04年11月、「TRUST ME」でのデビューから4年半。節目となる10作目のシングル「DIAMOND」をリリースする森大輔。
「DIAMOND」は、テレビ東京系Lドラ“ママはニューハーフ”主題歌として、既にオンエア中のナンバー。金子昇扮する主人公は、イケメンエリートサラリーマンを装いながら、実は人気No.1のニューハーフ。そんな彼が5歳の男の子を育てることに…。ニューハーフの子育て奮闘を描きながら、次第に深まっていく親子の絆を描いていくストーリー。力強さと優しさを併せ持ったポップなメロディに愛がぎっしり詰まった「DIAMOND」は、ドラマの雰囲気にピッタリ!まずは、その「DIAMOND」のお話から・・・。
──「DIAMOND」は、ドラマの脚本をお読みになって、書き下ろされたそうですが、ドラマのようなシチュエーションは、現実にはなかなかないですよね?
森:主人公はニューハーフの青年で、その彼の所に突然、かつての恋人が生んだ5歳の男の子が訪ねて来る。もしかして自分の息子なんだろうか・・・という状況。もちろん僕自身に、そんな経験あるわけないですよね(笑)。だから、自分自身の経験と重ねて、男女の恋愛に置き換えて、愛する気持ちや強い絆を描いてみようと思ったんです。
──「DIAMOND」というタイトルは、どんなところから?
森:真っ先に浮かんだキーワードがダイヤモンドだったんですよね見ず知らずの大人と子供の共同生活が突然始まって、しかも一方はニューハーフ。全然かみ合わなくて、トラブルばっかりなんだけど、その中から少しずつ絆が生まれていく。それをイメージした時に、原石と原石がぶつかり合って、少しずつ削られて、研磨されて、輝くダイヤモンドに変わっていく、そういうビジュアルが浮かんだんですよね。ぶつかり合って互いが疲弊していくのではなくて、ぶつかり合う事によって磨かれていく。そういう2人であったらいいなって。強い絆を表すキーワードとしてもダイヤモンドはピッタリだし。
──親子だけでなく、夫婦や恋人同士にもピッタリですよね?
森:広い意味でのラブソングになったと思います。
──例えば、苦楽を共にしてきた仕事のパートナーとか、そんな二人という捉え方もできるような・・・。
森:そういう聴き方をしてもらえるのもうれしいですね。イヤでも一緒にいないといけない、そういう状況から始まる付き合いっていうのもあるし、でも、そこから、強い友情や信頼が生まれるっていう事もありますもんね。
──とっても元気がわいてくる歌ですが、森さんとしては、今までになかったタイプの曲ではないですか?
森:そうですね。これまでは、聴いててリラックスする、落ち着くという曲が多かったと思うんですけど、「DIAMOND」は、作っている時から、ホーンがたくさん鳴ってて、派手なサウンドで、こんなテンポ感でというサウンドのイメージが湧いてきて。マイナスをプラスに持っていけるような、みんなを元気づけるような曲になってくれたらいいなと思います。
──カップリングは、スタンダード・ナンバー「枯葉」のカヴァーですが。
森:これは、以前からずーっとやりたかった事なんですよ。ジャズのスタンダード曲を、ジャズとしてカヴァーするのではなくて、完全にポップスとして成立させて歌うっていうのを。
──なぜ「枯葉」を選ばれたのでしょう?
森:原曲のメロディの良さを損なう事なく、むしろ際立たせる形で、現代のポップスとしてアレンジしたかった。そう考えると、「枯葉」しかないなって。「枯葉」は、元々はシャンソンで、もう60年以上も前の曲ですけど、全く古さを感じさせない。本当に素晴らしいメロディなんですよね。僕は、ナット・キング・コールが歌う「枯葉」がすごく好きなんですけど、今回は、僕なりの「枯葉」を完成させる事ができたと思います。
──下がるところで下がり切らないアレンジが、とっても“今っぽい”と感じたのですが。
森:そうなんですよ。♪falling leaves・・・っていうのは原曲通りなんですけど、ずっと原曲通りだとシリアスになりすぎちゃうので、コード進行を循環コードに変えて。今のR&Bのアプローチ・・・循環コードがループしていくR&Bのアプローチで「枯葉」をやりたかったんですよね。
──これからも、こうした試みを?
森:続けていきたいですね。ジャズに限らず、「サウンド・オブ・ミュージック」とかミュージカル作品の中にも、大好きな曲がたくさんあって、色々な形にしていけるなって思っているんですけど。
──森さんは、大学も音楽科に進まれて、ずっとクラシック・ピアノを学ばれてきたそうですが、音楽の原体験というと、やはりピアノになりますか?
森:とにかく音楽が好きで、物心つく前からいつも歌ってたらしいんです。小さい子供の鼻歌って、ふつうはメロディだけを覚えて歌うでしょう。でも、僕は、聴こえてきた歌の伴奏の部分まで取り入れて歌ってたそうで、親バカだったんでしょうねぇ“この子はスゴイ!音楽の才能がある!”って(笑)。それで、2歳から音楽教室に通い出して、3歳からピアノを始めたんですけど。ピアノは大好きで、レッスンは大学を卒業するまで続けてました。
──では、ポップスとの出会いは?いつ頃、どんな風に?
森:中学生の時に、スティーヴィー・ワンダーの「Isn't She Lovely」がクルマのCMソングで流れてきたんです。英語だから何を歌っているのかは全然わからなかったんですけど、音そのものに圧倒されて、なんてイイ曲なんだろうって感動して。フルコーラス聴きたくて、CDを買いに走ったんです。「Isn't She Lovely」も入っているベスト盤を買ったんですけど、それが、生まれて初めて自分で買ったCDです。出発点がスティーヴィー・ワンダーだったから、その後も、ソウルやブラック・ミュージックの方へ広がっていきました。
──クラシックとポップス。森さんの中では、どんな風に共存してたんですか。
森:高校生になったあたりから、ようやく習い事の域を出てピアノを弾く事が面白いと思えるようになってきた。それで、ピアノを究めたいと思って、大学の音楽科に進んだんですけど。ポップスは聴いて楽しむもので、クラシックとは全くの別物。音楽との関わり方に2つのラインがあるような感じだったんですよね。それが、自分で作詞・作曲をして、ピアノを弾きながら歌うようになった時に初めて1つに交わった。それまで、習い事としてやってきたピアノと、好きで聴いてきた音楽とが、自分で作る事によって1つのものになったなって。 |