」)していますが、聴いた時は“こころ”なんだけど、歌詞カードを見たら“世界”と書いてある。そこでまたイメージが広がるでしょう。聴く言葉と見る文字。そこが日本語の面白さであり、深さ、美しさだと思うんですね。日本人として、そういう日本語に誇りを持って詞を書いているという喜びを感じています。

デビューから10年・・・歌を歌う、その先が想像できるようになった。そこが大きな変化だと思います。

──今年の7月でデビュー10周年を迎えられるわけですが、この10年間を振り返ってみて、いかがですか?
矢野:う〜ん。“もう10年か、早いね”というのと、“まだ10年か、これからだね”というのと、どちらもありますね。
──変わったなと思う所、逆にずっと変わらないなと思う所、それぞれありますか?
矢野:最初のうちは、私はこういう人間です、私の歌はこうですって一方的に投げるのに必死だったように思います。聴いてくださる人の方にまで意識がいく余裕がなかったかもしれない。それが少しずつ、わかるようになってきて。正直な歌、音楽を残すという姿勢は変わらないですけど、皆さんにちゃんと伝える、という意識が強くなりましたね。歌を歌う、その先が想像できるようになった。そこは大きな変化だと思います。
──“共有感”という点では、今回の『本音とは愛よ』は、まさしくそういう作品になったのではないですか。
矢野:そうですね。本当にそう思うし、聴いてくださる皆さんにも、そう感じてもらえたらすごく嬉しいですね。
──アルバム・リリース後のご予定は?
矢野:7月12日に東京で、18日に大阪で、ワンマンライブを予定しています。皆さん是非、いらしてください!!

矢野まき Live 2009「本音とは愛よ」
■東京 7月12日(日)赤坂BLITZ
■大阪 7月18日(土)ビジネスパーク円形ホール(旧MIDシアター)

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June 10, 2009
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