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おとぎ話
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おとぎ話

──作詞・作曲はすべて有馬さんですが、歌を作るときは、どんな風に?

自然と歌が出てくる、そういう感じなんです。起承転結を考えて、さぁ書くぞっていう感じで曲を作ったことはないんです。セオリーが全くないんです。
ただ、雨の日は全くダメですねぇ。快晴で清々しい気分のときは、いくらでも歌が出てきちゃうんです。例えば、キレイな青空を見たら、写真家ならそれを写真に撮るし、絵描きならそれを絵に描くんだと思うんです。それと同じですね。その清々しさが歌になっちゃう、自然と。それで、言葉もメロディも出てこなくなったら、今日はもうお終い。無理して、歌詞の続きを考えたりもしない。最終的に読んで、不適切な部分は修正しますけど、その場合も、“あ、ココ変だな”と印をつけておくだけで、普通に生活を続けて、そうすると、突然、例えば頭を洗ってる時とかに、適切な言葉が浮かんだり、続きが出てきたりする。毎日が、そんな生活です。
──色んなジャンルの曲がありますよね?
僕は、全然ジャンルにとらわれずにCDを買っちゃうんです。テクノでも、ダンス・ミュージックでも、どんなジャンルの曲でも、キレイなメロディだなとか、踊りたくなっちゃうなとか、好きな歌に出合うとウキウキしちゃうんですよね。だから、自分で曲を書くときも、自分が好きな曲を書いているとしか言いようがないんです。パンクっぽい曲を書こうとか、サイケな感じでいこうとか、そういうことを考えて作ってるわけじゃなくて、出てきた曲がそうなってる、というだけで。
──歌が浮かんできたら、すぐに録音するんですか?
自分のケータイに電話して、留守電に録音します。詞は、自分のケータイに自分でメールを送ったり。お金ないから、ボイスレコーダーとかそういう媒体、持ってないんです(笑)。

おとぎ話 ──曲調も様々ですが、ヴォーカルも1曲ごとに随分異なる印象ですね。
違いますよね。いろんな声ありますから。でも、全部、僕が歌ってます。ダミーはいないですよ(笑)。
──有馬さんのヴォーカルって、語尾で空気が抜けるでしょう。そこがすごくエロい。
え〜僕の声が、艶っぽいんですか〜?
──いや、艶っぽいんじゃなくて、エロいんですよ。なんか、エッチな感じ。すごく可愛らしい声なのに、一行の終わりの、声が消える瞬間の吐息みたいに漏れる声がね、エッチなんですよ。
エッチーーー? 僕ね、普段は下ネタ大全開なんですけど、いざとなると、ダメなタイプなんですよー。だから、逆にそういうところに出ているのかもしれないです。
──母性をくすぐるヴォーカルですねぇ。
へぇー、そうなんですか。いや、なんか、うれしいなぁ。えへへ(笑)。
──ご自身では、自分のヴォーカル・スタイルについては、どんな風に?
僕は、ものマネ気質なんですよ。だから、最初は、自分の好きなヴォーカリストの真似から始ったんですけど、そのうち、自分なりの気持ちの良いポイントを探すようになって。自分は自分だって思えるようになってから、少しずつ良くなってきたように思いますね。

──バンドとしての音作りはどんな風に?

週2回、スタジオで練習する日が決まってるんです。学生時代から、ずっとそうなんですけど。だから、今回も、アルバム制作のために何曲か候補を出してというような進め方ではなくて。常に、現在進行形でずーっと何かやってるんです、毎週。
新曲ができたときは、最初に僕がギター弾いて歌い、それをメンバーに聴いてもらいます。それで、飲み込みの早いドラムの前越君、未だに全然弾けないベースの風間君、本当は上手いのに全然弾こうとしない駄目なギタリストの牛尾君と色々いまして(笑)、少しずつ合わせていって、音を作っていくという感じですね。
風間君は、ベースはヘタですけど、スタジオの予約とかスケジュール管理とか、そういうことは得意で、学生時代から、ずーっとやってくれています(笑)。

──有馬さんが歌を作るうえで、信条としていることは?

僕はね、ネガティブな事をそのままネガティブに書くのはイヤなんです。切ない事があったとしても、それがいつかはゼッタイ良いことに変わるんだろうなって思うんです。そういう事を歌いたい。
今回のアルバムの中に「とびらをあける」という曲があって、“命”がテーマなんですけど、今まではそういう歌は歌わなかった。でも、テレビでは、毎日、人の死が報じられていて、そういうことから目を逸らしちゃいけないと思った。ただ、そういうテーマでも、あくまでポップに消化させたいんですよね。僕なりの考えやメッセージはあるけれども、シリアスだったり、怒ったり・・・という歌は、僕の役割ではないと思うから。最終的には、どんなテーマも、カラッとしたキラキラしたものにしたい。
僕は、映画でも本でも、ゼッタイにハッピー・エンドじゃないとイヤなんです。ハッピー・エンドであること、そう、それがポップ・ミュージックの使命だと思いますね。

──歌詞投稿をしている人に、歌詞を書く際のアドバイスを何かいただけませんか?

おとぎ話 そうですねぇ。どれだけ毎日を清々しく生きるかだと思います。そういう生活をしていたら、自然と歌は出てくると思うんです。思うことがないのに、無理して書く必要はないんですよね。例えば、僕も、銀杏BOYZの峯田さんに褒めてもらった頃は、銀杏BOYZファンにも届くような歌詞を書かなきゃ、なんて思ったりもしたんですよ。でも、それって違うなって。僕は僕でいいんだって。ある種の開き直りも含めて、自分のことを認めて、自分のことを好きになっちゃえば良いんだと思います。そう思えるようになったら、いくらでも書けるようになります。

──アルバム・リリースの後のご予定は?

はい、ツアーがあります。もう、ライヴばっかりですね。ライヴばっかりになると、週2回の練習ができなくなって困るんだけど(笑)。どんどん新曲書きたい、早く次のアルバム作りたいっていう気持ちに、もうなってます。
ツアーは、色んな所に行きますよー、ハイ。みんな、ビックリしますよ、たぶん。おとぎ話ナンだこりゃって。初めて見る人達に、ちょっと変なバンドって思ってもらえたらいいなぁ。すげー良かった! とかじゃなくて、何だこのバンドって思って帰ってもらいたい。ヘンなバンド、でもまた来たら行っちゃうよね! っていうのがやっぱ最高かな。
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October 8, 2008
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