うたまっぷ  
 

運命を自分の手で切り開く“シンデレラ”がいても、いいじゃない?

BIGMAMA ──それでは、「シンデレラ」の場合は?

金井:音作りを進めていくうちに、「カノン」の調べが舞踏会のようにも聴こえてきて、舞踏会→結婚と言えば、シンデレラ!という連想だったんです(笑)。ただ、音ができあがってみたら、「カノン」がちょっとふざけた感じに聴こえてきて。おとぎ話のシンデレラの清楚なイメージとズレてきて、このシンデレラ、そうとう性格悪いなって(笑)。それで、このシンデレラは、実は王子様狙いのニセモノで、ホンモノのシンデレラの前に割り込んで、ガラスの靴をムリヤリ履いちゃった…というストーリーが浮かんできたんです。
リアド:毎回、こいつが持ってくるアイデアにはビックリするんですけど、え〜そう来たか〜! という感じでしたね(笑)。
金井:このシンデレラは、現代風に言うと、“幸せは自分で掴む!”タイプの力強い女性なんですよ。いまのこのご時勢、待ってちゃダメ。“運命は、自分の手で手繰り寄せるもの!”というのが、この曲に込めたメッセージでもあります。

──「Sleeping beauty〜二度寝する眠れる森の美女」は、どんな風に?

金井:「眠れる森」も音先行です。イントロの部分が、静かな不気味な森っぽいイメージだったので、お〜これは「眠れる森の美女」だ!と。でも、おとぎ話の“眠れる森の美女”は、王子様の接吻で100年の眠りから目覚めるわけですが、僕は子供の頃から“どうして接吻ごときで目が覚めるんだ。おかしいじゃないか”(笑)と、ずーっと思ってて、そしたら、ギターとバイオリンが追いかけてハモるところの音が、王女様が薄目を開けて覗き見してる雰囲気に聴こえてきて、それで、王女様は一旦目を覚ましたのだけれど、接吻してくれた王子様がタイプじゃなかったら、寝たふりを続けちゃう…そんなストーリーにしちゃおうって(笑)。

BIGMAMA ──「ピノキオ」は、どんな風に?

金井:これはね、冒頭のギターの“ズクズクグスグス”っていう音が、鼻の伸びる音に聴こえて…(笑)。これは「ピノキオ」だ! と。 それから、サビの途中に、手拍子…クラップの音を入れたくて、その音にも理由が欲しい。それで、サーカスに結びついたんです。ピノキオは、その珍しい容姿からサーカスの人気者になったんだ、と。更に、その長い鼻を使って高飛びの選手としてオリンピックにも出場したんだ、と。助走の前に、選手が観客に向かって手拍子を求めるじゃない? あのシーンに結びついたんですよ。

──伸びてしまった鼻を逆手にとって、オリンピック選手に?

金井:ピノキオは嘘をついて鼻が伸びちゃったわけだけど、それでもいいじゃん、それでも何か楽しく生きられる方法もあるでしょうって思ったんですよね。例えば、面白い顔の人が、それをネタに笑いをとる、みたな。自分の欠点を逆手に取って、運命をプラスに変えていくのって凄く素敵じゃない? いま、何か、自分の短所で悩んだり苦労したりしている人がいたとしたら、ピノキオというキャラクターを通して、応援したかった。そんなメッセージも込もってたりもします、ハイ。

初のオリジナル曲のときから、歌詞はずっと英語。その理由は…?

──当初から、歌詞はずっと英語ですよね?

金井:最初に聴いたロックが洋楽で、何言ってるかわかんない、でも格好いい! この衝動がバンドを始めた原点なんです。
リアド:例えば、GREEN DAYだったり、ブリンク(blink-182)だったり、そういうバンドが好きで、コピーしてて。英語にこだわっていたわけではないんだけど、英語のロックしか知らなかったから、それしかなかった、そんな感じです、最初は。
金井:それで、そういう憧れのバンドを真似して曲を作り始めたから、自然と英語になっちゃった。

BIGMAMA ──一番最初のオリジナル曲から英語?

リアド:最初のオリジナルって高3の時かな〜。
金井:当時、僕が留学していて、その時のことを詞に書いたの覚えてる?
リアド:うん、覚えてる。あれが最初かな…。
金井:あと、確か担任の先生の悪口を書いた歌を作ったねぇ(笑)。
リアド:そうそう。何だっけ、靴下が臭いとか、そんな歌詞?(笑)
金井:文化祭で歌ったんだ。歌詞カードがあるわけじゃないし、英語で歌いっぱなしだから、わかんないだろって(笑)。

──英語で詞を書く必然性は?

金井:詞の内容の好き嫌いで、その曲が嫌われちゃう事があるんじゃないかなって思うんです。どんなに楽曲がカッコよくても、詞の内容で反発されちゃうっていうか…。何を歌っているかはわからなくても、サウンドを気に入ってくれた人が、次の段階でやっと歌詞カードを開いてくれて、そこで初めて、僕の書いた言葉が伝わる…そういう距離感が、僕には調度良い気がしてるんです。

──日本語の訳詞も、すごく面白いから、今後は日本語の詞にも期待しちゃうんですけど。

金井:僕は洋画を見るとき、吹替じゃなくて字幕派なんですが、音楽も、そういう楽しみ方があってもいいと思うんですよ。耳から英語が聴こえて、目では日本語訳を追って、あ〜こんな面白い事を歌ってたんだって。歌詞カードを開いた時に、クスッと笑ってもらえる…そんな風に楽しんでもらえたらなと思います。でも、だんだん、自分の中でも、日本語で歌うべき曲も出来てきたなと思い始めてはいます。

歌詞というのは、鳴ってる音との関連性がすごく大事。

──詞を書くときは?

金井:パソコンです。家に帰ったら、もう、ず〜っとパソコンの前に座ってます。自分達で作った音を聴きながら。

──歌詞投稿してる人へ何かアドバイスをお願いできませんか?

金井:歌詞というのは、やっぱり、鳴っている音との関連性がすごく大事だと思うんですよ。例えば、ここで、どうしてこんなに切ない音になるんだろう、何か、切ないことが起きはずだ。その切ない事ってなんだろうって。音と文字は、そこに何か理由があってほしいというのが僕の考えです。だから、詩ではなくて、歌詞を書くのなら、そこにある音を凄く大切にしてほしいなと思います。

──金井さんの詞は、メッセージがダイレクトではないですよね?

金井:映画や小説を通して、こうしたら良いんだとか、こういう風に思って生きれば良いんだと思うこと、たくさんありますよね。そういう表現方法が音楽にあってもいいと思うんです。もちろん、自分なりの考えとか、世に問いたいこと、訴えたいことはあるのだけれど、それを直接、僕の言葉としてメッセージするのではなくて、登場人物のキャラクター設定に託したり、そのセリフの中に入れたり、そういう方向を僕は探しています。

──今後のご予定は?

リアド:10月は、全国ツアーがあります。そのあと、アルバム・リリースが決まっています。
金井:アルバムに関しては、制作中から、ものすごく手応えがあって。今までは、レコーディング中は、不安ばっかりだったんですが、今回は初めて期待の方が大きい! 楽しみにしていてください。

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September 19, 2008
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